20181204
ぽかぽか春庭日常茶飯事典>2018十八番日記京都ほんのり秋色(4)聴竹居
今回の京都旅行、修学院離宮、桂離宮のほか、もう一か所「聴竹居」に見学申し込みをしました。
聴竹居は、建築家藤井厚二(1888-1938)が、京都大山崎に12000坪の土地を購入し、実験住宅として建てた自邸です。日本の環境に合った住宅をめざして、つぎつぎに実証実験を繰り返し、5番目の最終自邸としたのが聴竹居。
現在は、藤井が最初に勤務した竹中工務店が管理を担当しています。
見学は、水金日曜日の申込制で、1回15人まで。旅行日程の中、私の見学可能日は10月26日金曜日だけでした。11時の回。
阪急大山崎駅から徒歩10分弱。ここでも道沿いを掃いているおじさんに尋ねたら、丁寧に教えてくれました。申し込み当選者に配布された聴竹居案内図に出ている目印の「郵便ポスト」が見つからないでいたのですが、ポストのところまで連れて行ってくれたのです。
聴竹居アプローチと玄関側の側面。


受付時間になるまで外回りの見学をしているように係の人に指示されました。
<きょうの建物>
聴竹居 外観

受付開始時に、事前にPDFをプリントアウトしてきた撮影許可願いを提出。住所氏名メールアドレスなどを書き込み、撮影目的を書く欄には、「外国人留学生に日本の住文化を知らせるため」と、仰々しく書きました。撮影許可証を首から下げる。
このように、撮影許可願を提出させたうえで、節度を守った撮影を許可するのは、よいやり方だと思います。見学料は千円。建物はそうとう傷みがあり、今後の補修に使うという目的もはっきりしているので、妥当な値段と思います。
内部の見学は、グループごとにガイドがつく方式。私は説明を聞いたり聞かなかったりしながら、適当に撮影していく。
私のグループのひとつ前の組は、『聴竹居』という写真集の文章説明担当の著者、松隈章さんが説明係になっていました。前のグループの雰囲気は、竹中工務店だかどこだかの新入社員研修という感じ。同じような年齢、同じようなスーツ姿のグループなので。
冬の暖房は、暖炉でもストーブでも、暖房具でなんとかなるけれど、エアコン普及前の日本の住まいは、夏の暑さをしのぐことが最大の工夫点になっていました。
藤井厚二は、冬温かく夏涼しい住まいを目指し、室内の通気を重要視しました。建物の下の斜面から空気を通すパイプを居間の床まで伸ばし、夏も常に涼しい風が取り込めるようになっています。
天井は網代編みで、通気口がさりげないデザインでしつらえてあります。各室は独立して使うこともできるし、間仕切りを取り払えば、大きなワンルームとして使うこともできます。
床下の通気口

邸宅の下の斜面から空気が上がってくる仕組み。

玄関から入ったところの居間

客間、

食事室

読書室と並ぶ子供の学習室

居間から食事室を見る

サンルーム

天井の網代編みと通気口

聴竹居の外観をもう一度ゆっくり回りたい気持ちがあったけれど、ブログ友のアントニオ兄からの電話が何度か入っているのに気づきました。売店で絵葉書と大隈章さんの『聴竹居』を3冊買いました。兄と建築趣味友だちへのおみやげです。
アントニオ兄は、大山崎山荘にすでについて、谷崎潤一郎の小説に出てくる着物を見終わったということなので、大急ぎでJR大山崎駅へ。ここから大山崎山荘美術館行のバス(無料)に乗ります。
<きょうの工芸>
玄関前の置物は、伊東忠太が本願寺伝導院のためにデザインした怪物。伝導院の外回りにある怪物は、改修時にレプリカに置き換わったけれど、忠太の弟子であった藤井厚二邸には、本物がそのまま置かれいる、と、館長田辺さんの解説。
忠太さまの作品を工芸の分野に入れていいのかどうかはわかりませんが、レプリカではなく、本物が展示されているのはありがたい。
<つづく>
ぽかぽか春庭日常茶飯事典>2018十八番日記京都ほんのり秋色(4)聴竹居
今回の京都旅行、修学院離宮、桂離宮のほか、もう一か所「聴竹居」に見学申し込みをしました。
聴竹居は、建築家藤井厚二(1888-1938)が、京都大山崎に12000坪の土地を購入し、実験住宅として建てた自邸です。日本の環境に合った住宅をめざして、つぎつぎに実証実験を繰り返し、5番目の最終自邸としたのが聴竹居。
現在は、藤井が最初に勤務した竹中工務店が管理を担当しています。
見学は、水金日曜日の申込制で、1回15人まで。旅行日程の中、私の見学可能日は10月26日金曜日だけでした。11時の回。
阪急大山崎駅から徒歩10分弱。ここでも道沿いを掃いているおじさんに尋ねたら、丁寧に教えてくれました。申し込み当選者に配布された聴竹居案内図に出ている目印の「郵便ポスト」が見つからないでいたのですが、ポストのところまで連れて行ってくれたのです。
聴竹居アプローチと玄関側の側面。


受付時間になるまで外回りの見学をしているように係の人に指示されました。
<きょうの建物>
聴竹居 外観

受付開始時に、事前にPDFをプリントアウトしてきた撮影許可願いを提出。住所氏名メールアドレスなどを書き込み、撮影目的を書く欄には、「外国人留学生に日本の住文化を知らせるため」と、仰々しく書きました。撮影許可証を首から下げる。
このように、撮影許可願を提出させたうえで、節度を守った撮影を許可するのは、よいやり方だと思います。見学料は千円。建物はそうとう傷みがあり、今後の補修に使うという目的もはっきりしているので、妥当な値段と思います。
内部の見学は、グループごとにガイドがつく方式。私は説明を聞いたり聞かなかったりしながら、適当に撮影していく。
私のグループのひとつ前の組は、『聴竹居』という写真集の文章説明担当の著者、松隈章さんが説明係になっていました。前のグループの雰囲気は、竹中工務店だかどこだかの新入社員研修という感じ。同じような年齢、同じようなスーツ姿のグループなので。
冬の暖房は、暖炉でもストーブでも、暖房具でなんとかなるけれど、エアコン普及前の日本の住まいは、夏の暑さをしのぐことが最大の工夫点になっていました。
藤井厚二は、冬温かく夏涼しい住まいを目指し、室内の通気を重要視しました。建物の下の斜面から空気を通すパイプを居間の床まで伸ばし、夏も常に涼しい風が取り込めるようになっています。
天井は網代編みで、通気口がさりげないデザインでしつらえてあります。各室は独立して使うこともできるし、間仕切りを取り払えば、大きなワンルームとして使うこともできます。
床下の通気口

邸宅の下の斜面から空気が上がってくる仕組み。

玄関から入ったところの居間

客間、

食事室

読書室と並ぶ子供の学習室

居間から食事室を見る

サンルーム

天井の網代編みと通気口

聴竹居の外観をもう一度ゆっくり回りたい気持ちがあったけれど、ブログ友のアントニオ兄からの電話が何度か入っているのに気づきました。売店で絵葉書と大隈章さんの『聴竹居』を3冊買いました。兄と建築趣味友だちへのおみやげです。
アントニオ兄は、大山崎山荘にすでについて、谷崎潤一郎の小説に出てくる着物を見終わったということなので、大急ぎでJR大山崎駅へ。ここから大山崎山荘美術館行のバス(無料)に乗ります。
<きょうの工芸>
玄関前の置物は、伊東忠太が本願寺伝導院のためにデザインした怪物。伝導院の外回りにある怪物は、改修時にレプリカに置き換わったけれど、忠太の弟子であった藤井厚二邸には、本物がそのまま置かれいる、と、館長田辺さんの解説。

忠太さまの作品を工芸の分野に入れていいのかどうかはわかりませんが、レプリカではなく、本物が展示されているのはありがたい。
<つづく>