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ぽかぽか春庭「大徳寺本坊方丈庭園」

2018-12-16 00:00:01 | エッセイ、コラム
20181216
ぽかぽか春庭日常茶飯事典2018十八番日記京都ほんのり秋色(13)大徳寺本坊方丈庭園

 10月28日は、午前中はのんびり過ごし、ハンさん母娘がホテルにやってくるのを待っているつもりでいました。ハンさん母娘は、午前中、大徳寺の塔頭で開催される「お茶会」に招待されたといい、私も誘われたのですが、私は「姑が残した茶釜や茶碗など、留学生が遊びに来たときに披露するだけで、私自身は茶道をやろうなんていう気はひとつもない」と言って、大徳寺には出向かない、と伝えてありました。

 茶道体験を終えてから、ハンさんがホテルに来て、ハンさん執筆の「客員研究員として在籍している大学の紀要に掲載予定の論文」のネイティブチェックをする約束です。
 ハンさんの日本語力は、たいへん立派なレベルで、一般的な日本人よりはずっと詳しく日本語について理解しています。それでも、論文となると、ネイティブチェックが必要、ということで、ハンさんからチェックを頼まれていたのです。

 昼前、ハンさんから連絡がありました。「ハル先生、茶道体験は、もうすぐ終わりますが、先生、やはり大徳寺まで来てください。今、秋の特別公開の期間で、普段は見ることができない庭園が公開されているんです。先生は庭園に興味があるそうですから、ぜひ、いっしょに見たいです。論文のチェックは、夜でもいいですから」と、ハンさんが言う。
 あわてて、パジャマがわりに来ていたTシャツの上に上着をひっかけて、大徳寺まで出むきました。

 大徳寺は、1315(正和4)年に、大燈国師宗峰妙超禅師が開創し、応仁の乱後荒れ果てていた寺を一休さんが再興したお寺です。ですから、観光用には「一休さんのお寺」として知られています。秀吉が信長を弔うために建てた総見院ほか、22寺の塔頭が連なり、臨済宗大徳寺派の大本山として栄えているお寺です。

 狩野探幽が描いた龍の天井画、方丈庭園などが秋の特別公開として、10月5日から28日まで拝観可能。つまり28日日曜日が最後の公開日。ハンさんは「明日からは見ることができないので、見たい」と言います。それで、私も大徳寺へかけつけたという次第。

<きょうの建物>
 大徳寺南門から入り、まず勅使門を見物。もとは御所の南門だったものを、1640年に移築。


 「金毛閣」の扁額をかかげた三門。大河ドラマファン、戦国史ファンにはおなじみのエピソードを持つ門です。1589年、千利休が2階を増築し、自身の木像を2階に置いたところ、秀吉が「利休の足の下をくぐらせる気か」と怒り、切腹を命じたという曰くつきの門。


 仏殿前の、イブキの古木(京都市天然記念物)1665(寛文5)年に仏殿が再建されたときに植えられたということなので、樹齢350年くらい。
 

 仏殿と法堂。



 ご本尊は釈迦如来。ときどき「撮影おとがめなし」の日が設けられているそうで、この日はラッキーな撮影OK。金ぴかの仏像は、ミャンマーの釈迦如来を思い出させてくれます。


 もちろんお釈迦様に念入りにお祈りしました。世界平和、国家安泰、家内安全、学業成就、金運上昇その他もろもろ、、、、。(いつも同じ欲張り願い事ですが、欲張った願い事は受け付けてくれないという根性の狭い仏様もいるって話ですから、皆様におかれましては、願い事精査がよろしいかと。)

 一律に撮影禁止でなく、このお釈迦様のように、おおらかに撮影許可してくれれば、いっそう、お釈迦様への帰依の心も深まる、と私は思います。もちろん、仏像への敬意を欠く撮影は、フラッシュたかなくてもいけないことですけれど。

 方丈の唐門は、国宝。聚楽第の遺構で、徳川氏はこの唐門をモデルにして日光東照宮の門を建てたそうです。あまりはっきり写っていないのは、撮影不許可の門を、大急ぎで撮ったため。買い求めた絵葉書をUPしようかとも思いましたが、とりあえず、自分で撮影したものをUP。絵葉書セットには、前庭と唐門が一枚、唐門だけ大写しになったものが一枚入っていました。


<きょうの庭>
 唐門前の前庭。天祐和尚作庭。
 

 方丈東庭。小堀遠州作庭。絵葉書の方丈東庭は、雪景色だったので、借り物画像をピックアップ。
 拝観者はこの方丈の縁から東庭を見るので、庭側から縁を見るアングルは不可能。


 大徳寺本坊の中で落ち合ったハンさんと、次の真珠庵へ。拝観料は本坊方丈とセットで2000円。大徳寺塔頭は、一寺ごとに拝観料をとる。

 京都の新聞記者時代、大学と神社仏閣担当だった司馬遼太郎が、街道シリーズ『大徳寺散歩』の中で、禅の修行よりも観光増収をめざす寺に苦言を呈していたのを思いだしました。

 「名刹や古刹が観光資源化してしまった今日、大徳寺だけは山内の一部をのぞいて、俗化をこばんでいる
 
 俗化してしまった「一部」とは、どの寺を言っているのかは分かりませんが、ただ、一観光客としては、お金さえ払えば物見高いだけの観光客にも、公開してくれるのはありがたいと思います。大徳寺の中にも観光には背を向けて、禅の修業だけを目指す寺もあるのです。

 法堂の狩野探幽「雲龍図」(撮影禁止ではなかったように思いましたが、フラッシュ禁止なので、撮影した天井はなんだかまっくらなだけ。なので絵葉書を買いました。この大徳寺法堂雲龍図は、鳴き龍として有名で、みな、かわるがわる雲龍図の下で拍手し、天井画が共鳴して鳴くかどうか確かめていました。拍手をじょうずにしないと共鳴しないみたい。
 私の拍手?あんまりいい響きじゃなかったみたいでした。


 法堂の84面襖絵も探幽作。


<つづく>
コメント (2)
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