20210401
ぽかぽか春庭にっぽにあニッポン語教師日誌>日本語学校春(1)卆業式
春庭が勤務している日本語学校。2019年に開校。2019年9月の開校式と2019年10月の入学式は、理事長が研究員として所属している東京大学のホールを貸し切りにして、来賓を招いての「初めよければ~」精神の大がかりな式を行いました。
2019年10月入学生は、5人だけ。令和の元号切り替えにともなう学校設立認可が5月まで遅れ、入管ビザ締め切りの6月に申請ができたのは5人にとどまったのです。転校生がひとり入校しましたが、一人は家族の事情で帰国。ひとりは体調を崩し療養のため帰国。卒業式に臨むのは4人です。
4人はそれぞれとても優秀な学生で、最初に担当する教師としてはとてもラッキーな教室でした。
私は、大学日本語教育機関で日本語教育を担当してきた25年の間「国費留学生」を担当してきました。国を代表して日本の文科省の給費奨学生に選ばれた超優秀な学生に教えるのは、教師としてはらくちん。1を聞き10でも20でも悟ってくれるし、英語を媒介語にできたので、私の下手な英語でも役にたちました。
2019年入学生は中国人でしたから、中国語バイリンガルの若い日本語教師は生活面でも親身に援助し、学生ととても仲良くなっていました。
昨年3月4月の緊急事態宣言後、オンライン授業に切り替わったときは、WiFi接続の不都合から、私はリモート授業ができませんでした。教室での授業再開後、学生は大学院入学準備の英語授業もあり、専門科目の入試問題準備もありましたが、日本語もよく勉強し、どんどん日本語力が伸びました。
学院は、「進路支援センター」という部署を設け、元大学教授ふたりが進路指導にあたりました。なんとしてもよい大学院進学を成功させたいという、熱心な指導によって、1人は公立大学大学院、2人は国立大学大学院修士課程、ひとりは国立大学大学院研究生(10月に修士課程進学)という進路が決まりました。
デザイン学専攻の学生は、修士課程入学前に学会発表をこなす、という快挙。日本語学校学生が学会発表を行ったのは、おそらく日本に多数ある学会発表の中でも異色だったろうと思います。
農業環境学専攻の学生は、「太陽光発電パネル設置とパネル下の土地利用農業の可能性」という論文をある審査に応募し、残念ながら選外とはなりましたが、実例研究としてとても立派な研究になっていました。
研究生として研究室に入る化学専攻の学生は、3月から大学院研究室に参加し、研究を始めています。
4人の卒業生がそれぞれ卒業後の未来をみすえ、新しい勉学の場に希望を持って卒業することができ、送り出す教師達も誇らしく思っています。
卒業証書授与
卒業式はコロナ禍ということで、予定のホールをキャンセルし、ゲストなし。歌、音曲なし。全員マスク。学校内の教室で、在校生出席も「次回卒業する気持ちを持つ学生」にかぎり、こじんまりと行われました。
しかし、先生達の温かいはげましのことばも、在校生からの「送る言葉」も、胸に染みるとてもよい式となりました。
パソコン設置の準備中
困難な時代ですが、若者が希望を持って巣立つのをみることは、老いの心も奮い立たせてくれます。私が元気にいられるのも、若い人々の奮励努力の場に身を置くことができるおかげと、学生達に感謝しています。
みんな、元気でね。これからの活躍をお祈りしております。
卒業式衣装。下はユニクロ780円で買ったキュロットパンタロン。
<つづく>