0210411
ぽかぽか春庭日常茶飯辞典>二十一世紀日記春(4)スケートショウ観覧余話
演劇や映画の会場で、困ることのひとつは、前の席の観客が座席に浅く腰掛け、前のめりになって見ていること。浅く前のめりになって座ると、後方の席の視界をふさぐのです。「座席の背もたれに背をつけてごらんください」という場内放送があると、気づく人もいて、助かります。私は身長ないので、前の人が前のめりになると、視界がふさがれるのです。
浅田真央サンクスツアーの高齢女性と連れの二人連れ。開演途中から入場し、本来の自分たちの席ではない、私たちの前の席に陣取り、連れの女性は、年配女性を気遣うためでしょうが、ずっと体を斜めにして、浅く腰掛けたままでした。ずっと視界をふさがれていた娘、2度目のビデオ放映の間に、意を決して「自分たちの本来の席に座ってください」と、お願いしました。放映の間に、二人連れは4列目の自分たちの座席に移動しました。
きちんと座っているなら、そうそう視界をふさぐことはなかったと思います。一段15cmくらいの段差があるのですから。たぶん、座席に浅く腰掛けると後方座席の視界をふさぐ、ということを知らない、めったにコンサートなどには出かけないふたりだったのだと思います。
あとで、連れの女性は「この人の認知症が進んでしまって、地下鉄の乗り換えに思ったより時間がかかり、開演の時間におくれてしまった」という言い訳を娘に言ったのだそう。娘は、この話を聞いて、「この方は、日頃お年寄りの世話をしたことがない人なんだ」と思ったのだといいます。
娘は「認知症の高齢者を外出させるのはとてもたいへんなことだ、という認識を持って行動すべき。うちのおばあちゃんは認知症ではなかったけれど、いっしょに病院に行くにしても30分で行けると思っても、60分から90分の余裕を持って連れていった。認知症だから遅れたというのは、介添え者としての自覚が足りない」と、述べていました。
年配女性は足も不自由にお見受けしたので、1時間かかると予定されている移動なら3時間は余裕を持って行動すべき。日頃いっしょに行動していれば、高齢者の移動がどれくらい時間がかかるか、把握していると思います。地下鉄乗り換えに。自分が日頃行動する時間よりも2倍3倍の時間がかかることを想像してみるべきでした。
人のふり見て我がフリなおせ。母は54歳で父は76歳で、両親もボケることなく亡くなったので、介護の苦労はなし。舅の介護は姑が、姑の介護は娘が受け持ったので、介護がどれほどたいへんか、ということについての認識が、私には、まだまだ足りないと思います。この日、「高齢者といっしょに出かけるには、2倍3倍の時間を見て、余裕を持って行動すべき」という教訓を得ました。もともとおばあちゃんの介護をやっていた娘は、71歳の老母とスケートショウを見るために、開演1時間前に会場に着ける時間に家を出ました。
さて、スケート余話の第二弾。
3月下旬、フィギュアスケート世界選手権がストックホルムで行われました。
男女ショートフリー、ペア、アイスダンス、生放送で見たり、録画したり、全部見ました。
娘と「2019年にさいたまアリーナで世界選手権生観戦できてよかったよね」という思い出話にひたりながら、アイスダンス小松原組の紹介をテレビでみていたら、2019年、世界選手権初出場の「チームCoCo」の映像が映りました。すると。「あ、母が映っている!」と娘。
演技を終えて抱き合って喜ぶCoCoの肩越し後方の観覧席に、緑色のセーターを着た私が映っていました。テレビ画面の同じシーンに拍手する私がチームCoCoのふたりといっしょの画面にいて、ミーハー感激。

ティム・コレトが小松原尊になったことだし、北京冬季五輪のアイスダンス出場枠も確保できたことだし、これまで以上に小松原組を応援していきます。高橋 村元組も応援しているからアイスダンスも出場枠が2枠欲しい!
アメリカは来年の北京冬季五輪をボイコットするとか言い出していますが、政治の賭け引きとスポーツは別物であると思って開催をまっています。
スターズオンアイスショウの延期措置が取られた結果、延期後はディズニーコンサートと同じ日同じ時間帯に上演が決まりました。娘は「ゆず君の出演はまだ決まっていないから」と、アイスショウのほうをキャンセルしたら、その2日後に「羽生結弦出演決定」というニュース。「ひどいや、ひどいや、ゆず君出るなら、ディズニーコンサートのほうをキャンセルしたのに」と悔しがることしきり。だめモトでもう一度チケット応募したら、なんとチケットとれましたので、24日はディズニーコンサート、25日スターズオンアイスショウ、連続で楽しんできます。「応援は、歓声をあげず、拍手のみでお願いします」というのを守ります。
コロナ禍での外出。怖いのはコロナ感染以上に「マスク警察」の存在。
私と娘がよく出かける美術館博物館などは、換気もアルコール消毒も徹底しているし、入り口での検温アルコール消毒などもきちんと行われ、比較的安全な場所ですが。
某県の小さな施設に出かけたおりのこと。入り口で検温や消毒をすませ、観覧者のほとんどいない室内で、女性の係員にここで写真をとってもいいか尋ね、OKとのことだったので、娘とカメラを向けあいました。
「1,2,3ハイ」の合図、ハイのところで、マスクを顎に下げてシャッター。すぐにマスクを戻します。私が娘を撮影した時は、女性係員は何も言いませんでしたが、娘が私を撮ろうとして、わたしがハイの合図でマスクをあごに引き下げたら、すかさずとんで来た高齢男性係員が「マスク警察」に。
「今はだれもいないけれど、これからほかのお客さんがくるんだからね。マスクを口からはずしちゃダメだ」と、数分にわたって説教。
マスクを外していたのは2,3秒にも満たない時間だったと思います。検温して熱もなく、咳もしていない観覧者が2,3秒間でもマスクをはずすことが、どれほどの感染危険増加にあたるのか。エビデンスがあったのかどうかは知りませんが、私には、ただ「かっては部下に説教した元課長」とか「えらそーに生徒に注意してた元教員」とかが、説教する相手を見つけて、延々説教していたように感じました。
そりゃ、たとえ2秒でもマスクをあごに下げた私が悪い。悪いと思うから「はい、わかりました」と、すでにマスクをもどした顔で答えました。
でも、マスク警察の恐ろしさは十分に身に沁みました。
都会ではマスクをしていなかった男性と注意した男性とが小競り合いになった、というニュースも聞こえてきました。延々の説教くらい、がまんしなくちゃね。
この先も、マスク警察に説教されないよう、ぎすぎすした世の中を渡って行こうと思います。はい、私がわるうございました。
後ろの席の視界をふさぐ座り方をしていた二人連れや、たった2秒のマスクずらしに延々説教の施設係員にイライラしてしまったのも、コロナ禍でゆとりのない逼迫生活をしてきたせいです。狭い了見のバーさん愚痴日記を笑いとばし、みなさま寛容精神でせっかくの春を心豊かにおすごしください。
春もたけなわ。暖かい日も続くようになりました。
コロナはまだまだ収束しそうにないですが、東京は高齢者のワクチン接種も始まるとのこと。早くみなが安心して暮らせる日常に戻ってほしいです。
<おわり>