
20230114
ぽかぽか春庭アート散歩>2023正月アート散歩(1)クリスチャン・ディオール夢のクチュリエ展 in 現代美術館
現代美術館は、これまでは「正月の愉しみ」から除外してきました。どの駅からもバスに乗るか歩くかで、ちょっと不便な場所にあります。
しかし、2023年は、江戸東京博物館が改修休館中のため、三が日に開館している現代美術館へ。
クリスチャン・ディオール展。
シニア料金1300円を、2023年の「支払い始め」として入館。(一般チケット2000円)10時半からチケット売り場に並び、11時に購入できた券は「15時から入場可能」。
ランチにサンドイッチの店でホットサンドを食べて休憩したり、所蔵コレクション展を見たりして時間をつぶし、15時から「クリスチャン・ディオール、夢のクチュリエ」展を観覧しました。
ディオールの代々のデザイナーの手掛けたドレスやデッサン画。展示空間の作り方がとてもおしゃれで、美しかった。重圧象平さんのデザインだということです。
現代美術館の口上
OMA2のパートナーである建築家、重松象平氏が日本文化へのオマージュとしてデザインした新しい空間演出に導かれ、フロランス・ミュラー氏のキュレーションにより再考案されたこの回顧展では、創設者クリスチャン・ディオールが影響を受けた芸術から、彼の庭園に対する愛、豪華な舞踏会の魔法、ディオールのコレクションに最初から影響を与えていた日本の豊かな創造性への魅力など、素晴らしい発見を伴う75年を超える情熱にスポットが当てられています。ユニークなコラボレーションと相互への賞賛によって結ばれたこの揺るぎない友情は、ほとんどが初公開となる貴重なアーカイブ資料によって映し出されます。
「ニュールック」の永遠の象徴である「バー」スーツをはじめとした、過去から現在までのアクセサリーやオートクチュール モデルの数々。クリスチャン・ディオール、そしてイヴ・サン=ローラン、マルク・ボアン、ジャンフランコ・フェレ、ジョン・ガリアーノ、ラフ・シモンズ、マリア・グラツィア・キウリといった後継者である歴代のクリエイティブ ディレクターたちが考案した作品のひとつひとつが公開されています。本展では、東京都現代美術館が所蔵する貴重な作品や、日本人写真家・高木由利子氏3が本展およびポスターのために撮り下ろした写真など、魅力的な作品が展示されます。また、クリスチャン・ディオールの先見性を受け継ぎ、「ディオール レディ アート」や、「レディ ディオール アズ シーン バイ」などで再解釈されたバッグ「レディ ディオール」、「ミス ディオール」、「ジャドール」といった、フレグランスの世界など、ディオールの歴史と絶え間ない創意工夫の賜物である、斬新なアイコンも展示されます。
クリスチャン・ディオールは、1957年に心臓発作で急逝。以後、イヴ・サンローラン、マルク・ボアン、ジャンフランコ・フェレ、ジョン・ガリアーノ、ラフ・シモンズ、そして現在のデザイナーであるマリア・グラツィア・キウリと、そのスピリッツが継承されていきました。
最近では美術館などで、ファッションをアートとして展示することが多くなりました。2022年は三菱1号館でココ・シャネル展を見て感銘深かったですし、2023年はじめに、クリスチャン・ディオール展。よい展覧会でした。会場内、どこも撮影自由でした。
展示第1室の展示は、1947年『コロール』(別名「ニュールック」)コレクション「バー・スーツ」

美しい衣裳の展示を見て、「わぁ、これ着てみた~い!」とは決して思わない「ぼろは着てても心は錦主義」の春庭ですが、むろんプレゼントしてくれるというなら、ぜんぶ欲しい。すてきな服ばかりでした。
田舎で育った私にとって「ファッション」とは、雑誌の中の、あるいは遠い東京のお金持ちや映画スターなどが身にまとうものであって、自分とは無縁のものと思っていました。しかし、おしゃれ大好きな姉は、ファション雑誌をおこずかいで買ってきて、洋裁を習っていた伯母の服作りを見よう見まねで、高校生くらいから「着たい服」を作ってファッションを楽しんでいました。
ファッションに無縁の私でも、おしゃれ好きの姉からディオールとピエール・カルダン、イヴ・サンローランの名前は聞きかじっていました。東京オリンピックのころのこと。
しかし、私がディオールの名を知るより前に、1957年にクリスチャン・ディオールは亡くなっていて、私が聞きかじった「ディオール」とは「メゾン・ディオール」のことであり、代々のデザイナーに継承された「ファッション企業」のことでした。
今回の展示では、イヴ・サンローラン、マルク・ボアン、ジャンフランコ・フェレ、ジョン・ガリアーノ、ラフ・シモンズ、そして現在のデザイナーであるマリア・グラツィア・キウリ、綺羅星のごときデザイナーの服がブースごとに並び、華やかでした。
ことに、ディオールと日本のかかわりについて展示してある第2室では、ライセンス契約を結んだ鐘紡と大丸がディオールの型紙で服を制作して販売したこと、ディオールほかメゾンのデザイナーが日本美術に深い関心を持っていたことなどが、よくわかる展示でした。
現在の上皇夫妻結婚式(1959年の明仁皇太子と美智子様)のウェディングドレス3着をディオール社が制作したことなども、写真展示で示されていました。
それぞれの時代のデザイナ―の代表作が並んだブースをめぐります。日本の着物を取り入れたり、アフリカやラテンアメリカ、アジアの民族衣装を取り入れたりしながら、さまざまなデザインが並んでいました。
圧巻の空間は、吹き抜けを利用した段々に並んだドレス。「ディオールの夜会 」と名付けられた空間です。
1段に4~7着のドレスが6段に並べられ、それが鏡に反転して写り込んでいるために、色とりどり形もそれぞれのドレスが、魔法のようにきらめいていました。

白い花の房が天井から下がり、それが床の下の鏡に映されて、白い無限の花園の中にドレスが並ぶ空間も、「無限の夢幻」という雰囲気を出していました。

1階と3階、広い現代美術館ならではの空間の使い方もあって、3時の入場から5時半まで、ディオール社のバッグが並べられている展示室、香水の展示など「ディオールの全貌」という感じで歩き回りました。
この先、これらのドレスを着ることは決してなくても、「お金持ちは、アフリカの飢えた子供の姿に涙したあと、1着数百万円のこの服を着てパーティに出かけるんだろう」なんてこと考えずに、アートとして楽しむことにします。
<つづく>