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ぽかぽか春庭「交歓するモダン機能と装飾のポリフォニー in 庭園美術館」

2023-01-21 00:00:01 | エッセイ、コラム


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ぽかぽか春庭アート散歩>2023正月アート散歩(3)交歓するモダン機能と装飾のポリフォニー in 庭園美術館

 会期:2022年12月17日(土)–2023年3月5日(日)

 1月11日、白金の庭園美術館に出かけました。(娘はサントリー美術館に行っていて、別々でした)
 庭園美術館の前身である旧朝香宮邸が、アールデコの神髄を集めたような邸宅ですから、「モダン」を展示するのにふさわしい場所柄です。

 旧朝香宮邸公開のおりに何度か見かけた椅子も、展示されていました。背もたれの絵はマリーローランサンが描いた、という椅子です。
制作年1924 アンドレ・グルー(デザイン)、マリー・ローランサン(絵付)、アドルフ・シャノー(制作)
  

 1910年代から第二次世界大戦の直前までの西欧社会にあふれたさまざまなモダニズム。展示は、ファッション、テキスタイル、椅子を中心とした家具、食器カトラリーまで、時代の息吹が聞こえるような、個性あるれるデザインがすばらしかったです。 

 庭園美術館の口上
 1910年代から30年代は、西欧を中心に日本を含む世界各地で様々なモダンの形が現われた時代でした。
 機能主義に基づく「モダニズム」は、いまなお当時の中心的な動向とみなされていますが、一方で、大衆消費社会が進展したこの時代は、常に新しくあるために装飾することに価値が置かれた、儚き「モダニティ」の時代でもありました。実際、この対立的に捉えられることの多い二つの「モダン」はいくつものモダンの形をうちに含み、それらは複雑に関係しながら濃密な時代を作り上げていたのです。
 当時の作家たちは、時間差なく情報を共有し、国やジャンルを越えて同期し合い、その範囲は、絵画、彫刻から、家具、食器、洋服、さらにそれらを収める建築や都市まで、いわば、私たちの生活空間、身体活動全般におよんでいます。
 ウィーン工房は、フランスのファッションデザイナー、ポール・ポワレと刺激し合い、一方で、ロベール・マレ=ステヴァンなど同国のモダニストにも影響を与えました。その生活全般への眼差しはまた、日本の森谷延雄や斎藤佳三にも共有されるものです。同時性絵画で知られるソニア・ドローネーはファッションの仕事に専心し、ルネ・エルブストらモダニストは都市を彩るショーウィンドウデザインに大きな関心を払いました。そして、バウハウスでは女性作家が織物に新たな光を当て、また同校を離れた作家たちが、ブルク・ギービッヒェンシュタイン美術工芸学校を舞台に応用芸術教育に取り組むことになります。
 1914年に勃発した人類史上初の世界大戦が象徴するように、この時代の最大の出来事は世界が一気に同期したということでした。その急速に変化する社会のなかで、作家たちがときに交わり、共鳴しながら探求したいくつものモダンの形を紹介します。

 展示構成
・Chapter1:1900-1913
1-1 ドイツ応用芸術とウィーン工房の転換期
1-2 ポール・ポワレとウィーン工房
1-3 ポール・ポワレとフランスファッション
1-4 フランスにおける室内装飾の新傾向
Chapter2:1914-1918
2-1 ダゴベルト・ペッヒェと大戦期ウィーン工房
2-2 フランツ・チゼックとウィーン美術工芸学校
Chapter3:1919-1925
3-1 女性作家たちのウィーン工房
3-2 日本における生活改善運動
3-3 フランスにおける新旧室内装飾
3-4 戦後フランスファッションの展開
3-5 都市芸術 通りの芸術
3-6 装飾と抽象
3-7 初期バウハウス
Chapter4:1926-1938
4-1 デッサウ以降のバウハウス
4-2 バウハウスから離れて
4-3 UAM:フランスのモダンデザイン
4-4 ファッションのモダニズム
4-5 日本におけるモダンデザインの動向

 三菱1号館で見た上野リチの作品もたくさん展示されていたので、「わぁ、また会えた」と思って見入りました。

 フリーチェ・リックス・ウエノ「テキスタイルデザイン・クレムリン」


 いつも記念の絵ハガキを買うのですが、今回買った絵ハガキは結局上野リチのテキスタイルデザイン4枚でした。好きだと思うものを買うので、三菱1号館のときと同じものを買っている気がします。

 ソニア・ドローネーの絵もよかったです。中学生のとき、「抽象画はわからんけど、ドローネーの絵は好き」と思って以来、ロベルト&ソニア・ドローネー展が開かれたことがあったのにも気づかず、今回はじめて写真版ではない絵を見ることができました。
 ソニアは、早いうちに油絵からテキスタイル作品に転向したので、絵は貴重品。ソニアが息子のためにパッチワークで毛布を作ったことから、テキスタイル、ファッション、舞台衣装などにも進出し、かずかずの作品を手がけました。

 ソニア・ドローネー「リズム」1915-1930

 ポールポワレから始まるモダン・ファッション。ポワレのドレスやシャネルの服の展示、現代ファッションの大元だなあと、拝見。

 シャネル

 


  
 

 









 旧館展示の

 旧館「殿下書斎」に展示されたコートドレス

 新館展示のシャネル

 カトラリーや香水瓶も「モダン」なデザインは少しも古びない。

 政治や社会の問題で「近代」については、さまざまな暗部もある中、デザインにおける「モダン」は、私たちの生活の中に今もなお輝いている。近代社会批判もわかるけれど、衣服や生活雑貨、家具などで、どれほど「モダン」が画期的なものだったか、見て歩くの、楽しかったです。

<おわり>
コメント
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