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ぽかぽか春庭「秋は夕暮れ」

2016-10-09 00:00:01 | エッセイ、コラム
20161009
ぽかぽか春庭ことばのYaちまた>神無月のことば(1)秋の暮れ

 秋は夕暮れ、である。夕日のさして 山の端 いと近うなりたるに からすの寝どころへ行くとて 三つ四つ 二つ三つなど 飛び急ぐさへあはれなり、である。
 もう、どうしようもなく、秋の夕暮れである。

山門をぎいと鎖すや秋の暮れ(正岡子規)
 そして、七つの子のもとへ、三つ四つ二つ三つと、からすの勝手なり

石ふたつ相寄るごとく秋の暮れ(高浜虚子)
 石だって寄り合いたくなるよね、秋の暮れだもん。

百方に借あるごとし秋の暮れ(石塚友二)
 だよね。秋の夕暮れだもの。夏は忘れていても、秋の暮れなれば百方の借。

この道や行く人なしに秋の暮れ(松尾芭蕉)
 そしてだれもいなくなった。

荒川の秋の夕暮れ

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ぽかぽか春庭「地球交響曲第8番 in 写真美術館」

2016-10-08 00:00:01 | エッセイ、コラム
20161008
ぽかぽか春庭日常茶飯事典>秋散歩(6)地球交響曲第八番 in 写真美術館

 昨年の春夏あたりの出来事だったと思います。きちんと日付をつけていないので、忘れてしまったのですが、有る出来事。
 友人に「チケットもらったのだけれど、行けなくなったから、よかったら代わりに見てきて」と、映画のチケットをもらいました。タダのものを使わないと損した気になる貧乏性なので、出かけました。『蘇生』というタイトルの映画(白鳥哲監督作品)。
 会場についてロビーを見渡すと、ただの上映会ではない雰囲気。EM石鹸とかEM洗浄液とかを売っています。私は何も知らずに、映画を見ました。おみやげのパンフレットと掃除に使うというEM活性液の試供品をもらいました。

 映画は、比嘉照夫という琉球大学名誉教授農学博士の事跡を再現ドラマ化したものと比嘉氏へのインタビュー、そして、比嘉氏の提唱するEM菌によって、放射能も農薬汚染も除去できるという理論を信じる人々へのインタビューなどによって構成されたドキュメンタリーでした。

 出演している女性の言説にひっかかりました。科学めかして語られていますが、音響理論から見て、間違ったことを言っていると気づきました。私、音響音声学という授業を受け持たされて、周波数とかには詳しくなった。各惑星の周波数によって病気もなおると言われて素直に信じるほど素直じゃない。音響のある周波数が、動植物に影響を与えることは実証できていることですが、惑星の周波数が人間に直接影響を与える、というのは、オカルトの部類。信じたい人は信じてよいが、実証できないことを、さも真実であるかのように語っている部分があることで、こりゃ怪しいわい、と思ました。
 とにかく出演者は、EM菌の有用さを語っています。

 EM菌とは、「Effective Microorganism(有用微生物群)」の頭文字をとった複合的な菌類で、抗酸化作用を持ち、土壌汚染された地球を回復させ、タイでは病院で医療用に使われ、ということが映画の中で紹介されていました。

 映画の中で語られていること自体、首をかしげたくなる言説がありましたが、地球環境とか自然との共生とかを信奉する人にとっては、こういうのを信じたい人もいるだろうし、信じてEM製品によって、除菌もできるし水は「EMの波動」によって清浄水になるし、というのを信じて使いたい人は使うがよろしい、と思うのみ。

 調べてみれば、なんら実証的な検証を経ずに商品化されているものであることがわかりました。開発者の比嘉照夫氏は、「他の調査機関の検証は必要なし」として、第3者による実証研究を拒否しているのだという。自分の説だけが正しいとし、第3者の検証を受け入れないという時点で、ネットなどで「エセ科学」と叩かれているのも仕方がないかと思います。

 私は、こういうものに対して、常に斜めに見てしまう。しかるに、科学的根拠を持つかのように説明された、EM作用にしろ、その他のレメディ・ホメオパシーにしろ、信じたいと思う人は信じればよい。
 すべての宗教も同じで、信じる人にとっては鰯の頭も柊も大切なものであり、その人にとってそれが心の支えになっているのなら、他者に被害を及ぼさない限り、何を信じようと自由、というのが私のスタンス。

 どのようなことであれ、科学的な衣装を着せれば、科学的に見え、それを宗教的に扱って「信じよ」と言えば、信者はつく。
 私はどうも、「地球との共生」とか、「ガイアを守る」という言説に対して「こいつはマユツバか」と、疑り深い人間です。

 「地球交響曲」シリーズに対しても、その一種宗教的信奉者、スピリチュアルファンが根強く持ち上げる映画に対して、「騙されまいぞ」という意識が強かった。地球環境保全行動者たちが信奉する映画とは知っていても、これまで見る気にならず、熱狂的なファンがいることは知っていても、わざわざ上映会場に出向いて、お金を払って見る映画とは思っていませんでした。私の意識の中では、『地球交響曲ガイアシンフォニー』は、EM宣伝映画『蘇生』と同じようなものでした。

 10月1日、えびすの写真美術館に出かけました。9月21日に見た、杉本博司『ロスト・ヒューマン』をもう一度見たいと思ったからです。9月21日は第3水曜日で65歳以上は無料。10月1日は都民の日で無料。

 写真美術館の1階ホールで『地球交響曲第8番』の上映が行われていました。最終上映の前に龍村仁監督のトークショウもあるというので、申し込みました。映画はシルバー割引きなしで1800円。いつも映画は飯田橋ギンレイの映画パスポートを使って見るか、シルバー割引き1000円で見ているので、1800円は高いと思いましたが、トークショウ付きなら、ま、いいかと思って両方の申し込みをしたら、トークショウは1000円なので、合計2800円と言われました。

 一瞬「じゃ、やめます」と、言おうかと思った。だって、10月1日は写真美術館無料だと思うから出かけてきたのに、2800円も消費しては、私の無料行楽生活には違反になる。
 でも、まあ、たまには有料生活するか、と、泣く泣く2800円払いました。(泣く泣くは、譬喩だからね。2800円払わされたくらいで泣かないで、という慰め不要)

 これまで、『地球交響曲』を「なんか、スピリチュアル系の映画だよね」と思って敬遠してきたのだけれど、この日こうして出会ったのも何かのご縁かも知れないし、と思いました。それに、見ないであれこれ言うことはできない。もし、怪しげなスピリチュアル系だったとしたら、きっちり批判点を知って批判しよう。内容を知らずに敬遠するのは、いいかげんなネット言説と同じになる。

 1992年の地球交響曲第1番から、割に私の好きな人が出演していました。第2番、佐藤初女、第3番星野道夫、第4番ジェーン・グドールなど。そして最新作第8番では、畠山重篤。

 トークショウのはじめは、第8番に出演している天河大辨財天社の楽士のひとり横澤和也さんが、笙の笛と石笛(いわぶえ)を演奏して場内を一周し、そのあと、私の席G19番のうしろのG20に着席。

 トークショウは、監督龍村仁さんと天河神社宮司の柿坂神酒之祐(かきさかみきのすけ)さんのお話でした。(神酒之祐って名前、すげーな。宮司にならなかったら、自己紹介したとき相手は反応に困ったかも。宮司になった)。

 天河神社ときいて思い浮かぶのは、内田康夫原作、市川崑監督『天河伝説殺人事件』。能面にまつわる話でした。そういえば、地球交響曲のナレーションはこの映画の浅見光彦役榎木孝明でした。

 3時半から4時半までの1時間では、あまり込み入った制作秘話的なお話はなかったですが、石笛の演奏を聴くことができたこと、とてもよい時間でした。石笛は、火山溶岩の中、自然に穴があいたいわば「天然オカリナ」。
 役行者とのつながりも深いという神社なので、行者たちに受け継がれてきた楽器だろうと思います。四国のサヌカイト石琴もそうですが、石はとてもいい音を出します。魂と響き合うような音。

 龍村監督のお話は、いろいろなところでインタビューに答えたことと共通していました。
自分のあずかり知らぬところで働く大きな力への畏敬の念と、自分の職分を全うしたいという情熱。私には、それが人間の本質ではないかと思えたのです。それに気づいたとき、私はとても感動し、ぜひこのテーマで映画を作ろうと決心したのです」


 5時から『地球交響曲第8番』上映。第8番の大きなテーマは、「木」です。出演は、能役者梅若玄祥、能面打ち見市泰男、バイオリン制作者中澤宗幸、その妻バイオリン奏者中澤きみ子、漁師畠山重篤(NPO「森は海の恋人」代表)

 樹齢何百年もの木を切り倒し、その木から能面を作り上演する。3.11津波で倒れた木からバイオリンを作り、明治神宮で奉納演奏をする。牡蠣養殖漁師が、海を守る木を山に植える、それらの活動と、関わった人々のインタビューで構成されていました。

 「天河伝説殺人事件」に毒されている私は、この「世阿弥の息子、観阿弥元雅暗殺事件」に関わる能面「阿古父尉」に関わって、殺人事件なんか起きたらすごいな、と思っていましたが、能面制作は真摯に着々粛々と進みました。ドキュメンタリーだからね。シナリオはあるけれど、推理映画じゃないから。はい、わかっております。でも途中で、能楽師が面をつけたとたんに苦しみだしてばたっと倒れるなんて演技をしてみたら、私はノルのに。

 私が先入観で怪しんでいたスピリチュアル系の押しつけはありませんでした。むろん、この映画を見て啓発されるスピリチュア系大好き人間もいると思いますが、それは見る人の自由。

 午後5時からの上演で、観客は少なかったですが、終演後、龍村仁監督は、出口でひとりひとりに握手してくれました。私も握手して「ありがとうございました」と、心から言いました。握手会つきだから、2800円も元とったかな。っていう発想しか出来ない私、品性に欠ける人間は、スピリチュアル地球にはやさしくはできないんだろと、反省。

 ファンのおばちゃんだか知り合いだかと談笑している龍村仁監督76歳


 無料の「ロスト・ヒューマン」だけ見てすぐ帰るつもりで、晩ご飯を何も用意してこなかったので、回転寿司をお持ち帰りにしました。3人分で33皿、66貫。さすがに、私はカッパ巻きを残し息子はおつまみ卵を残しましたが、娘は完食。
 残した分、ちゃんと朝ご飯に食べましたよ。地球にやさしいから、食べ物粗末にしたりしない。これで、品性とりもどしたぞ、、、、って、品性ひくからずの奥様は、回転寿司11皿22貫は食わぬか。

<おわり>

 龍村監督の写真は、撮影許可も掲載許可も得ていないゲリラ撮影&掲載です。肖像権問題など起きた際は削除します。地球交響曲8番、見る価値ありと思っての文面であり、龍村監督カッコいいと思っての掲載ですが、やっぱりね、肖像権著作権問題は慎重に。
ただし、著作権死後70年まで延長には反対。
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ぽかぽか春庭「かかし in 後楽園」

2016-10-06 00:00:01 | エッセイ、コラム
20161006
ぽかぽか春庭日常茶飯事典>秋散歩(5)かかしin 後楽園

 10月に入って、4日は32度の真夏日。5日には、台風18号がまた日本縦断という天気。なかなか、暑くもなく寒くもなく行楽日和、という秋にはなりませんが、春庭、せっせと徘徊しております。

 9月26日は、食べ過ぎ体重超過を運動でカバーしようかと、自転車で1時間弱走りました。中央線の北側なら自転車ででかけることが多いのですが、さすがに真夏の間は、熱中症警戒で自転車に1時間も乗ることは避けていました。ようやくママチャリ散歩の季節です。

 水戸黄門が整備したと伝わる小石川後楽園。65歳以上150円一般300円で、一歩園内に入れば、都会の喧噪から離れて、池や築山をめぐることができます。後楽園ドームでイベントがあると、池の東側にいるとときどき大歓声が聞こえてくるのですが、そうでなければ、回遊式庭園は静かなひとときを味わうことができます。

白萩


 黄門様は中国文人趣味大好きっ子だったので、園内にも中国趣味のたたずまいがところどころにあるのですが、私が秋の後楽園で好きなところは、彼岸花の群落のほか、小さいながら田んぼに稲が実るところ。稲穂を見ると豊かな気分になれるのは、田舎育ちの農耕民族のDNAでしょう。




 
 近くの小学生達が田植えなどをしてきたという田んぼ。かかしが稲を守っているのは、ほほえましいのですが、田んぼ全体に鳥や虫除けのネットが掛けられていて、写真にはちょっと不自由。



 かかしを見ると思い出すのが、娘が小学校のとき学芸会で演じた『音楽劇オズの魔法使い』です。主役ドロシーは、1場2場3場と、場面ごとに交代で演じることになったトリプルキャストだったので、「セリフの数全部を数えてみると、かかしが一番出番が多い」という理由で、娘はカカシ役に挑戦。学年オーディションで希望通りカカシ役を獲得しました。歌がそれほど得意じゃない娘でしたが、いっしょうけんめい練習して、かかし役を楽しそうに演じていました。

 何を見ても、子どもとすごした月日の思い出になってしまう、というのも、私が年をとったという証拠であり、将来に何の展望もない老体ゆえに、過去を振り返るしかやることがないのだなあと、しみじみします。
 まだまだ楽隠居はできないのだから、もうひとがんばり。



これまでは1時間くらいママチャリをこぐのは平気だったのに、帰り道、上り坂はきつかったです。年です。
車で通り抜けると、感じないですが、東京を自転車で走ると、実に坂の多い町だとよくわかります。もう、これからは電動機付き自転車にでもしないと、1時間以上の自転車走行は無理かなあ。いつまでも体力自慢していると、きっといつか痛い目にあうぞ、と思いながら、ふうふうと家に帰り着きました。

<つづく>
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ぽかぽか春庭「カワセミ in 名主の滝」

2016-10-05 00:00:01 | エッセイ、コラム

名主の滝、男滝

20161005
ぽかぽか春庭日常茶飯事典>秋散歩(4)カワセミ in 名主の滝公園

♫ 誰だってあるんだろう  こころの奥に 宝物の地図 大切な場所へ
 という歌が流れてきます。
 必ず見る、というのではないけれど、ときどきは家事をしながら横目で見ている番組「にっぽん縦断 こころ旅」の主題歌「こころたび」です。
 自転車に乗って、火野正平さんが視聴者の思い出の風景を訪ねる番組、私が応募するとしても、思い出の場所、ひとつを選ぶことはできません。
 宝物の地図がたくさん心の奥にしまってあるってこと、幸せなことと思います。

 そんな宝物の地図のひとつ。幼い娘息子と、夏のはじめに蛍見物に行った名主の滝公園。
 名主の滝公園は、江戸時代の名主さんが武蔵野台地の崖とわき水を利用した滝を作り、一般の人に開放したという名所です。今は、北区が管轄し、地下水を利用して男滝、女滝、独古の滝、湧玉の滝の水流を保全しています。

 久しぶりに訪れた名主の滝。
 

 夏の間はたぶん、4つの滝全部に水が落ちていたのでしょうが、9月25日は、男滝だけに水が流れていました。


 滝をながめ、園内を一回りすると、蛍が光っていた夏の日を思い出します。
 バブルまっさかりのころ、娘の小学校でも、クラスメートは海外旅行へ出かける、なども多かった時代に、娘と息子になんとかしてお金をかけないでも楽しい夏の思い出を作ってやりたいと、いろんなイベントに応募して夏をすごしていました。
 蛍見物も、我が家にとっては大事な夏の行事でした。区の環境対策事業として、数年間、蛍育成を行っていたのですが、2011年に中止。今はもうやっていないので、娘息子の成長期に、蛍を毎年見せてもらったこと、ありがたい行事でした。

 秋分の日をすぎた日曜日。秋の昼の名主の滝。
 お母さんと子ども。お父さんに連れられた坊や。いろんな親子連れ、家族連れを見かけました。親子で公園を歩く時間、大事な宝物だよ、この公園も宝物の地図になるよ、と心のなかで呼びかけました。

 滝の水が流れ込む園内の池に、望遠カメラを池に向けて、何人かじっと水面を見つめているので、あれ、カワセミが来ているのかな、と思いました。前に小石川後楽園でも同じ光景をみたからです。
 案の定、池の中の石にカワセミが止まっていて、青いきれいな羽を休めていました。
 こんなとき、性能のいい望遠レンズ付きの一眼レフでないのが悔やまれます。いつものコンパクトデジカメで撮影したので、せっかくのカワセミがぼけぼけです。軽くて性能のいいデジタル一眼レフ欲しいけれど、なにせ貧乏人。

 真ん中の石の上に、ちょこっと乗っているカワセミ、小さいけれど青い背中はわかります。


画像拡大してみたけれど、画素数すくないデジカメ画像、ぼけぼけ写真になりました。

 
 写真はきれいにとれなかったけれど、でも、心の奥に、このカワセミの姿も宝物のひとつとして、そっとしまっておきましょう。都会の真ん中で、カワセミを2度目に見ることができて、よい秋の一日でした。

カワセミは夏の季語ですが、どうせへぼ句ですから、カワセミで一句。

・翡翠も秋衣着て青深し(春庭)
・翡翠が見つめる水面に風すぎて秋昼ひそかに陰りゆくのみ(春庭) 
  
こころたび 作詞:池田綾子
誰だってあるんだろう  こころの奥に
宝物の地図 大切な場所へ
小さな頃は毎日が 不思議の世界で
だんだん顔を変えてゆく雲を 追いかけて走った

手のひらに揺れる木洩れ日は
太陽のかけら 土の匂いがした
それはきっと 宝物

君だってあるんだろう 大切な場所が
思い出すたびに 笑顔になれる 見つけたいんだ その宝物
こころが知ってる ぬくもりを 遠い日の夕ばえ

あのとき言えなかったことも 泣きたかったことも
みんな時を越え きょうの笑顔に変わってく
ゆっくり行こう 思い出はいつもやさしく
明日(あす)へ続いてる

行ってみたいんだ 大切な場所へ
思い出すたびに 笑顔になれる
探しに行こう その宝物
輝きつづける その場所を  もういちど


<つづく>
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ぽかぽか春庭「輝く女性達展 in国立文書館&三の丸尚蔵館in皇居東御苑」

2016-10-04 00:00:01 | エッセイ、コラム
20161004
ぽかぽか春庭日常茶飯事典>秋散歩(3)輝く女性達展 in国立文書館&三の丸尚蔵館in皇居東御苑

 9月24日土曜日の散歩も雨の中。雨の多い秋でした。

 雨でも何でも出かけようとするのは、家にいると、どうしても娘にあれこれ言いたくなってしまうから。娘が「仕事のない母親の関心が娘に集中し、娘は母親に束縛されてしまう」と、感じてしまわないようにするためです。

 私の関心は、娘の体調の善し悪し、そして娘が今以上に太らないよう体重管理。息子は逆に小食で、夏の間はほとんど食べられず、一日の栄養の大部分は水代わりに飲む牛乳という偏った食生活。アラサーの娘息子に「もっと食べろ」だの「そんなに食べるな」だの、言いたくなるところを、まてしばしと押さえて、雨の日も外へ。

 子ども達が母親を一番必要とした時期に、私は家計担当者として仕事仕事の日々でした。日常生活のしつけなどは「学童保育の先生におまかせ」のときもあり、食事マナーなど「そんなマナーだと、宮中晩餐会出席のおりにはひんしゅくじゃ」と思うこともあります。まあ、晩餐会に出ることないからいいんだけれど。私は、どんな貧しい食卓でも、優雅に美しく食べる親子になりたかった。
 昼食5分で食べて午後の授業の準備をして、夕食15分で食べ終わって、洗濯やらお茶碗洗いやらしなければ日常生活回っていかなかったころ身についた早食いがなおらず、娘息子のマナーをとやかく言う時期を逸してしまいました。

 娘息子が家を出て、私は空の巣症候群になる予定だったのですが、、、、、ふたりとも家からいっこうに出て行こうとはしないパラサイトシングル生活ですので、私が家にずっといる時間、過干渉になるのをぐっと押さえなければなりません。

 そんなこんなで、娘息子を残して、雨でも出かける。
 雨のときは、美術館が一番すごしやすい場所。9月24日土曜日は、皇居東御苑プラス三の丸尚蔵館&近代美術館といういつものコース。三の丸尚蔵館は、いつでもだれでも無料、近代美術館常設展は65歳以上無料なので、私がもっとも頻繁に訪れる散歩コースです。

 三の丸尚蔵館。9月の展示は、皇室所蔵の書。東京国立博物館などの所蔵であったら、確実に国宝印がつくだろうに、皇室の御物だから、国宝指定にはならない。そういうことになっているらしい。でも、こうして見せていただけるのはとてもありがたいこと。「書の美、文字の巧」展の、前半展示です。

 玉泉帖 小野道風 1巻 平安時代(10世紀)


 館内、外国人旅行者が多い。バスのコースで寄ることになっているのだろうけれど、絵や彫刻ならともかく、書を見てこの素晴らしさをわかってくれたのかなあと、、、。そりゃ、私だって読めないけれどね。配布のパンフレットには、翻刻した文書がありました。翻刻の活字と見比べれば、なんとか読める。私は、生来の悪筆、金釘流家元ですが、書を見て美しいなあ、すばらしいなあと感じることはできます。

 息子は、博物館で古文書翻刻アルバイトをを続けています。「安!時給」のバイトでも黙々と続けているのを見ると、こういう文字を朝から夕方まで眺めていてもいやにならないのは、それはそれでひとつの能力だと思えます。時給は最低賃金しかもらえないけれど、本人がそれでいやじゃないと言うのだから、食えないバイトでもしかたなし。それにしても、かなり専門的知識が必要な専門職と思うのに、東京都最低賃金しかもらえないのは、どうしたことか。博物館内レストランの皿洗いバイトより安い。

出会う観光客のほとんどが外国人だった、東御苑。
 二の丸庭園の池も雨にけぶる
 

 諏訪の茶屋


 大手門から入園し、北桔梗門から出て行くいつものコース。北桔梗門前の高速道路入り口を渡ると、目の前は国立公文書館です。

  国立公文書館で「時代を超えて輝く女性たち」という特別展をやっていました。(10月16日まで)
 津田梅子や広岡浅子(「あさが来た」のモデル)ら、明治時代の先駆的女性の事跡紹介から、現代まで。2015年8月に「女性活躍推進法」が成立したことを踏まえての展示、ということらしいです。

最初の女子留学生5人。

広岡浅子肖像


 学習院教授をつとめ、実践女学校創立者となった下田歌子とか、勲章や記念メダルを得たような公的な表彰を受けた女性の紹介が主なものでした。
 公文書館ですから、国の記録に残った人が出てくるのはやむを得ないことですが、私は、国の表彰などは受けなかった、「野の女性達」の記録も、さまざま方法で残していくことをもっと考えていかなければ、史料などが散逸しては惜しいなあと思いました。

 そういう「お国の表彰」を受けなかった女性たちの事跡に心ひかれます。たとえば、松井やよりの「女たちの戦争と平和資料館」の活動などは、決して国の表彰を受けることはないでしょう。
 男性でいえば、8月21日に101歳で亡くなったむのたけじさん。勲何等とか受賞しなかったでしょうけれど、私は、松井やよりさんやむのたけじさんに心寄せて生きていきたい。おふたりをジャーナリストの手本と思っています。

 時代を超えて輝く女性展。
 私、輝いたことあった?という気になる。ずっと下積み、苦労の連続。輝くどころか、泥んこぬかるみの道、どしゃぶりの中歩いてきたような。
 小降りになった道を歩きながら、ふりかえって見れば、、、、

 午前中は大学院で授業を受け、午後は日本語学校で授業を担当する、夜は息子をあやし、娘のままごと相手をしつつ夕飯作り、茶碗を洗う。茶碗を洗いながら頭の中では修士論文を構想し、土曜日や夏休みは夫の会社を手伝った。よくぞ生きてきた、という毎日。
 誉められもせず、苦にもされず、ひでりの日も雨の日も、おろおろ歩いたあの時間が、私の輝ける日々、、、、だったのか。

 なんぞと、ぶつくさいいながら、近代美術館へ。雨は小止みに。 

<つづく>
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ぽかぽか春庭「ダリアと栃の実 in 神代植物園」

2016-10-02 00:00:01 | エッセイ、コラム
20161002
ぽかぽか春庭日常茶飯事典>秋散歩(2)ダリアと栃の実 in 神代植物園

 9月、ひとり散歩はせっせと公園めぐりをしました。
 秋の七草を見に、向島百花園へ行ったのが9月5日。でも、まだ夏の気温で、秋草はあまり咲いていませんでした。9月後半のシリーズは、万葉集の「秋の七草」の歌にしようと決めたので、「七草全部見たい」と思って、都内の公園、植物園を巡ったのです。

 都内の庭園、植物園は65歳以上無料か低料金のところがほとんどで、敬老の日の1週間は、無料のところが多かったです。「貧乏な年寄りは、お国のために早く死ね」という施策のもとでほそぼそ生きている身としては、せめて無料の草木でも眺めて生きていきまする。

 もともと画素数少ないデジカメですし、近接撮影モードもないので、じょうずな花写真は撮れないことはわかっているのですけれど、なんとか自前で七草そろえたいと発心しました。それでも見ることなかった花はネット写真を借りました。だんぜん借りもの画像のほうがきれいな花です。それでも、できるだけ撮影したい、とがんばりました。

神代植物園入り口にある「秋の七草」寄せ植えコーナー。


 9月19日、三鷹駅から調布行きのバスに乗って、神代植物園入り口下車。
 ぽつぽつ雨が降り出しました。う~ん、美術館散歩なら雨降りでも気にならないけれど、植物園では雨は避けたかった。しかし、まあ、敬老週間で無料だから、雨がひどくなったら、すぐに帰ろうと、入園しました。

 傘をさしてダリア園を通る。ダリアもさまざまな園芸品種が開発されていて、どの花もあでやかできれいでした。
 ダリアの世話をしていた方に「昔、うちの庭に咲いていたダリアをポンポンダリアと呼んでいたのですけれど、今このダリア園にはポンポンダリアというのはないんですね」と、質問してみました。「はい、園芸種では花の大きさが5センチ以内の丸い花をポンポンダリアと呼んでいるので、この園にはポンポンダリアというのは植えていないです」という解説でした。確かにダリア園の花たちは、10センチにもなる大きな花が絢爛豪華に咲いていました。
 子どもの頃の我が家の庭のポンポンダリア、けっこう花の大きいのもあったと記憶するけれど、今は小さい花がポンポンダリアなんだ。

ビューティフルティーチャーという名のダリア。私のことよね。

ティンカーベル

イエローパール

恋空


まだ品種ネームがついていないのか、No.14-178という番号のほか、さまざまな品種


 子どもの頃、庭の草花はままごとに自由に使ってよかったのだけれど、ダリアは「毒があるからダメ」と禁じられていました。でも、庭の中で、こんなにおいしそうな料理にできあがる花はそうはないですから、姉と妹、私、三人姉妹はせっせとダリアをごちそうにして遊びました。我が家の庭、水仙も都忘れもダリアも、まったく世話をしないで毎年花を咲かせている、「自由気まま」の花壇でした。どこからか、苗や種をもらってきて植えてもすぐに咲かなくなる花も多かったけれど、ダリアはけっこう縄張りが強くて長年同じ場所に何株も出てきました。
 姉が料理して、私と妹が食堂のお客になるおままごと、60年前の日々。

 雨が強くなってきたので、深大寺出口から出て、蕎麦屋に入りました。そのうち小止みになるかと天ぷら蕎麦を食べて待っていたのですが、いっこうに小降りになりませんでした。

 細くて小さいエビの身でどうしてこんなに大きな衣がつけられるんだろうと、その技にびっくりの天ぷら蕎麦
 

 雨の中、森の小径を通り、この雨つづきで、きのこがたくさん出ているのを観察。

雨の森


 きのこ写真いろいろ撮ったのですが、種類はわかりません。きのこ本がいろいろ出ているので、そのうち、図書館で照合を。



 瓢箪へちまの棚を見て、すいれんの池に出ました。



 森の中、大量に落ちている木の実を拾いました。園内の植物を持ち帰ってはいけないだろうと思ったのですが、生えている植物をひっこぬいたりするのではなく、落ちているものだからお目こぼしを、と、十粒いただきました。あとで調べると、落ちている葉や木の実は持ち帰っていいとのこと。よかった。
 木に説明がついていなかったので、何の木の実か定かでない。栃の実だろうと検討をつけました。おみやげの栃餅を食べたことはあるけれど、実際に木の実を見たことはありませんでした。

 家に帰って調べると、やはり栃の実。
 こどものころ、カヤの実が大好きで、ひとりで拾いに行って、ひとりで灰汁につけてあく抜きをして、こんろの火でよく炒って、ひとりで食べました。私だけがナッツ大好きで姉も妹も、「そんなあく抜きとか手間かけてまで食べたくない。南京豆のほうがおいしい」と言っていました。
 栃の実、餅にしたいけれど、あく抜き用の木灰、買わなければ手にはいりません。



 雨が強くなってきたので、熱帯温室へ。リニューアルされてか、ら初めて入ります。
 熱帯の花、蘭、ベゴニア、熱帯睡蓮など、きれいに咲いていました。絶滅危惧種も多くなってきた小笠原諸島の植物保全も行っていて、有意義な温室です。

サガリバナ、




温室の熱帯蓮の葉

温室の熱帯スイレン


 目的であった秋の七草写真、あまり咲いていなくて、なでしこもききょうの花もちょっと貧弱。くずは見当たらず。七草の花写真という目的には、雨の中歩いたのに収穫は少なかったです。でも、雨の中、木やキノコを見て歩くなんてこと、もう二度としないと思うので、一日、よい日をすごしたと思うことにしました。

<つづく>
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ぽかぽか春庭「ビールで乾杯」

2016-10-01 00:00:01 | エッセイ、コラム
20161001
ぽかぽか春庭日常茶飯事典>秋散歩(1)ビールで乾杯

 秋となれば、実りの秋食欲の秋と言いたいが、食欲は1年中なので、秋が特別というわけでもない。果物も木の実も昨今は秋と限らず、1年中おいしいものが出回る。とは言っても、スーパーに柿や梨、ぶどうが並び栗が出回れば、緊縮財政引き締め中の我が家ではあるが、ついつい手が伸びる。ってなわけで、相変わらずエンゲル係数上昇中です。
 せめて、行楽娯楽費はゼロ円でまかなわねば、食うに食えない失業者。

 ミャンマーから帰国して以来、ジャズダンス仲間ミサイルママと、「第3水曜日大人のえんそく」を続けています。コンセプトは、交通費以外、お金を使わないこと。第3水曜日は都立美術館などが無料になるのです。お昼ご飯はおにぎりやサンドイッチ持参で、交通費は、都内往復500円程度の所。入場料やコーヒー休憩などを含めて、一日千円ほどで楽しく遊ぶ。
 5月藝大陳列館と国立博物館、6月白金植物園と庭園美術館、7月東京都美術館と西洋美術館、8月上野動物園と旧岩崎邸。一日、楽しく遊ぶことができました。

 9月の第3水曜日。リニューアルオープンした東京写真美術館見学。その前に、ミサイルママがまだ行ったことないというので、ビール記念館見学も予約しました。

 恵比寿ガーデンプレイスの大屋根の下で、お弁当を食べ、ビール博物館へ。
 私は、写真美術館見学のついでに、何度か来たことがありました。醸造過程のさまざまな機械器具を見てから400円~500円くらいだったと思うけど、ビールを4種類くらい飲み比べができるコースでした。

 その後、醸造過程の機械器具見学がなくなりました。ビールの歴史説明会とビールテイスティングで500円というコースになってから1度きて、写真美術館が改装閉館のあいだ、恵比寿にくることがなくなったので、久しぶりです。

えびすビール記念館、醸造タンク(現在は使われていません) 


見学コース待合室


 説明の係員は、写真パネルやビール瓶を観覧者に説明しながら、明治のはじめから国産ビールの歴史をわかりやすく説明してくれます。私は、ビール王冠の縁ギザギザの数が21個であることなど、何度も聞いているはずなのに、聞いたはしから忘れてしまうから、今回もおもしろく説明を聞きました。

 日本で最初のビール工場、写真パネルなどを見ながら解説を聞きました。


 20分間のビール製造流通史解説が終わると、お待ちかねのテイスティングタイム。脂分がひとつも残っていないきれいなコップにビールを注げば。きめ細かいアワが立っておいしく飲めるという説明、あ、これは覚えていました。家で実践してみたから。我が家のコップ、雑な洗い方だから、いつもは、あまりいいアワはでませんけれど。

ビールをじょうずに注ぐ


テイスティング飲み比べ。一杯目を半分以上飲んでから、二杯目の琥珀ビールが来ました。


 恵比寿ビール、えびす琥珀ビールがふわふわのアワをのせて供され、塩エンドウをつまみながら、いただきました。おいしかったです。ふだんは日本酒のほうが好き、と言うミサイルママも、「いつもは、ビールは乾杯の一杯だけで日本酒にするんだけれど、今日は2杯目もおいしい」と味わっていました。

ビール工場の絵の前で


 10月から、ミサイルママは、「ホテル・レストランサービス」の職業訓練を受けることにしました。今年3月でインテリア会社を65歳定年退職した後、「年金だけで食べていけるか不安だし、再就職どうしようかなあ」と思案していたのですが、何か新しいことにチャレンジしたいから、と、これまでとは異なる分野に挑戦することに決めました。ベッドメーキングやレストランサービスなどを訓練するそうです。

 「65歳過ぎているんだから、訓練が終わっても実際に就職できるかどうかわからないけれど」と、ミサイルママは心配していますが、背筋しゃっきり伸びて、はつらつとしているミサイルママですから、きっと訓練の成果が出ると思います。
 なにより私は、新しい分野に挑戦しようとする人が大好きです。新しい語学を学ぶのも、人生初めて家を建てるのも、病気に立ち向かうのも、新チャレンジ。
 ミサイルママの今後半年間の職業訓練を応援していきたいと思っています。

 来年の春まで、大人の遠足はひとり散歩が多くなるのは寂しいですが、ミサイルママのチャレンジを祝して、恵比寿ビールで乾杯しました。
 人生の秋に、かんぱ~い!

<つづく>
コメント (4)
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