KUMIの句日記

写真と一日一句で綴るブログ。句の転載を禁じます。

黒猫の話

2020年12月09日 | 俳句
天気 曇のち晴

姪から手紙が届いた。
連絡はスマホで十分なのに手紙で何を?と思って開くと、黒猫の栞が入っていた。姪も猫好き。両親(私の兄夫婦)が猫好きで小さいころから飼っていたので、自然と猫好きになったのだろう。






みゃあにももう逢えないし、ありがとう。電車で30分もかからない所に住んでいるので、簡単に会える姪なのに、現役で仕事をしているから会うのは控えている。

ところで・・私は犬も猫もどちらも好き、だが、黒猫に拘るのは理由がある。
小学何年だったかは記憶がないが、高学年の時だった。家で黒猫を飼っていた。みごとな黒猫で、それこそ漆黒だった。ノラのみゃあは少し茶色っぽくて老いていくに従いこげ茶になってしまったけれど。
さて、そのタマ・・なぜか昔は猫といえばタマだった・・は私の仲の良い友達だった。が、ある日の真昼、家の柱で爪を研ぎ始めたのだ。母がに居れば、柱が傷だらけになってしまうので、こら~~っ、といつも叱る。ところが、近くに母は居なくて、私が母のような大声でタマを叱った。叱られたことのない私に怒鳴られてびっくりしたのか、タマは勢いよく家を飛び出てどこかへ行ってしまった。外へ遊びに行くのはいつものこと。

でも、しばらくして、近所の(近所といったって田舎の近所だから200mくらい離れていた?)おばちゃんが家に駆け込んできた。
「おめえんとこの猫だっぺ、真っ黒いの。国道で血だらけでひっくりけえってる!トラックに刎ねられたみてぇだ」
母が慌てて家を飛び出し、私も後を追った。血だらけのタマをチラ、と見ただけで私はぎゃあああ~
そのあと、泣いても泣いても涙が枯れない。もしかしたら、今までにあれほど泣いたことはないかもしれない。
「アタシが叱らなきゃ、タマはこんなことにならなかった、仲のいい私に叱られて、タマは自殺したんだ」
何しろ、国道とはいえ田舎の道路を車なんて滅多に通らないような時代だ。絶対に自分からトラックへぶつかっていったのだ。わが家の前の土手の上は、国鉄の線路。国道はその線路を渡ったところだ。列車に轢かれなかったのに、滅多に来ないトラックに轢かれるなんてあり得ない・・という罪悪感で、三日三晩(というのは大げさではあるけれど)泣き明かした。

ということで、黒い猫を見ると、タマの生まれ変りのような気がする。思わず、ごめんね、あの時は・・と言いたくなる。

田舎では、猫を飼うのはネズミ退治のためだった。農家でなくても、何しろ天井でネズミが運動会をしているから、猫は少しは役に立っていたのかもしれない。飼い猫に朝の餌をやるのは母の役目。私は、母もてっきり猫好きだとばかり思っていた。
ところが・・母が亡くなってから、私は母の猫嫌いを姉から聞いた。
「知らなかったの?。猫が餌を欲しがって足元にまとわりついてくると、お母さんは蹴っ飛ばしてたわよ」嗚呼。一生知らなきゃよかった。

日短し猫の目光る栞の絵  KUMI
コメント (6)
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