KUMIの句日記

写真と一日一句で綴るブログ。句の転載を禁じます。

壊れゆく・・

2020年12月29日 | 俳句
天気 晴時々曇

写真は、2年前の歳末に家から撮った写真。同じ富士山でも、4階のここからと7階では全く違うのが不思議。とにかく居間から見えたので、雲の動きが面白かったり夕暮れの富士山が綺麗だったりすると、すぐにカメラを向けることが出来た。
この時期、まだ夫の病気は確定していなくて、普通に正月の準備をしていたのが信じられない。

さて、今日の話。ここには、壊れていく人がとっても多いのです。
同じ階の人の三分の一は完全な認知症。しかも、私が入居した頃には普通に挨拶をする方たちだったのに、最近になって妄想が出たり、食事したことを忘れたり、という人が2人も居る。そして今日は、また別の一人?
私の部屋の前に入居されているのは、車椅子に乗った元気な方。室内では掴まり歩きは出来るようだ。つまりは、足が不自由なこと以外の問題はなかった。それが、今日の午後2時半ごろ、ラウンジで近くの部屋の、いつもお喋りをする人と日向ぼっこをしていると、車椅子に乗った彼女が部屋から出てきた。そして、私のお喋り相手を手招きした。会話が聞こえてくる。
「もう昼食時間でしょ、迎えに来ないのよ」(食堂までは介護士が付き添う)
「え? お昼はさっき食べたばかりよ」
「さっき? 食べたのは朝ご飯でしょ」
「Rさん、朝もお昼も私と同じテーブルで食べたでしょ、しっかりしてくださいよ~~」
車椅子の彼女は、何だか恥ずかしそうに部屋へ戻った。
私はまだ挨拶くらいしかしない方なので
「Rさんも、前から認知症気味だったの?」と隣へ帰ってきた彼女に訊いたら、首を振り、今日が初めてのことで「もう、びっくりして心臓がドキドキよ。Rさんまで・・今日限りの勘違いだったらいいけど」私も、そう祈りたい。明日は我が身、かもしれない。

最近になって認知症の出た二人のうちの一人は、ある日突然「冷蔵庫の中のものを全部持っていかれた」と語り始めたそうだ。
私にも「誰かがドアを叩いて名前を呼ばれたの。さっきから何度も。でも出ると誰も居ないの・・」って、私は10分もラウンジに居て、誰も彼女の部屋をノックなんかしていない。
もう一人は、午前10時過ぎると部屋を出てきて、職員が居ると(詰め所に常駐はしていない)「食事の時間ではないの?」と訊くようになった。「まだですよ、時間になったらお呼びしますよ」と答えても、そのあと少し経ってから、また出てくる。

以上の二人は、私が入居してから認知症になった方。同じ階にそれ以外にも居て、しかも女性ばかり。他の階には男性のウルトラ級の認知症の人が居て、普通に会話はできるのに、数分前のことも忘れてしまう。歩ける人なので、家族が一緒でもとても居宅生活は出来ないだろう。認知症の老人には昔から慣れているので(仕事上で)、付き合うのは何とも思わないけれど・・明日は我が身、という年齢になると笑えない。

コロナ籠りで、居宅生活の人たちも認知症の悪化が多くなっているという。人に会えない、自由に外へ行けない、でもここでは、部屋に籠っていても困ることはない・・という刺激のない日々で、能力が衰えてくのだろう。コロナよりも怖いかもしれない。もし、ここで集団感染など起きたら、コロナの怖さの認識のない認知症の人たちはどう処遇することになるのだろう?
心身とも、コロナの収束するまで正常に保てるかなあ・・と、自分に自信がなくなってくる。

捨てられぬものの一つに古暦   KUMI
コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする