天気 晴
寒い寒い一日の朝の始まる空。
昨日、「徹子の部屋」に女優の秋野暢子さんが出演、ご自分のがん闘病の話をされていた。食道がんのステージ1で、手術すれば簡単に治癒するが、声帯にダメージを受ける。職業柄それは困るので抗がん剤と放射線治療とで、2年目のいまのところ完治しているという。
で、抗がん剤を投与すると毛髪が抜ける、と思い、抜ける過程を体験したくないのでその前に剃髪してしまったそうだ。美しい「尼さん」の写真を披露された。さすが女優さん・・。
準備万端のつもりでその頭で通院したら主治医に「脱毛は殆どしない薬なのですよ」と言われたのだそうだ。笑い話になった訳で。
私は63歳で乳がんになった。ステージ1a。普通なら軽い手術とその後は放射線治療を一ヶ月くらい、あとは5年間のホルモン治療の薬を飲むだけ。・・の筈が、手術後の細胞検査で、10人に1人とかのややこしい細胞と解り、抗がん剤6回×3週ごと、放射線治療を行うことになった。脱毛する、と言われて治療の前にウィッグを買いに行った。脱毛が始まったら、その頭では外出出来ないから。そして、がんのステージも2bへ「昇格」した。
で、私の頭はどうなったかというと・・瀬戸内寂聴さんのような美しい尼さんの頭を予測していたのに、そうはいかなかった。前髪と首筋の後ろだけ微妙に髪が残ってしまった。でも、おかげでバンダナを被ると髪が前後に見えて、中が禿げ頭には思えない、というスタイルに出来た。さすがに外出はウィッグを使ったが、家に居るときや近所の買い物などはバンダナのままで済ませた。案外、近所や知人にも病気治療のことを知られないで済んでいたようだ。
抗がん剤治療で髪の抜けるのは凄いショックで大変なこと・・のような印象だが、私にはたいしたことではなかった。抜ける時の始末は面倒だが、とくに痛い訳でも、そのための苦痛がある訳でもない。半年経てばまた生えてくる。抗がん剤でいちばん苦痛だったのは、味覚障害・便秘や爪の変色、などなど。味覚障害は点滴後1週間くらい続き、あとは回復する。でも、かなり辛いもので、コロナの症状にも出る、と聞いてぞっとしたものだ。
私は、一回目の抗がん剤のあとで、念のためにもう一つの抗がん剤をしている。3週1回の点滴を18回。しなくても大丈夫だったかもしれないが、再発率の高いがん細胞なので、主治医が「念のためのこういう薬も承認されました」と教えてくれた。自費では何百万円、という治療費用になると聞いていたので、保険適用になってすぐに希望した。副作用は殆どなかった。ただ、心臓に影響するかもしれない、と言われていて、結果、私は10年後に心臓が壊れたけれど・・因果関係は不明。当時は年齢的にまだ健保3割負担で高額療養費も上限が8万円余り。ま、あまりお安くはなかったが、寿命は延したようだ。
そして今、免疫療法という、これも抗がん剤の一種と言える化学療法をしている。
日本の健保制度に感謝感謝である。
寝返りて消えたる夢よ霜の朝 KUMI