晴徨雨読

晴れた日は自転車で彷徨い、雨の日は本を読む。こんな旅をしたときに始めたブログです。

雨読 「海と人と川」 2/10

2013-02-11 | 雨読

2013.2.10(日)晴れ

 「盃状穴考」に記載された飯盛山古代祭祀遺跡の発見の記事は自分自身がその場に立ち会っているような興奮を覚えた。
 飯盛山と高御位山(たかみくらやま)の古代祭祀遺跡の発見経過が記されているというので、本書を購入した。
 「海と人と川 加古川流域古代への遡原」國領駿著 1984年12月1日加古川流域史学会発行 頒分1,600円 古書
P1030877
 



 あとがきのなかで、本書は庶民史学、雑民史学をモットーとして、一般にわかりやすいように書かれたもので論文ではないとある。また、加古川流域史学会が発行したもので、限定千部で実費頒布ということだ。
 雑民史「第一巻・川扁」として書かれたようで、引き続き「海扁・人扁」の稿を進めたいというふうに書かれているが、それらが発行されたか否かはわからない。
 國領氏はユニークな方で、序文の最初に次のように書かれている。
 
 雑学史である。それも極めて勝手気儘な放言的、常民雑学史であることを先ずお断りしておきたい。
  
 さて、本書の内容だが加古川を主題にしてその流域の古代をめぐり、発見発掘、考察をされたものである。ところどころ難解な文章や難しい言葉があるが、内容は他の古代史を扱う歴史の書物より随分面白く、あっという間に読んでしまう。
 最初に出てくるのは由良川と加古川の流路の話である。
 かつて由良川が瀬戸内海に流れ込んでいたことはご存じの方も多いだろう。もっとも何十万年という以前の事だけれど、現在でも本州一標高の低い中央分水界が氷上町石生(いそう)にあり、公園や資料館も設置されている。P1010420
 



丹波市氷上町石生、右手は竹田川から由良川、日本海へ左手は加古川から瀬戸内海にそそぐ。

そのことを知っていても古代文化の流れとは結びつかなかったのだが、氏はそこに濃厚な文化の流れがあると説かれている。これは極当然のことであって、由良川と加古川を結ぶ線が日本海と瀬戸内を結ぶ最も通行容易な交易路であることは簡単に解る。コロンブスの卵のような発想である。
 現在丹波市となっている地域に古代の遺跡が多く、海岸沿いに多い弥生遺跡が存在するのもこういった理由のようだ。
 盃状穴を伴った古代祭祀遺跡発見の項は期待通り、胸のわくわくするものであった。思うに歴史や考古の分野で盃状穴についての研究はほとんど見当たらない。これはその分野でまだ認められていないものだということだろうか。
 そういったものを先駆者として取りあげて発見、研究されているのは氏の独創性、柔軟性のなせる技であり、また権威に毒されない頑固さかもしれない。
 刳船の発見や古代高瀬舟の研究など川にまつわる古代の話題が満載であきさせない一冊である。

【作業日誌 2/10】
ウッドデッキ階段パーツ塗装

【今日のじょん】:雪だるまにしては目が下の方だなあと思っていたら、「まゆまろやがな」だって。ナルホドP1030871

 
 

コメント
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