米IT(情報技術)大手9社の2011年10~12月期決算が出そろった。景気後退やパソコン需要の伸び鈍化などで2社が減収、3社が減益だった。減速感が漂う中、独走状態となったのはスマートフォン(高機能携帯電話)「iPhone(アイフォーン)」がヒットしたアップル。スティーブ・ジョブズ前会長の死去後も手堅い経営を継続、テレビへの本格参入を探るなど新分野でも攻勢が続く。
米IT大手の2011年10~12月期決算
(単位億ドル、カッコ内は前年同期比増減率%、▲はマイナス) 売上高 純利益
アップル 463.33( 73) 130.64( 118)
I B M 294.86( 2) 54.90( 4)
マイクロソフト 208.85( 5) 66.24(▲0.2)
インテル 138.87( 21) 33.60( 6)
グーグル 105.84( 25) 27.05( 6)
T I 34.20(▲3) 2.98(▲68)
イーベイ 33.80( 35) 19.80( 254)
A M D 16.91( 3) ▲1.77( ― )
ヤ フ ー 13.24(▲13) 2.96(▲5)
アップルが24日発表した昨年10~12月期の売上高は前年同期比73%増、純利益は2.2倍の130億ドル(約1兆150億円)で四半期ベースで過去最高。トヨタ自動車が最高益となった08年3月期通期の純利益が1兆7178億円。アップルはトヨタが最も利益を稼いだ年の6割に相当する1兆円の利益を、3カ月間で稼いだ格好だ。25日午前の米株式市場でアップル株は一時、前日終値比8%高の454.45ドルを付け、最高値を更新した。
■パソコンも販売好調
iPhone販売台数は3704万台を超えた。前の四半期に抜かれた韓国サムスン電子を抑え、再びスマートフォン販売で世界首位に返り咲いたもようだ。「iPhone4S」を昨年10月に発売した日米ではKDDIなど新しい通信会社が参入、記録的な販売増につなげた。
強いのはiPhoneや多機能携帯端末「iPad(アイパッド)」だけではない。パソコンも健在だ。世界市場が伸び悩む中、機能やデザインで他社と差異化した「マック」の販売は26%増の519万台。長期低落傾向が続く携帯プレーヤー「iPod」も1500万台以上を販売。半数は携帯ゲーム機市場も狙う「iPodタッチ」となり、「衣替え」も進む。
ジョブズ前会長が昨年10月に死去し、先行きに懸念を示す声もあったが、昨年8月に最高経営責任者(CEO)職を引き継いだティム・クック氏の手腕は手堅い。24日の決算発表会で、CEOを4カ月間務めた感想をきかれ、「ごらんの通り」と答えるなど、ジョブズ路線を円滑に継承した印象を受ける。
■中長期戦略には課題
ジョブズ氏は生前、「教科書、テレビ、写真の3つを“再発明”したい」と語っていたとされ、アップルは1月19日には「電子教科書」参入を発表。「写真」はiPhoneやiPadの今後の機能に織り込まれるとみられることから、次に開拓する分野は「テレビ」との見方が強い。
アップルは現在、テレビに接続してネット経由でコンテンツ(情報の内容)を配信するセットトップボックス「アップルTV」を手掛けるが、クックCEOは「アップルTVは、まだホビー(おもちゃ)」と指摘。今後、本格参入する可能性を示唆した。
短期的には死角を指摘しにくいアップルだが、課題もある。市場環境や技術が大きく変化し、ジョブズ氏が描いた中長期戦略の前提が崩れた際の備えだ。「現在の戦略の先に何を創造するかが今後のテーマとなる」(米証券アナリスト)
米IT大手の2011年10~12月期決算
(単位億ドル、カッコ内は前年同期比増減率%、▲はマイナス) 売上高 純利益
アップル 463.33( 73) 130.64( 118)
I B M 294.86( 2) 54.90( 4)
マイクロソフト 208.85( 5) 66.24(▲0.2)
インテル 138.87( 21) 33.60( 6)
グーグル 105.84( 25) 27.05( 6)
T I 34.20(▲3) 2.98(▲68)
イーベイ 33.80( 35) 19.80( 254)
A M D 16.91( 3) ▲1.77( ― )
ヤ フ ー 13.24(▲13) 2.96(▲5)
アップルが24日発表した昨年10~12月期の売上高は前年同期比73%増、純利益は2.2倍の130億ドル(約1兆150億円)で四半期ベースで過去最高。トヨタ自動車が最高益となった08年3月期通期の純利益が1兆7178億円。アップルはトヨタが最も利益を稼いだ年の6割に相当する1兆円の利益を、3カ月間で稼いだ格好だ。25日午前の米株式市場でアップル株は一時、前日終値比8%高の454.45ドルを付け、最高値を更新した。
■パソコンも販売好調
iPhone販売台数は3704万台を超えた。前の四半期に抜かれた韓国サムスン電子を抑え、再びスマートフォン販売で世界首位に返り咲いたもようだ。「iPhone4S」を昨年10月に発売した日米ではKDDIなど新しい通信会社が参入、記録的な販売増につなげた。
強いのはiPhoneや多機能携帯端末「iPad(アイパッド)」だけではない。パソコンも健在だ。世界市場が伸び悩む中、機能やデザインで他社と差異化した「マック」の販売は26%増の519万台。長期低落傾向が続く携帯プレーヤー「iPod」も1500万台以上を販売。半数は携帯ゲーム機市場も狙う「iPodタッチ」となり、「衣替え」も進む。
ジョブズ前会長が昨年10月に死去し、先行きに懸念を示す声もあったが、昨年8月に最高経営責任者(CEO)職を引き継いだティム・クック氏の手腕は手堅い。24日の決算発表会で、CEOを4カ月間務めた感想をきかれ、「ごらんの通り」と答えるなど、ジョブズ路線を円滑に継承した印象を受ける。
■中長期戦略には課題
ジョブズ氏は生前、「教科書、テレビ、写真の3つを“再発明”したい」と語っていたとされ、アップルは1月19日には「電子教科書」参入を発表。「写真」はiPhoneやiPadの今後の機能に織り込まれるとみられることから、次に開拓する分野は「テレビ」との見方が強い。
アップルは現在、テレビに接続してネット経由でコンテンツ(情報の内容)を配信するセットトップボックス「アップルTV」を手掛けるが、クックCEOは「アップルTVは、まだホビー(おもちゃ)」と指摘。今後、本格参入する可能性を示唆した。
短期的には死角を指摘しにくいアップルだが、課題もある。市場環境や技術が大きく変化し、ジョブズ氏が描いた中長期戦略の前提が崩れた際の備えだ。「現在の戦略の先に何を創造するかが今後のテーマとなる」(米証券アナリスト)