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アップルの新しいサプライズ

2013年09月12日 07時16分08秒 | 経済
新しいiPhone5CとiPhone5S、またiOS7の発表がありました。いやあ、驚きました。新しい機能とか、新しい時代を拓く未知の体験に驚いたのではありません。指紋認証がホームボタンを押すだけでできるとはよく考えられているとは感じても、それ以上でもそれ以下でもありません。NTTドコモでの販売も、周知の話でした。

しかし、それにもかかわらず驚いたことがいくつかあります。

まずは、アップルからサプライズといえるに値する目新しいものがでてこなかったことです。そのこと自体が、スマートフォンの基本的な技術や仕組みやは完成し、成熟してしまったということを象徴しているようです。さらに他のものも、イノベーションを起こすハードルが極めて高くなり、それをクリアできなかったのでしょうか。しかし、これも一抹の期待はあったものの、たぶんまだ出てこないだろうと想定されたことでした。

それよりも驚いたのは、ハードのデザインも、NTTドコモの取り扱い開始も、指紋認証についても、今回はさまざまな情報が漏れていたのですが、それらがあまりにも正確なものだったということです。あの秘密主義のアップルが情報のダダ漏れ状態になってしまったのです。

それは事業が広がり調達先が広がり過ぎた結果なのか、調達先へのアップルの支配力の低下なのでしょう。たぶん両方だと思いますが、部品メーカーへの緘口令が効かなくなってしまったようです。

むしろ、中国最大のキャリアである中国移動通信(チャイナモバイル)との販売提携の話がなかったようで、そのことのほうが意外でしたが、この提携もおそらく時間の問題なのでしょう。
アップル、中国移動にiPhone低価格機種を出荷へ=関係者 - WSJ.com :

3つ目は、アップルの、というよりはジョブズの頑なともいえる集中と選択路線、また価値重視の戦略が緩められ販売台数やシェアを取りに来たことです。2機種を並行して販売すること、またiPhone5Cは16GBモデルが2年の契約条件付きで99ドル(約9900円)、32GBモデルが199ドル(約1万9900円)の低価格です。価格を下げ、シェアを取りに来たのです。シェアを気にしないというジョブズ流からすれば大転換です。

「新しい市場を創造する」から「現実の市場に適応する」への転換ともいえるのではないでしょうか。

もっと驚いたのは、ほとんどのメディアは伝えていませんが、iPhone4Sは続投され、8GBがなんと無料だというのです。

日本でも無料になるかどうかはわかりませんが、少なくとも北米では無料になるのでしょう。この発表イベントを詳しくレポートしているギズモードの記事に小さく紹介されていました。
【更新終了】ドコモもiPhone出します!iPhone 5S, iPhone 5C発表イベント、リアルタイム更新終了しました! : ギズモード・ジャパン :

つまり、iPhoneは、iPhone5Sの16GBの199ドルから364GBの399ドルの価格帯、iPhone5Cの16GB99ドルと32GBの199ドルの価格帯、そして最後の切り札として8GB無料のiPhone4Sがラインアップされることになります。



選べるiPhoneになったのです。

高い利益率を守る、ブランド価値を守る、シェアを気にせずユーザーを確実に囲い込むというジョブズの思想は、急成長したスマートフォン市場の需要にアップルの供給力が追いつかず、そこにアンドロイドが参入する隙を生みました。結果としては市場を侵食され、販売台数でも大きく差をつけられ始めてきたわけですが、その状況を打開するために、アップルは価格帯別のバリエーションで挑んできたのです。

スマートフォンもユーザーが広がり、ニーズも多様化してきています。価格が高くともサクサク動くことを重視するユーザーもいれば、別にそれほど速く動かなくともいいというユーザーもいます。その選択にかなうようにしたことは、アップルも市場に合わせる普通の企業になったということです。

もうひとつのサプライズは、iOSを使っている人にしか通じませんが、マイクロソフトでいえばワードやエクセル、パワーポイントがはいったOFFICEにあたるアップルのiWorkが無料で使えるようになったことです。さらに画像ソフトのiPhotoとiMovieも無料になりました。これは今はシェア争いの焦点になってきているタブレットの差別化として効いてくるのではないでしょうか。

今回の発表で、アップルがどこまでスマートフォン市場で挽回できるかははかり知ることはできませんが、日本市場でのドコモ参入、また巨大な中国市場を本格的に攻めること、また新興国需要が取り込める条件が整ったことで、販売台数を大きく伸ばすことは間違いないと思います。その代償としてただでさえ落ちてきた高い利益率は犠牲になってきます。

アップルの今回の発表イベントはアップルが限りなく普通の企業に近づいた記念イベントだったのかもしれません。

あとは「ワン・モア・シング(もう一つ)」の隠し球がいつでてくるのか、はたまたもはやアップルは世界を驚かす「ワン・モア・シング(もう一つ)」を生み出す創造性を失ってしまったのか、関心はどうしてもそちらに向かっていきます。
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消費税率、来年4月に8%…首相が意向固める

2013年09月12日 06時56分56秒 | 行政

 安倍首相は11日、消費税率を来年4月に現行の5%から8%に予定通り引き上げる意向を固めた。

 増税が上向いてきた景気の腰折れにつながることを防ぐため、3%の増税分のうち約2%分に相当する5兆円規模の経済対策を合わせて実施する考えだ。経済対策は、2013年度補正予算案と14年度予算案の一体的な編成や、減税を柱とする税制改正で対応する。

 首相は、10月1日に日本銀行が発表する9月の企業短期経済観測調査(短観)を分析した上で最終判断し、直後に記者会見を行い、増税に踏みきる理由や経済対策などを表明する方向で調整している。

 消費税は、1%の税率引き上げで2・7兆円の税収増となると見込まれる。複数の政府筋によると、首相は、3%の引き上げで約8兆円の負担を国民に求めた場合、回復基調にある景気が失速しかねないと懸念している。このため約2%分を経済対策で国民に事実上還元することで、景気への影響を1%引き上げと同程度に抑えることにした。
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最終更新:9月12日(木)4時5分
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