TBS系(JNN) 12月9日(月)19時15分配信
「なぜそんなに急ぐのか」という批判をよそに、特定秘密保護法が成立し、臨時国会が終わりました。その秘密保護法をめぐる方針の違いが決定的な引き金となり、「みんなの党」が分裂しました。翻弄された野党の裏には、巨大与党のしたたかさがありました。
野党再編へとつながるのでしょうか。9日、みんなの党に離党届を提出した江田前幹事長らが会見を行い、新党結成を目指すと表明しました。
「我々が離党する理由はただ一点。結党の原点に戻る。(野党の使命は)自民党に代わりうる政権交代可能な一大勢力を作り上げていくこと。新党結成の準備に入りたい」(みんなの党に離党届を提出 江田憲司前幹事長)
みんなの党の国会議員は35人。そのうち、江田氏や小野次郎議員、川田龍平議員ら14人が離党届を提出し、みんなの党は旗揚げから4年あまりで分裂することになりました。
「最近では自民党にすり寄り、あわよくば与党化していく動きも。“歌を忘れたカナリア”もはやこの党に将来はない」(みんなの党に離党届を提出 江田憲司前幹事長)
「薬害をなくしたいという原点に戻ったときに、この党の中でやっていくことが非常に難しい」(みんなの党に離党届を提出 川田龍平参院議員)
元ニュースキャスターの真山議員も江田氏に同調した1人。
「これは離党届。今朝早く書きました」
真山氏は特定秘密保護法の採決で党の方針に造反し、反対票を投じました。
「今回の(特定秘密保護)法は、国民の不安や心配に全く応えていない。私は納得できないという面が自分の決断(離党)に結びついた」(みんなの党に離党届を提出 真山勇一参院議員)
真山氏の名刺にあるみんなの党のロゴは、既に上からシールを貼って隠されていました。秘密保護法への対応をめぐって分裂したみんなの党。その裏には、野党共闘を切り崩す巨大与党のしたたかさがありました。
衆参両院で過半数を持って臨んだ与党は、衆議院の段階から採決の強行を選択。特別委員会の額賀委員長は当初から自信をのぞかせていました。
「(序盤の国会審議は)順調に進んでいる。(順調な理由は)政策が正しいこと。もうひとつは野党が力量不足かな」(自民・額賀派会合 10月24日)
自民党内では、軸足の定まらない野党の切り崩しは難しくないという見方が強く、こんな方針が立てられました。
「どこか一党は必ず巻き込む」「野党がバラバラで政権の支持率が高いこの国会で必ず成立させる」(自民党幹部A)
世論の批判をかわすため一つでも多くの野党を巻き込み、「合意」を演出する・・・。そのゴールに向けて狙いを定めた日本維新の会とみんなの党に対し、法案の修正協議を呼びかけました。
真っ先に応じたのは、みんなの党。修正協議が始まった矢先に渡辺代表が安倍総理と会食の場を持ち、「合意ありき」の流れができたのです。
「渡辺代表は自民党にかじを切った。いつまでも野党ではしかたないが、分かりやすく飛びつくと与党から足元を見られる」(みんなの党幹部)
党内からは、自民党にすり寄ったという批判が上がり、衆議院本会議では、江田氏ら3人の議員が、「法案に賛成」という党の方針に造反しました。
一方、みんなの党と同じく与党との修正協議で合意した日本維新の会は、採決では退席したものの、自民党幹部は会見で余裕を見せました。
「この法案に関して皆さんのご協力、あまりしてもらってませんが、心から感謝申し上げたい」(自民党 佐藤勉国対委員長)
会期末まで一週間を切った参議院では、ラストスパートをかける与党に対し、なすすべのない野党の姿がさらに鮮明になりました。
なぜ秘密保護法の成立を急ぐのか。政府与党は、公式には「安全保障環境の変化への対応には急を要する」と説明してきましたが、自民党幹部はこう解説します。
「もし通常国会で秘密保護法をやると、4月には消費税もあり、成立が6月になる。集団的自衛権の議論などがさらに先送りになる」(自民党幹部B)
参議院の特別委員会での採決では、つかみかからんばかりの野党議員を前に動じることなく手続きを進める中川委員長の姿がありました。すべてが予定通りの進行でした。
野党が万策尽きて迎えた翌日の参議院本会議。特定秘密保護法は成立しました。「ねじれ」解消後、初の本格的な国会。数の横暴ではないかとの指摘に対し、ある自民党幹部はこう反論しました。
「何のために参院で過半数を取ったか。こうやるためでしょ。それを理解して野党が歩み寄るべき。分からないなら分かってもらおう」(自民党幹部C)
その巨大与党に対抗するため、野党再編を目指す考えの江田氏。日本維新の会の橋下共同代表は・・・。
「僕はもう江田さんの方に大義ありと思っている。志同じくするもので一つの巨大な塊を作っていくことが、みんなの党・維新・民主の役割だと思う」(日本維新の会 橋下徹共同代表)
(09日17:37