お役立ち情報ブログ

日々の生活やビジネスにおいて役に立ちそうな情報を収集、公開しています。

<「中華の夢」の行方(3)>環境汚染で滅ぶ?―「PM2.5」「がん村」の恐怖、「近海から魚が消えた」

2013年12月31日 08時59分43秒 | 海外情報
「世界最大の公害発生国」である中国が及ぼす地球生態系への影響は想像を絶する。中国では有害化学物質による水質汚染や大気汚染など環境関連事件が多発、深刻な健康被害が続出している。

◆工場からの排水で褐色に濁る

中国・江蘇省のある村は、伝統的な稲作地域として有名で水資源が豊かなことから「水の郷」と呼ばれていた。しかし、今その面影はなかった。2004年頃、このあたりは地方政府によって「ステンレスの街」と定められ、民家だった場所は、ほとんどがステンレス工場へと変わった。工場では金属部品を分解してステンレスを取り出す作業が行われ、無防備にも煙を直接吸い込んでいる。工場からの排水により、川面は褐色に濁り、油のようなものが水面に浮いているのが見える。

ステンレス工場群が建設されてから健康被害を訴える近隣住民が急増。そこで原因と疑われる汚染水を垂れ流す金属工場を相手に地元住民が訴訟を起こした。その結果、工場は賠償金を支払い、住民を3~4キロ離れた別の地域へ移住させた。この村の人口は約3千人。2011年までの2年間、がん患者は80人に達し、「ガンの村」と言われるようになった。ガンの発症率が多い、いわゆる「ガン村」の存在を中国政府は13年に入り、公式に初めて認めた。外国調査機関によると、その数は少なくとも400カ所を超えるという。

 中国の工業生産の急拡大につれて、がん患者数が急増しているのは事実だ。中国でのがんによる死亡者数の統計を見ると、70年代には年間平均で70万人にとどまっていたものが、90年代に年間117万人に急増。2012年には270万人とさらに増え、20年には400万人を超えると予想されている。

中国漁船が東シナ海の尖閣諸島海域で海上保安庁の巡視船に衝突した事件が2010年9月に勃発した。尖閣海域では中国から来た多数の漁船が操業しており、このうち日本の領海で操業していた中国漁船が巡視船に追われ体当たりしたのだ。この船も含めた漁船群は尖閣海域から170キロも離れた福建省福州から長い時間をかけてやってきた。燃料コストと拿捕の危険を冒して尖閣海域に来て操業するのは何故か?

◆近海では魚獲れず尖閣へ―湖・川でも魚が大量死

中国八大漁場の一つに数えられるほど、豊かな漁場に近い江蘇省のある漁港。ここではヒラメやクルマエビなど国内販売用の海産物が水揚げされている。
漁師は早朝6時に出発。3時間かけて目的の漁場へ。到着するとすぐに仕掛け網を海の中に投げ入れる。その長さは、ざっと2000m。網を仕掛けてからおよそ6時間。潮が引いた状態で網の中身を確認すると小さなヒラメが数えるほど。

この道30年という漁師は、「昔は中には3キロくらいの大きなものが沢山獲れた。ヒラメはとても高く売れるので大きな収入が得られたが、最近は全く獲れない」と嘆く。「完全な赤字だ。海が汚染されているためだ。汚染されて魚が近くまで来なくなった。しかもここで獲れた魚はほかの地域に比べて3分の1の値段しかつかない」と嘆く。

「豊かな漁場」はなぜ汚染されたのか? その原因を問うと漁師は港から望める大きな化学工場群を指差した。無数の煙突からは灰色の煙がもくもく出て空を圧倒している。

漁師たちによると6年前、漁場からわずか2キロの距離に100社もの化学工場が操業を始めた。しかも、これら工場のうち9割が廃水を海に直接排水しているといわれ、その汚染された水が海に垂れ流されている。

漁師たちは「化学工場の稼働と時を同じくして漁獲量が激減してしまった」と強く訴え、漁師たちは政府に改善を求め何度も直訴した。しかし地方役人からの返答は 「貧乏で死ぬより豊かになるなら汚染されて死んだ方がましだろ」の一言。地方政府は地方経済の発展を優先し漁師たちの訴えを無視した。ある漁師は「政府は化学工場から税金をもらっているので何も改善しない」「工場のせいでさらに遠くまで漁に出なくては生活できなくなった」と憤っている。

そこで東シナ海や黄海のはるか遠方にまで、漁船が繰り出すことになる。上海では尖閣諸島海域で獲れた魚が人気の的。スーパーなどで売りに出されると市民が殺到。通常の1.5倍もの高い売値にもかかわらずサワラやウマズラハギなどがあっという間に完売する。

中国では淡水魚が主に食べられてきた。漁業関係者によると「中国人の好きな淡水魚が川や湖の水質汚染で食べられなくなったため、海鮮魚が高く売れるようになった」という。中華料理で魚と言えば鯉、ナマズ、ドジョウなど淡水魚だったが、中国の湖・池・川で魚の大量死が発生する事例は後を絶たない。そこで高い金を出してでも魚介類を食べたい富裕層が注目したのが「海鮮」。富裕層は新鮮な海産物を求めるため価格が高騰。漁師たちには一攫千金のチャンスとなる。ところが汚染のため中国近海では魚が取れないのが実情。そこで中国の漁師たちは、より遠くの海にその活路を求めたというわけである。

2013年12月、中国東部を中心に有害物質を含んだ濃霧が発生、上海市では大気中の微小粒子状物質「PM2.5」を含む大気汚染指数が6段階のうち最悪から2番目の「重度汚染」となった。北京でも「PM2.5」が日本の環境基準の13倍にあたる450を超えたほか、周辺の河北省や山西省など各地で、500を超える深刻な汚染が見られた。一部の都市では、高速道路の通行規制や工場の操業の一時停止、それに市内へのトラックの乗り入れ規制などの緊急対策を発動したが、「焼け石に水」の状態だ。中国経済計画当局は、2011年から15年までの第12次5カ年計画の環境浄化目標の半分も達成していないと報告。窒素酸化物の排出量は10年から12年の間に2.8%増加。5カ年計画では15年までに10%に減らすことを目標としているが、早くも達成は困難視されている。民間シンクタンク幹部は「老朽化した製鉄所、火力発電所、セメント工場を廃棄するという過去2年間の全国的なキャンペーンにもかかわらず、工業改革のペースが不十分。このままでは環境汚染によって国は滅びてしまう」と警告している。(Record China主筆・八牧浩行)

株高41年ぶり、円安34年ぶり… 歴史的値動きの1年

2013年12月31日 08時46分33秒 | 経済
 2013年の金融・証券市場は歴史的な株高・円安となった。日経平均株価は年間で57%上げ、41年ぶりの上昇率を記録。円は対ドルで34年ぶりの下落率になった。世界の投資マネーが新興国から先進国へと向かうなか、大規模な金融緩和などで日本が長引くデフレから脱するとの期待が浮上。内外の投資家が取引を活発に膨らませた。来年もこの流れが続くかどうかは、景気の持続的な拡大がカギを握る。

 年内最後の取引である30日の東京株式市場では日経平均が9日連続で上昇し、終値は1万6291円31銭と約6年2カ月ぶりの高値を付けた。年末にその年の高値を更新したのは2年連続、9日連続での上昇は4年ぶりだ。日経平均の上昇率は9割高だった1972年以来の大きさ。当時は田中角栄氏が首相に就任し「列島改造ブーム」に沸いた時期だった。

 外国為替市場では対ドルの円相場が1年前の86円から年間19円(18%)下落。30日は一時1ドル=105円台半ばと5年ぶりの円安水準を付けた。

 株高・円安が進んだ背景には、黒田東彦日銀総裁が打ち出した大規模な金融緩和や、安倍晋三首相が進める経済政策などの効果で、脱デフレが実現するとの期待がある。

 一部の商品相場は上昇が始まっている。「物価の優等生」といわれた鶏卵価格は8年8カ月ぶりの高値を付けたほか、鋼材をはじめとする産業資材価格も上昇。企業間の取引価格の動向を示す日経商品指数42種は、12月末に5年3カ月ぶりの高水準を付けた。

 こうした流れに円安も加わり「国内主要企業は14年度も2ケタの経常増益」(SMBC日興証券)との見方が多い。日本株売買の6割前後を占める海外投資家は世界の有望市場として日本に注目。今年の海外勢による日本株の買越額は過去最大の15兆円弱にのぼった。野村証券の田村浩道チーフ・ストラテジストは「政権が市場をよく見ているとの信頼が根底にある」と指摘する。海外勢の買いがけん引し、東証1部の年間株式売買代金は昨年の2倍に膨らんだ。
 東証で30日開いた大納会には、現職の首相として初めて安倍晋三首相も出席。「経済はマイナスからプラスに大きく転じた」と指摘、「来年もアベノミクスは買いだ」と強調した。市場では、今後も株高が持続するには「企業業績の回復傾向が崩れず、設備投資が本格化し資金の好循環が強まることが条件」(メリルリンチ日本証券の神山直樹チーフストラテジスト)との声が出ている。

 世界に目を向けても、投資マネーはこの1年間で新興国から先進国へと向かう流れを強めた。

 米国では米連邦準備理事会(FRB)が市場に大量に資金を供給する量的緩和を縮小するという観測が年央から浮上し、新興国から余剰マネーを引き揚げるとの見方が台頭。中国やブラジルなどの株式市場から資金が流出した。一方、景気が回復基調にある米国やドイツでは株価が史上最高値を更新。安全資産とみなされることが多い金からはマネーが流出した。

 米国での緩和縮小は米景気の力強さの裏返しでもあるうえ、米国の金利上昇を通じてドル高・円安を促す。米国で事業を展開する日本企業にとっては輸出面、採算面の両面で追い風となる。そうしたことも、日本株を押し上げた理由の一つになった。

 市場では、14年の世界経済も先進国主導の回復局面が続くとの見方が多く、投資マネーが向かう先について「先進国が優位な状況は変わらない」(みずほ証券)との声がある。半面、新興国経済への懸念はくすぶっており、日本の景気にとってもリスク要因となる。