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原発事故処理、東電任せ転換 政府が費用分担決定

2013年12月21日 08時33分28秒 | ニュース
 福島第1原子力発電所の事故処理に関する国と東京電力の費用分担の枠組みが20日決まった。賠償や除染などの費用総額を約9兆円とし、国が1兆円程度を負担する。東電がすべてを負担する従来の仕組みを転換。国の関与を強めることで電力の安定供給を確保する。


福島第1原発の廃炉費用はまだ見通せない。東電の負担が再び膨らむ恐れもある。

 今回固まったのは、被災者への賠償、除染、中間貯蔵施設の費用見積もりと分担の枠組み。約5.4兆円を見込む賠償費用は東電が電気事業で得た利益から支払う。焦点は中間貯蔵施設と除染の費用だった。

 汚染土をためる中間貯蔵施設の費用は法律で東電が全額負担する原則となってきた。新方針では、中間貯蔵にかかる総額1.1兆円は、電気料金に上乗せしている電源開発促進税(電促税)から30年間をメドに支払う。

 約2.5兆円を見込む実施・計画済みの除染費用は、国が保有する1兆円の東電株の売却益をあてる。東電株の20日終値は522円。政府は1株900円で売れれば2兆円の利益が出て除染費用をほぼ穴埋めできると試算する。東電の経営改革が進み株価が上がると東電の負担も少なくなる。

 中間貯蔵の費用にあてる税金分を差し引くと、損害賠償と除染による東電負担は単純計算で最大約8兆円になる。東電の再建が普通の企業再建と最も違うのは、債務の総額が固まらないことだった。事故から2年9カ月がたち、ようやく東電が負う債務の全体像がおぼろげながらみえてきた形だ。

 9兆円の費用はいったん東電に請求が来るため、東電の債務が一時的に膨らむ恐れもある。政府は原子力損害賠償支援機構に設けている無利子融資枠を現在の5兆円から9兆円に拡大。東電は支払いが膨らんだときに、原賠機構から資金援助を受ける。受け取ったお金は数十年かけて東電と原発を保有する電力会社が返していく。中間貯蔵施設の分は、東電の代わりに国が返す。

 ただ、見通しきれない費用もある。福島第1の廃炉コストだ。溶けた核燃料の取り出しは方法も決まっておらず、これから技術を開発する段階。東電は自力で約2兆円の資金を用意するが、不足する恐れがある。廃炉には国も技術開発などに資金を投じるが、具体的な分担方法は固まっていない。

 東電の再建では、損害賠償などに同社が無限の責任を負う仕組みを維持している。損害賠償にあてる費用をいつどのような形で確定するかも今後の課題だ。
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