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脱北者が証言する、北朝鮮の携帯ウラ事情 盗聴されて当然、それでもビジネスに必要

2014年02月07日 08時32分21秒 | 海外情報
 「購入者の8割がビジネス目的」「端末を買うときは性能重視」「盗聴をされるのは当たり前」--。そんな北朝鮮の携帯電話の実態が明らかになった。

 韓国の『月刊朝鮮』2014年2月号が掲載した北朝鮮の携帯電話事情。ここには、「韓国内の某通信会社が北朝鮮改革研究院という団体に調査を依頼したものをまとめた調査報告書」の一部として同誌が報道した。1995年の携帯電話事業の開始から、現在に至るまで、韓国内の脱北者(北朝鮮を出国し、韓国に亡命してきた人)からの聞き取り調査が元になっている。

故・金正日総書記が事業継続にゴーサイン

 北朝鮮は現在、携帯電話の普及台数が220万台を突破。首都・平壌市はもとより地方の主要都市でも携帯電話を手にする人々の姿は日常茶飯事になっている。調査を受けた脱北者も脱北前には携帯電話を使っていた人たちが中心だ。

 興味深い内容も多い。携帯端末の仕様はGSM方式で始まったものの、途中、韓国でCDMA方式が普及すると北朝鮮がこの方式に関心を持ち、韓国側もサムスン電子やLG、KT(韓国通信)などの通信事業者や端末・設備メーカーがコンソーシアムを組んで北朝鮮と交渉したものの、CDMA関連特許問題を解決できず導入に挫折した経緯が紹介されている。

 また、携帯事業の運営初期には、スパイや反体制派を摘発する治安機関である国家安全保衛部が最高指導者の身辺安全と情報流出を心配し「携帯電話の使用を中断してほしい」と故・金正日総書記に要請したが金正日ははね付けたとの、同部出身の脱北者の証言もある。
 故・金総書記が携帯事業をやめなかったのは「カネのため」。「利用者が携帯端末を購入する際にはドルや人民元など外貨で購入させたため、販売会社が一番の外貨稼ぎ企業になった」という。「現在、携帯端末は平壌で200米ドル前後から購入できるが、利益の7割は、北朝鮮・逓信省傘下の企業の懐に入る」(韓国の北朝鮮研究者)というのだから、現在の普及スピードを見ると、販売会社は笑いが止まらないのかもしれない。

 実際の通話では、音声の品質については「問題ない」と多くが応える一方で、大きな不満として「ブツブツ切れやすい」「固定電話との通話ではとたんに品質が悪くなり、時には突然切断される」といった点を挙げている。さらに、「通話中に変な信号音や微妙な音質の変化があれば、国家安全保衛部が盗聴している」と考え、内容や通話を控えるという。脱北者の多くが「携帯電話の通話は100%、盗聴される」と考えているという。なかには、米国の盗聴用機器を当局が購入したという証言もあるほどだ。

基地局には停電に備えた蓄電池も用意

 また、移動通信の基地局を実際に見たという脱北者は、固定電話網と比べ、移動通信基地局は北朝鮮国内で頻繁に起きる停電とは無関係と指摘する。「基地局には3日間の停電に絶えられる蓄電池が設置されている」のがその理由だ。同時に、平壌市内の高級幹部などが住む一部地域には「保安」のため、移動通信の機能が制限されている地区があるとも証言している。

 これら証言は実際の経験談とも言えるが、脱北者の脱北時期である2010年前後から見ると、北朝鮮の携帯事情のなかには、現在すでに変化していることも少なくないことに注意すべきだ。日本で言う「ガラケー」しかないという証言があるが、記者が訪朝した2013年9月現在では、北朝鮮製とされるスマホを所有する人も増えていた。また、購入手続きも通常であれば「1カ月から数カ月」かかるとの指摘があるが、実際には外貨さえ持っていればその場で買えることも、現在では当たり前のようだ。
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