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迷走するカジノ解禁、誤解流布で混乱する議論~反対派活発化で展開緊迫、公営でもリスク大

2014年02月09日 09時10分01秒 | 行政
 国際観光産業振興議員連盟(IR議連=通称・カジノ議連)に所属する自民党、日本維新の会、生活の党の議員らが、カジノ解禁推進法案(「特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律案」以下、推進法案)を先の臨時国会に議員立法の共同提案として提出した。同法案は、今国会で審議される見込みである。

 衆議院及び参議院ともに、上記の3党だけで総議席の過半数を占めている上、カジノ議連には民主党、みんなの党、公明党などの議員も多数所属している。従って、仮に各党で党議拘束が外され自主投票となったとしても、最終的には、同法案が可決、成立する可能性は高い。カジノ議連の主要有力メンバーからは、「90%以上の可能性で、今国会において成立する」との声も聞かれる。一方で、カジノ解禁に反対する全国の弁護士や司法書士らが、「全国カジノ賭博場設置反対連絡協議会(仮称)」を近々結成し、法案の成立阻止を目指す動きも出てきている。同協議会は、カジノが持つ負の側面の広報に力を入れるという。法案審議をめぐっては、緊迫した展開ともなり得る。

 カジノ解禁の是非については、国民間でも徐々に議論が進んできている。しかし、法案の具体的な内容や制度設計などについては、正確な情報が行き届かず、議論に混乱が見られる。例えば、「日本のカジノは公営が予定されている」「フジテレビはマスコミなので、お台場でカジノを運営するのは許されない」「カジノが認められるのは東京・大阪・沖縄の3カ所で、すでに決定している」などと聞かれるが、これらはいずれも誤りである。

 カジノ解禁は、人間の本能的欲望に直結する深いテーマであるとともに、お金の稼ぎ方・使い方という意味で憲法27条の勤労の義務にもかかわる重大テーマであり、国や社会の形そのものを大きく変え得る。従って国民としては、解禁の是非についていずれの立場に立つにしても、正確な情報を可能な限り多く提供される必要がある。

 そこで今回は、今国会で審議される法案を含め、最新のカジノ解禁構想の内容をわかりやすく解説するとともに、今後の検証ポイントを明らかにしたい。
●推進法案の概要
 推進法案は、カジノを含むIR(特定複合観光施設)の実現という政策目標達成に向けたスケジュールと、基本的な枠組みを示すプログラム法案である。カジノ解禁のための具体的手段、すなわち、どのような制度設計でカジノを解禁するのかという内容は、推進法施行後1年以内をめどとして、別に立案されるカジノ解禁実施法(正式名称「特定複合観光施設区域整備法」/以下、実施法)において規定される。推進法案は議員立法として提出されたが、実施法案は内閣が提出する閣法となる。刑法によって原則として禁止されている賭博を、特別法としての実施法によって解禁するという建て付けである。

 なお、実施法で規定されることとなる制度設計の基本的な方向性については、カジノ議連が、「特定複合観光施設区域整備法案(仮称)~IR実施法案~に関する基本的な考え方」(以下、議連実施案)と題する文書において発表している。議連実施案に法的拘束力はないものの、世界各国のカジノ法制などについての充実した研究成果に基づいており、概ね合理的な内容である。従って、実施法で規定される制度設計も、基本的には議連実施案から多くを取り入れたものとなる可能性が高い。
●カジノ解禁までのスケジュール
 推進法は(一部を除き)、成立・公布とともに直ちに施行され、3カ月以内に内閣に推進本部が設置される。推進本部は内閣総理大臣を本部長とし、全大臣で構成され、有識者で構成される推進会議の意見を受けるなどしながら、1年以内をめどに実施法案を国会に提出する。実施法が成立・施行され次第、カジノ施設の具体的な設置手続が進められ、国から認定を受けた自治体において、カジノ管理委員会の許可を受けた民間事業者がカジノ施設の運営を開始する。カジノ施設関係者に対する規制を行うカジノ管理委員会は、内閣府に外局として置かれる。

 以上をまとめると、「推進法成立→推進本部設置(3カ月以内)→実施法案国会提出(1年以内)→実施法成立→具体的設置手続→運営開始」となる。2020年の東京オリンピック開催までに運営が開始できるように設定している。

●カジノ解禁の目的、設置形態
 観光及び地域経済の振興、財政の改善をカジノ解禁の目的とし、地域の創意工夫及び民間の活力を生かした国際競争力の高い魅力ある滞在型観光を実現し、地域経済の振興に寄与するとともに、適切な国の監視及び管理の下で運営される健全なカジノ施設の収益が社会に還元されることを基本理念とするとしている。

 推進法案は、カジノを単体で合法化(解禁)するものではなく、IR全体を法制化するものである。IRは、自治体の申請に基づき国の認定を受けた「特定複合観光施設区域」においてのみ設置することができる。推進法案においては、「特定複合観光施設区域」の認定基準や評価要素は規定されていない。従って、国から認定を受けるために必要な開発規模(施設の規模)や開発内容は、現時点では不明である。

 議連実施案は、カジノ施設を全国津々浦々に設置すべきではないとし、IR及び「特定複合観光施設区域」の総数を明確に限定し、かつ、その運営や監視監督の仕組みが適切に機能することを着実に確認しつつ、段階的に設置していくことを基本とする。そして、「大都市型」と「地方型」の二類型が構想されることが望ましいとしているが、議連実施案においては、それぞれの具体的意義が述べられていない。そのため、大都市と地方という区別が、立地条件に着目したものなのか、それとも企業・産業活動や研究・学会活動等のMICE機能など開発様式に着目したものなのか、明らかでない。この点について、推進法案及び議連実施案の有力な立案関与者である大阪商業大学客員教授・東洋大学大学院客員教授美原融氏は、「大都市型」をMICE型、「地方型」をリゾート型と分類している(「月刊レジャー産業資料」<綜合ユニコム/2月号>)。

 また、議連実施案は、施設・区域の総数を限定する施策を取る以上、公平性・透明性のある判断基準及び手続により、自治体に不公平感が生じない配慮をした制度設計が必要であるとしている。そのためには、「特定複合観光施設区域」の認定基準及び認定手続を(細目的・技術的事項は別として)、法律に明記することが望ましい。

 なお、先述の美原氏によれば、「特定複合観光施設区域」認定の主要評価判断基準として、(1)地域の観光・産業・社会諸施策との整合性、(2)実行可能性、観光振興への効果、(3)地域における社会的合意形成、(4)社会的に否定的な側面への対応策、(5)社会的影響度評価の実施、(6)地域の環境保全への配慮などが、内部的に検討されているようである。これらはいずれも合理的な基準であるといえ、議連実施案に採用されることを期待したい。
●カジノ施設の運営主体
 カジノ施設は、民間事業者が設置及び運営する民設民営型である。これは推進法案が、民間投資を促進し民間活力を最大限に活用するとの視点に立つことによる。推進法案は、カジノを含む統合型リゾートによる地域活性化について、国ではなく地方が主導し、官ではなく民が主役という理念に貫かれている。

 この点について、日本においてこれまで例外的に許容されてきた賭博(宝くじ、競馬、競輪、オートレース、競艇など)が、いずれも公営であることとの整合性や、取り締まりを強化して治安悪化を防ぐという観点を重視して、カジノについても公営とすべきであるという見解がある。

 しかし、いかなる事業においてもリスクを取らない成功はありえない。現に、競馬、競輪といった公営賭博は軒並み赤字となっている。カジノも公営型にすれば赤字となることが予想され、それを補填するための税金投入も危惧される。さらに、公務員の新たな天下り組織の発生を防止する必要もある。

 民間で運営する場合、実施法などにおいて議連実施案に沿った制度設計をすれば、極めて厳格な監視監督がなされることになるので、「賭博に関連する公正な社会秩序」(カジノ解禁の実質的な正当化根拠)は確保されるであろう。従って、カジノを解禁するのであれば、推進法案に規定される民設民営型が望ましいだろう。但し、この点については、行政がカジノの施行権を持ちつつ、カジノ施設の開発や運営については民間委託するという形態を主張する見解もあり、慎重な検討が求められよう。

 公募によって選定された民間事業者は、カジノ管理委員会から許可を受けた上で、自らの費用とリスクによってカジノ施設などを整備し、運営することになる。議連実施案は、民間事業者と自治体との間の協定についても、国の規制機関の認証が必要であるとしている。

●カジノ施設に対する規制・監視監督体制
 議連実施案はカジノ管理委員会について、立法府・行政府から独立した権限を有する機関として、カジノ施設の運営の詳細に関する規則を制定し、カジノ施設とその運営に関与する主体の免許・認証付与、認可及びカジノ施行の監視、監督、違法行為の摘発などを担うとしている。具体的には、カジノ管理委員会の職員のうちから任命される査察官が、カジノ施設への立ち入り、運営・警備・監視システムの閲覧・監視、財務・会計資料等の閲覧などのカジノの運営全般に関する包括的な監視を実施し、カジノに関わる不正行為を摘発し、器具などの一時停止や現状保全を命ずるとともに、逮捕権も有するとしている。議連実施案は、基本的に、カジノの運営に関するあらゆる行為を規制・認証・監視の対象とするとしており、極めて厳格な監視監督体制を取ることを想定している。

 政府は、カジノ施設における犯罪防止及び有害な影響の排除を適切に行う観点から、ゲームの公正性の確保、金銭の代替物の適正な利用、反社会的勢力の排除など、必要な措置を講ずるとしているが、具体的な措置は、推進法案には規定されていない。しかし、議連実施案においては、入場者全員の本人確認の義務付け、一定金額以上の賭け金行動をする個人の本人確認や疑わしい行為の規制当局への報告義務、現金やチップを使用しないキャッシュレスシステムの導入の検討などによるマネーロンダリング(資金洗浄)防止、賭博依存症患者の増大を防止し、対策を行うための機関の創設、顧客本人やその家族の要請に基づき、当該顧客をカジノ施設に立ち入らせないようにする依存症予防措置(自己排除プログラム及び家族強制排除プログラム)の導入の検討など、かなり具体的かつ詳細に検討されている。

 なお、カジノの売り上げに大きく貢献する大口顧客(VIP客)を囲い込むための紹介業者(ジャンケット)については、反社会的勢力が入り込む危険性があると指摘されるが、この点については、議連実施案にも記載がなく、今後の重要検討課題である。
●納付金、入場料
 議連実施案は、納付金をもって地域経済の振興と少子高齢化に直面した国の財政に資することのほか、社会保障の充実、文化芸術の振興及びその発信力の強化に資することを目的とするとしている。また、カジノ施設の顧客のうち、日本人に限って入場料を課す施策は、日本人のカジノへの過度の関与(依存症)を一定程度抑止する効果を期待できるとしている。もっとも、入場料徴収は、むしろ「せっかく払ったのだから、長くいないと損」と入場者に思わせ、カジノ施設から撤退するタイミングの判断を誤らせる要因となり、依存症対策としては疑問であるとする見解もある。また、入場料徴収には、需要抑制効果があることから、国や自治体が得られる納付金の総額に影響すると考えられる。よって、慎重な検討が求められる。

 なお、国や自治体が徴収できる納付金や入場料の具体的な金額・率については、推進法案においても議連実施案においても、規定されていない。特に納付金については、その割合(率)が、民間事業者の投資傾向に直結し、日本におけるIRのあり方に強く影響する。したがって、IRをめぐる国際競争上の観点も含め、緻密な検討が必要である。
●実質的な議論が必要
 議連実施案は、カジノ施設の設置及び運営をする民間事業者がカジノ管理委員会から許可を得るための要件として、不適切な者を排除するための欠格要件を定めるとともに、法令遵守のための組織内体制、高い社会的責任、高潔な倫理観、社会的信用度、財政的資力や資金調達力、運営・経営能力、経験などの適格要件を定めるとしている。

 これを超えて、特定業種や外資系企業に対して、その一事のみを理由として参入規制することは、不適当である。仮に参入規制したとしても、関連会社や提携会社の参入を阻止することまではできず、規制としての実効性がない。また、経済的自由権(営業の自由)や法の下の平等を定める日本国憲法上も許容されない。従って、例えば、青少年に大きな影響を与え得るテレビ局などのメディアや、実態はギャンブルに近いとも指摘されるパチンコ関連業者であっても、上記に掲げた要件などから関与が不適当な者と判断されない限りは、カジノ施設の設置及び運営をする民間事業者となることができる法制になるであろう。メディアについては、カジノについての過剰な広告や宣伝自体を規制すれば足りると考えられる。

 また、カジノ施設からの収益の大半が海外に流出するような事態は避けるべきであるが、これについては、事業者から徴収する納付金の額や使途の明確化及び、「特定複合観光施設区域」や民間事業者の認定・許可基準を、地域振興や財政改善といった政策目標を実現するに足る緻密なものとすることなどによって対応すべきである。

 カジノの運営には独特のノウハウが必要であるとともに、IRを構成するカジノ以外の諸施設(ホテル、レストラン、ショッピングモール、劇場、会議場など)を魅力的なものにするためには、日本的なセンスや日本企業のノウハウも必要である。従って、実際には海外のカジノ施設を運営する外国企業や、そのような外国企業と日本企業との合弁会社の参入が想定される。

 推進法案では、カジノ施設の顧客として売り上げに大きな影響を与えると想定される中国人などの外国人へのビザ緩和の有無などは規定されていない。議連実施案においても記載がない。

 カジノを解禁するかどうか、解禁するとしてどのような制度の建て付けにするかについては、単なるイメージやイデオロギーにとらわれない実質的な議論が必要である。今国会においても充実した審議が求められる。
(文=山脇康嗣/弁護士)

●山脇康嗣(やまわき・こうじ)
 1977年大阪府生まれ。慶應義塾大学大学院法務研究科専門職学位課程修了。東京入国管理局長承認入国在留審査関係申請取次行政書士を経て、弁護士登録。入管法のほか、カジノ法制に詳しい。現在、第二東京弁護士会国際委員会副委員長。主要著書として、『詳説 入管法の実務』(新日本法規、単著)、『入管法判例分析』(日本加除出版、単著)、『Q&A外国人をめぐる法律相談』(新日本法規、編集代表)、『事例式民事渉外の実務』(新日本法規、共著)、『こんなときどうする外国人の入国・在留・雇用Q&A』(第一法規、共著)がある。

東京都千代田区内幸町1丁目1番7号NBF日比谷ビル16階
さくら共同法律事務所
HP:http://www.sakuralaw.gr.jp/profile/yamawaki/index.htm
E-mail:yamawaki3@gmail.com
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日本見聞実録、「これを読めば、日本人のイメージが完全に変わる」―中国メディア

2014年02月09日 08時31分25秒 | 海外情報
中国メディアの東方財富網が8日、「日本見聞実録――これを読めば日本人のイメージが完全に変わる」と題した記事を掲載した。中国人が日本での体験をつづったコンテンツで、内容は以下のようなものだ。

■地下鉄で割り込み乗車するのは自分だけだった

1日働いてくたくたに疲れ、地下鉄に乗る。座りたいので、中国人の知恵を発揮し、ホームに入ってきた列車に空いている席を見つけると、降りる人を待たず、乗車待ちの列も無視して乗り込む。いつもそうして座っていたが、ふと悲しくなった。私のようにして座る人がほかにいないのだ。恥ずかしく、不安になった。そして、ほかの人たちのように並んで乗り込むことを覚えた。
■文句を言おうとしても先に謝られる

ある雨の日、湿った傘を持って電車に乗った。通勤時間帯でやや混んでいたため、誰かの服が私の傘に引っ掛かり、傘の骨が曲がってしまった。文句を言おうとしたが、相手に先に謝られた。私が傘をきちんと閉じていなかったのに、相手は自分が悪かったというのだ。もしも相手が「あなたの傘が私の服をひっかけた」と文句を言ってきたら、絶対に私は言い返す。でも、謝られてしまったので、なにも言えなかった。

■「人は信頼し合うことが大事だ」と諭された

家の近くにある理髪店は安いので、よく行っていた。その日は混んでいて、私の順番は5番目ぐらいのはずだった。しかし、私の後に来た人の方が先に案内された。

私は「なぜ順番を守らない?」と怒った。すると店の人が私に向かって笑いながら「すみません。先にいらしていたお客さんなんですが、トイレに行かれていたので」と説明した。「なに!? トイレ? そんなこと信じられない。知り合いだから先に案内したんだろう?」と食い下がる私。店の人は「信じないって……。私はウソを言ったことはない。どなたも同じお客様だ。なぜあなたを騙す必要がある?」と言ってきた。

さらに怒ろうとしたら、さっきの客が「すみません。お腹壊してて、またトイレ」と行って出て行った。店の人は私に「人と人の間で一番大事なのは信頼し合うことです。騙したり、騙されたりで、どうやって一緒に生きていけますか?」と説教をした。
■買った商品を簡単に返品させてくれる

ある日、中国から日本に出張に来た友人を服を買いに連れて行った。彼女は悩みながらようやく1着選んだが、後で見てみると中国製だった。彼女は泣きながら「毎日、インスタント麺を食べて節約して、やっと日本に来て買い物したと思ったら中国製だなんて……」。私たちは返品しに行くことに決めた。

彼女は「返品できるの? どんな理由で?」と、不安そうだ。私は「着てみたらきつかったと言えばいい」と言ったが、「着てるのに、返品させてくれる? 交換してまた中国製だったら?」と、彼女。結局いいアイディアがみつからず、「返品させてくれなかったら文句を言おう」ということにした。

覚悟を決めて店に行くと、さっきの店員はいない。緊張しながら返品させてほしいことをなんとか説明すると、店の人は笑顔で「大丈夫ですよ。お気に召さなければ返品も交換もできます。そんなに説明はいりません」と、すぐに代金を返してくれた。店を出る時、その店員は「お手数をおかけしました。またお越しください」と頭を下げた。

私は嬉しさのあまり小躍りした。すると、「お店の人、あんなによくしてくれて。他にいいのがないか、もう一回見に行こうかな」と彼女。また店に行くとさっきの店員がいて、接客してくれた。そして友人はついに日本製の服を買うことができた。

(編集翻訳 恩田有紀)
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日本見聞実録、「これを読めば、日本人のイメージが完全に変わる」―中国メディア

2014年02月09日 08時31分25秒 | 海外情報
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■地下鉄で割り込み乗車するのは自分だけだった

1日働いてくたくたに疲れ、地下鉄に乗る。座りたいので、中国人の知恵を発揮し、ホームに入ってきた列車に空いている席を見つけると、降りる人を待たず、乗車待ちの列も無視して乗り込む。いつもそうして座っていたが、ふと悲しくなった。私のようにして座る人がほかにいないのだ。恥ずかしく、不安になった。そして、ほかの人たちのように並んで乗り込むことを覚えた。
■文句を言おうとしても先に謝られる

ある雨の日、湿った傘を持って電車に乗った。通勤時間帯でやや混んでいたため、誰かの服が私の傘に引っ掛かり、傘の骨が曲がってしまった。文句を言おうとしたが、相手に先に謝られた。私が傘をきちんと閉じていなかったのに、相手は自分が悪かったというのだ。もしも相手が「あなたの傘が私の服をひっかけた」と文句を言ってきたら、絶対に私は言い返す。でも、謝られてしまったので、なにも言えなかった。

■「人は信頼し合うことが大事だ」と諭された

家の近くにある理髪店は安いので、よく行っていた。その日は混んでいて、私の順番は5番目ぐらいのはずだった。しかし、私の後に来た人の方が先に案内された。

私は「なぜ順番を守らない?」と怒った。すると店の人が私に向かって笑いながら「すみません。先にいらしていたお客さんなんですが、トイレに行かれていたので」と説明した。「なに!? トイレ? そんなこと信じられない。知り合いだから先に案内したんだろう?」と食い下がる私。店の人は「信じないって……。私はウソを言ったことはない。どなたも同じお客様だ。なぜあなたを騙す必要がある?」と言ってきた。

さらに怒ろうとしたら、さっきの客が「すみません。お腹壊してて、またトイレ」と行って出て行った。店の人は私に「人と人の間で一番大事なのは信頼し合うことです。騙したり、騙されたりで、どうやって一緒に生きていけますか?」と説教をした。
■買った商品を簡単に返品させてくれる

ある日、中国から日本に出張に来た友人を服を買いに連れて行った。彼女は悩みながらようやく1着選んだが、後で見てみると中国製だった。彼女は泣きながら「毎日、インスタント麺を食べて節約して、やっと日本に来て買い物したと思ったら中国製だなんて……」。私たちは返品しに行くことに決めた。

彼女は「返品できるの? どんな理由で?」と、不安そうだ。私は「着てみたらきつかったと言えばいい」と言ったが、「着てるのに、返品させてくれる? 交換してまた中国製だったら?」と、彼女。結局いいアイディアがみつからず、「返品させてくれなかったら文句を言おう」ということにした。

覚悟を決めて店に行くと、さっきの店員はいない。緊張しながら返品させてほしいことをなんとか説明すると、店の人は笑顔で「大丈夫ですよ。お気に召さなければ返品も交換もできます。そんなに説明はいりません」と、すぐに代金を返してくれた。店を出る時、その店員は「お手数をおかけしました。またお越しください」と頭を下げた。

私は嬉しさのあまり小躍りした。すると、「お店の人、あんなによくしてくれて。他にいいのがないか、もう一回見に行こうかな」と彼女。また店に行くとさっきの店員がいて、接客してくれた。そして友人はついに日本製の服を買うことができた。

(編集翻訳 恩田有紀)
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