6月の旅③。峰の茶屋から国道146号に入ると道が有料道路より路面が良くなり、快適なドライブとなる。浅間牧場やバルコール村などの横を通り、群馬県に入る。
まもなく北軽井沢という信号を右に曲がり、旧草軽電鉄の北軽井沢駅を目指す。北軽井沢駅は1918年に地蔵川駅として開業、近接の別荘地である法政大学村から駅舎の寄贈を受け、1927年に北軽井沢駅に改称。
この駅舎は善光寺を模した屋根となっていて駅舎正面の欄間は法政大学のHが刻まれている。ただ、1950年の台風で吾妻川の鉄橋が流され、1960年に残された路線も廃止となり北軽井沢駅は廃駅となる。
2005年に駅舎を改修、2006年に国指定の有形文化財に指定。モニュメントとして当時使われていたデキ12型の電気機関車の実物大模型も展示されている。
デキ12型はアメリカジェフリー社製で信越電力が中津川発電所建築にあたり使っていたが、完成後当社に譲渡された。
向かいの施設(北軽井沢ふるさと館)には当時の改札機・出札の切符入や草軽電鉄が中に登場する映画『カルメン故郷に帰る』(日本初のカラー作品)、『山鳩』のポスター、にどあげ(二度上)駅の駅名表示板などマニア垂涎の品々が並んでいる。
特にデキ12型電気機関車が貨車や客車を引いて新軽井沢から二度上峠を登っていた写真を見るとこんな鉄道が今もあれば楽しいだろうなと勝手なことを考えていた。(デキ12型は軽井沢駅前に静態保存されているはずである)施設の前は現在は草軽交通北軽井沢バス停となっていて草津温泉〜軽井沢駅の路線バスが行き来していた。
駅舎の建物の正面には『北軽井沢開発の碑』や開発に尽力した『青山孝吉氏』の胸像と顕彰碑が並んでいた。
今は駅でもない建物が道の真ん中にポツンと建っていて、お寺の格好の屋根も今も綺麗に保たれている。このモニュメントともいうべき建造物は地元民に取り、鉄道がいかに大切だったのかということが垣間見ることがで来たように思えた。それにしても『カブトムシ』と呼ばれた機関車デキ12型が走るところを映画の中だけでなく、この目で見てみたい、また、乗って見たいものである。かなり遅かったらしいが。(以下、次回)