久しぶりに仕事で大塚駅に行く。以前にこの駅で降りたのは5年ぶり、しかも南口に行ったのは思い出せないほどである。駅の改札口も大きく変わり、駅ビルが昔、小さな駅舎と荷扱場の跡にそびえていた。
駅前には相変わらず都バスの錦糸町駅行バス停があり、昔の都電16系統の跡を引き続き、走っている。都電の代替バスでは数少ない生き残り路線である。そして、当時は32系統だった都電は堂々と専用路線を走っている。かぼちゃ色一色だった車体もカラフルなラッピング広告やレトロ車両など見ているだけで楽しい。
駅前の道を向い側にわたると昔と変わらぬ商店街、千成もなかも相変わらず営業中。周囲に秋祭りの幟を見つけて天祖神社にお詣りをする。この天祖神社は鎌倉時代に開かれたもので、天照大御神を祭神とする神社。夫婦イチョウの樹は大きく繁り、子育て狛犬には子孫繁栄を祈る人も多い。
山手線が開通した頃は、この辺りは巣鴨村だったが、鉄道の開通で大塚という地名になった。その後戦前は池袋より賑やかで、色街や白木屋デパートがあったとか、大塚といえば昭和の古いCMの『大塚!角萬‼』で有名な金閣寺が屋上にあった結婚式場はどうなっているのかとか、駅前のひょうたん島というパチンコは出たことがないくせに潰れていないとか、色んなことを思い出してしまう。とはいうものの山手線沿線では数少ない地下鉄の乗り入れのない大塚駅も駅前開発で少しずつ変わりつつあるが、まだまだ昭和の匂いのする街である。