上野にある東京国立博物館にて開催中の『特別展はにわ』に行く。12月8日まで平成館で開催中なのだが、これほどたくさんの埴輪を見たこともなかったが、これほど埴輪が人気があるとは知らなかった。まあ、国立博物館で開催するから埴輪を見にくる人も多い訳であろう。例えば2年前の夏休み期間にさきたま史跡の博物館(行田市)でもたくさんの埴輪が展示されていたが、我々のみしか埴輪を見る人はいなかったのだが。
(県立さいたま史跡の博物館)
ところで『埴輪とは何か』と聞かれると悩んでしまうのだが、すぐ頭に浮かぶのは素焼きでできた宮崎県のお土産などにある口を開いて右手を挙げ、左手を下げた土器と思ってしまうのだが、それは埴輪のほんの一部。
埴輪とは古墳時代に作られた素焼き土器で2つに分類される。一つが円筒型のもので墳丘を取り囲むように一列に並べられた。もう一つが形象埴輪で人物埴輪・動物埴輪・器材埴輪・家形埴輪などに分類され、先ほど申し上げたのは人物埴輪の一部である。
会場に入るとその『踊る人々』と名付けられた埴輪が2つお出迎え。熊谷の野原古墳で出土したもの。誰もが知る埴輪だが、これを見て普通は踊っているように見える。しかし、近年この埴輪の後ろに動物埴輪の馬が置かれていて、左の挙げた手はその喰みから繋がる縄を持っているのではないかという説が有力視されている。
次のコーナーには王の登場と題して東大寺古墳などで見つかった『金象嵌銘太刀(国宝)』『画文帯同向式神獣鏡(国宝)』などが並び、当時の王の権力を表すものの展示が続くが、埴輪でないため急いで鑑賞する。
大王の埴輪のコーナーには古墳の周りに埋めた円筒埴輪が並んでいる。円筒埴輪はせいぜい50cmくらいのものかと思っていたが、2mを超える大きさのものが展示されていてびっくり。どんな窯で焼いたのだろうか?
さらに大王と思われる古墳の副葬品として『盾型埴輪』『水鳥型埴輪』『犬型埴輪』『馬型埴輪』など死者の日常にあったものを埴輪にして周りに置いたと思われるものが次々と並んでいる。
特に『埴輪女子』『水鳥型埴輪』『犬型埴輪』『馬型埴輪』などは堺市の大仙陵(仁徳天皇陵)から出土したもので興味深く鑑賞した。
大王と共に埋葬されていたのは人物埴輪もある。その中で『挂甲の武人』と呼ばれる甲冑を纏った武人の姿をした埴輪や二層建の家形埴輪、『天冠を付けた男子』と名付けられた埴輪など高度な細工をされた埴輪が多く出品されていた。
天冠を付けた男子に至っては冠だけでなく、顔に施された入墨(化粧)、胡座をかいた足の様子など素晴らしい造作力に目を奪われた。因みにこれらは継体天皇の墓とされる大阪府高槻市の今城塚古墳からの出土である。(以下、次回)