6月の旅⑥、草津温泉を離れ、国道292号線を走る。途中まではホテルの横を通る道であったが、国立療養所を越えたあたりから山道になり、ジグザグ道を下って行く。
道の駅六合(くに)に立ち寄るが、こちらの野菜の販売所では驚くほど大きな野菜(ブロッコリー、白菜、キャベツ、リーフレタス)が売られていて都会人はびっくりする。
この辺りには石で作られた道祖神がいくつも置かれていて、こちらの道祖神はバス停横に鎮座していた。
その少し先に『旧太子(おおし)駅跡』がある。国鉄吾妻線(当時は長野原線)は1945年に渋川〜長野原が開業、さらに日本鋼管群馬鉄山のある太子まで会社の専用線を作り、ここで採掘される鉄鉱石を京浜地方まで運搬する目的で開業した。
1952年に専用線は国鉄に移管、1954年からは旅客輸送も開始した。しかし、群馬鉄山は1963年に閉山、この影響を受けて1970年11月1日に休止、さらに長野原〜大前延伸に伴い、1971年5月に廃止された。
その跡には鉱石積み出しのホッパーなどが遺構として遺されていて、2014年に地元自治体(中之条町)が駅舍やレール、ホームなどを復興する事を決め、駅舍も2018年に再建した。この駅舍は当時の写真などを参考に実物大に再建したものである。
とにかく広い駐車場に車を止め、階段を降りると駅舍の前に着く。中に入り、入場料200円を支払い、中に入る。当時の写真がたくさん貼られ、また、ビデオも上映されている。
外に出ると鉄鉱石を落としたホッパー設備がかなり朽ちながらも凡その姿を残している。
また、ホームには懐かしい駅名表示板、さらにホームには大井川鐵道や茨城交通などの無蓋車が6両、国鉄の車掌車が1両、計7両止められていた。
まさに『夏草や兵どもが夢の後』と言った雰囲気であった。(以下、次回)