第10話「引きさかれた愛」はこちら。
前回の視聴率は20.4%。おやまあ。24%と読んだのになあ。それ以上に驚いたのは「笑点」の25%越え。日曜日の視聴率ってのには魔が棲んでいます(笑)
「土佐沸騰」は、現実的周旋屋である龍馬の本領発揮の回。激発する上士と下士を、吉田東洋のもとに単身のりこんで間を取り持つ。
「以前会うたときは、貧相な男にしか見えなかったが」
と東洋(田中泯)に言わしめたように、龍馬が政治の表舞台に登場するきっかけとなる。ほんとにこんなことあったのかな。
しかし龍馬にとっての最大の危機は、下士の仲間に面罵されることよりも、吉田東洋によって上士に取り立ててやるとの誘いの方だ。いよいよ脱藩への道は開かれたということだろうか。
自らも、低い位から山内容堂に取り立ててもらって力を得た東洋にとって、その誘い(東洋なりの人心掌握術)にのってこない龍馬はうろんな存在だろうし、原理的指導者として行き詰まる武市半平太(大森南朋)にとっても龍馬は微妙な位置にいる。誰の期待をも少しずつ裏切り続けるあたり、坂本龍馬の将来を暗示している。まあ、せっかくのキャリアを長崎の放蕩によって棒に振りそうになる岩崎弥太郎よりはまっとうな道を歩んでいますが(笑)
いよいよ大河ドラマっぽくなってきたので、視聴率は20%ちょいのラインで推移するのだろうか。もうワンランク上に行くためには、なんらかのイベント性が必要なんだろう。
でも、きのう「火の魚」(脚本渡辺あや!)というとんでもなく素晴らしいドラマを見たせいで(原田芳雄と尾野真千子だけであれだけの濃密な時間!)、視聴率なんてものはどうでもいいのかな、とも思い始めた。お茶の間に田中泯という異能の人をお届けできただけでも、このドラマは意義があったとつくづく。
第12話「暗殺指令」につづく。