と1作目を特集したときの本音。そのとおりの展開。あくまで嫌みがなく、なにしろCGで描かれるチャイナが今回も美しい。オープニングの、製作会社ドリームワークスのおなじみ釣り少年まで中華です。
両親に愛されなかった(実は違うのだが)恨みから、「このままだと白と黒の戦士に倒される」と予言された孔雀の王子は、そのためにパンダの撲滅を図る。これが前作で龍の戦士となったパンダのポーの出生にからんで……
あー、またアメリカ特有のファザコンマザコンの世界かよ、とちょっとうんざり。でも展開がここから違ってくる。少なくともこの2作目では、あいかわらずポーは冴えないガチョウの息子にすぎない。父子に血のつながりがないことを大仰にもりあげるあたりで爆笑。そして彼は、哀しい出自がありながら
「はじまりは不幸でも、自分がどうあろうとするかが大事」
というこの作品のテーマにそった形で、あくまでエレクトラだかエディプスだかのコンプレックスに悩む孔雀王子を倒す。ほら、ちょっと毛並みが違うでしょ。いつもは貴種流離譚でお茶をにごすことの多いハリウッドで、血筋なんか関係ないじゃん!と主張する脚本は潔いなあ。噂ではチャーリー・カウフマンがかんでるって話だけど、まさかね。
人力車のチェイスは「魔宮の伝説」、火矢のアクションは「蜘蛛巣城」、瓦屋根上の加速は「カリオストロの城」など、名作のおいしいところをうまく使っているのも好感。なにより赤ん坊の頃のポーって、ああこいつもパンダだったんだよな(笑)と思わせてとにかくかわいいですっ!
向こうの声優たちはポーがジャック・ブラック、タイガーがアンジェリーナ・ジョリー、モンキーがジャッキー・チェン、カマキリがセス・ローゲン、予言おばばがミシェル・ヨー(笑)、そして孔雀がゲイリー・オールドマンという狂いっぷり。でも吹替版はそれに引きずられないあたりもお行儀がいい。3作目も(絶対に製作されるはず)楽しみにしています。山口達也も無免許なんかに負けるな。これからどうあろうとするか、ほいで内なる平和が大事だぞ(えらそー)。