PART1はこちら。
そんな企画は絶対にヒットしないからやめろとみんなに止められたにもかかわらず、エヴァンスは「チャイナタウン」映画化に着手する。およそ理解不能な脚本なのに、監督に選んだのは「ローズマリーの赤ちゃん」でも起用した変態ロマン・ポランスキー。毒をもって毒を制すといったところか。
ポランスキーはタウンの脚本をいじり倒し、タウンは激高し、フェイ・ダナウェイはわがままいい放題でポランスキーと衝突……なんとか完成した作品は、試写会ではまったくうけなかった。こりゃいかんとエヴァンスはジェリー・ゴールドスミスに叙情的なテーマソングを書いてくれと依頼。わずか八日であの有名な旋律は生まれる。
結果、その年のアカデミー賞で最多のノミネート。もっとも、オスカーをとれたのはもめにもめた脚本賞だけだったというオチまでついている。
さて、ちゃんと見直してみよう。オープニングは男女が野外でセックスにふけっている写真。主人公である私立探偵ジェイク・ギティス(ジャック・ニコルソン)に、旧友のカーリー(ロッキーの義兄を演じたバート・ヤングがいい味)が妻の浮気調査を依頼し、最悪の結果が出たというわけ。落ちこむカーリーにジェイクは「料金はあとでいいから」となぐさめる(伏線)。
次の依頼人はモーレイ夫人と名のった。水道局の施設部長である夫、ホリス・モーレイの身辺調査が依頼内容。
「旦那さんを愛していますか?」とジェイクは訊く。
「もちろん」
「なら忘れなさい」
浮気調査にうんざりしているジェイクの本音でもあり、トラブル回避のためのセールストークでもある。結局ジェイクは依頼を引き受けて、ホリスが出席するダム建設公聴会に向かう。
その席で、ホリスは意外なことにダム建設に反対する。地質から見て決壊するに決まっていると。水道局に不満たらたらの住民は会場に羊を引き入れて抗議。その羊を見てよろこぶジャック・ニコルソンがかわいい!以下次号。