うーん、「永遠の0」かあ。どうも映画館に向かうのに二の足を踏む。いろいろと要因はある。
・特攻ものは苦手。「ホタル」のように題材の極端さにドラマが負けることが多いし。
・国粋的であることは必然だから、サヨクとしてはどうも……
・そのくせ泣き虫だから感動してしまうに決まっているのがくやしい
・原作者が現総理と“お友だち”だから、素直に観ることができないだろうし……
しかししかし、考えてみれば
・山崎貴の映画は(われながら呆れるほど)全部見ている
・東宝特撮の最新レベルがチェックできる
・予告篇の出来がすごい
……ということでブツブツ言いながらも見てきました。
山崎はなにしろ「三丁目の夕日」の人だし、それ以上に「Space Battleship YAMATO」の人なのだから、ベタな展開なのは予想通り(ドラえもんの新作期待してます)。
しかし今回は抑制がきいている。それは、ストーリーに『年長者が年少者に戦争を物語ることは義務』という基本線がしっかりしているからだろう。橋爪功、田中泯、夏八木勲、山本學らと、その若いころを演じる俳優陣(新井浩文、三浦貴大、濱田岳、染谷将太……さあ線で結んでみよう)の縦糸がいい感じだ。
特に、ネタバレになるけれど、新井浩文は“出演しなかったシーン”で泣かせて見せたし、日本映画界に濱田岳がいなかったら、と慄然とする思い(偉大なるしゅららぼん、期待してます)。佐藤直紀の音楽もすばらしい。
特撮、というかCGもすごい。戦艦赤城があそこまでリアルに描かれたのは初めてだろうし、
『飛行機にとって弱点である下方視界がないことを克服するために背面飛行が多いことで侮られる小隊長』
なんて微妙な存在まで描けるようになったのだ。おみごと。
ただしやっぱりどこかに薄ら寒いものは残る。映画を観た翌日、“お友だち”は靖国に参拝し、ヒロイックな気分を味わっている。自国民をふたたび戦争にひきずりこむリスクを高めた行動こそ、英霊に、むしろ失礼ではないのか。