なぜ今ごろSPEC?
話は簡単で、TVシリーズはとっくのむかしに見ていたものの、劇場版をディスカスしてようやくほぼコンプリートしたからです。
TVのほうは、特に前半が好調で、さすが「ケイゾク2」として企画されただけのことはあった。わたし、大好きでしたからあのドラマ。
ところが、ケイゾクのしんどいほうのDNAもきっちり継続していて、後半はいつ果てるとも知らない策謀陰謀の連続。特に劇場版は大風呂敷の広げすぎ(笑)。
しかしこのシリーズは、「ケイゾク」が中谷美紀を“まわりから罵倒され続けることでなお光り輝くヒロイン”として魅力的に描いたように、戸田恵梨香を、明らかに女優として化けさせた。
なにしろ彼女は、「デスノート」の、あのミサミサだったわけで(笑)、ホリプロの後押しがあったとは言え、演技が上手とか下手とか以前の存在だったのに。
そこを、“ヤンキー言葉で上司や同僚に逆らいながら、鋭い推理を見せる”なんて奇矯なキャラをきっちり演じるまでに育て上げたのだから、堤幸彦の演出手腕ってたいしたものなのでは?
ケイゾクで野口五郎がすばらしかったように、こちらでは加瀬亮がまさかのマッチョ系で笑わせてくれもしたし。「トリック」で仲間由紀恵を貧乳で貧乏なマジシャンという汚れキャラをやらせた人だからそれくらい簡単なのかな。
ただし、残念ながら堤幸彦は近ごろ不振が続いていて、去年も「真田十勇士」(松竹)は当たらず「神の舌を持つ男」(TBS)は低視聴率で、劇場版は当然のように記録的な不入り。
その不調をギャグにできるのもこの人の強みだけど、堤さん、そろそろしゃれにならないところまで来ているんじゃ……