事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

追悼衣笠祥雄

2018-04-24 | スポーツ

「今日はありがとな」

19日のDeNA-巨人戦はわたしもBSで見ていて、衣笠のあまりのかすれ声に驚いた。今日の訃報に、そうだったのかと感じ入る。

広島という球団が、彼にその実績に見合うだけの待遇を用意したのかとか、ハーフであったことにどれだけのハンディがあったのか、それは問うまい。鉄人としての連続出場記録について、これからあらためて報じられるだろう。

でもね。

でもわたしは衣笠さんの(いきなり敬称付き)最大の魅力は、失礼ながら現役の選手たちを常にチアラップした解説にあったのではないかと思っている。

「解説者を評定する」で彼をリストアップしなかったのは、そういうレベルの存在ではなかったからだ。彼ほど、あたたかい目で選手たちを応援した解説者はいなかったと断言できる。しかも、確実にクレバーだったし。

BS-TBSの追悼文は泣ける。

4月19日のご出演も、野球解説のローテーションとしてお願いし、ご本人からも快諾を頂きました。ただ衣笠さんの体調を考慮して、槙原さんとのW解説という形を取りました。当日の試合中も、体調が万全ではない様子もありましたが、ご本人の仕事を全うしたいという、強い意志を尊重して試合終了まで解説をお願いしました。

そして、その槇原とアナウンサーにかけた言葉が冒頭の「ありがとな」だった。解説者としても、鉄人だったのだ。

かつて広岡達朗のモデル小説「監督」のなかで海老沢泰久は、どうやっても打ち込まれてしまうヤクルトの投手のために、“三振してあげる”選手として衣笠を登場させた。広岡は「だからきみは一流になれないんだ」と断じたが、しかしまぎれもなく一流の野球人であったことを、彼の解説を聞いたことのある人なら誰でも理解できるはずだ。とても、とても哀しい。

コメント (2)
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