「おや、××さん久しぶりぃ」
前任校近くの本屋の店長がレジ前で。
「偶然だなあ。さっき×中の前を通ったんで、××さんどうしてるのかなって思ってたとこ」
うわああ本好きとしてはたまらないセールストークですね(笑)。Amazonに頼らず、これからも町の書店で買うことにしますよ。
「で、今日は?」
「原尞の新作が出てるって新聞に載ってたから」
「ハラリョウ?どう書くんだっけ」
前作から14年もたってるからなあ。端末で検索してもらう。
「あ、うちに配本されてない。早川は渋いんだよね」
外販の職員も、そういう例はすごく多いんだと嘆じていた。
なんてこったー。こりゃAmazonに頼るしか(笑)。いやいや、ちゃんとオーダーしましたよ。外販がいつも来てくれる職場でよかった。学校事務職員で本当によかった(^_^)。
それにしても、原は2004年に「愚か者死すべし」を書き上げたとき
「量産するコツをつかんだ」
って言ってたんだよ。まあこっちもこの作家はおなじみなので「油断できない」と思ってたらやっぱり。偏屈で、リライトにリライトを重ねるジャズピアニスト出身のミステリ作家の14年はどんなものだったのだろう。
しかし待った甲斐はあった。紳士的な、しかし不思議な依頼人が登場し、探偵沢崎は例によってワイズクラックを吐き放題(「フィルム・ノワール」の二村永爾ほどではないにしろ)。
そして今回も、未熟な人間に対するあたたかい視線は健在。天使たちをバックアップする、天使としての存在である探偵は健在だ。まあミステリとしては、沢崎がサラ金の金庫の中味を見るという設定のためにだいぶ無理してますが。
ファンだから次作をいつまでも待ってます(こういうファンはめちゃめちゃ多いらしい)。っていうか今度は二十年も待たせるんじゃないですよね。待つけど!