事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

わたし怒ってます~阿久根PART4

2010-03-17 | 社会・経済

PART3はこちら

職員8人 公開詰問 阿久根市長「改革に協力するか」 市民懇談会 議会、報道再び批判

 鹿児島県阿久根市の竹原信一市長が、対立する労働組合役員など市職員8人に出席を職務命令した市民懇談会が14日夜、同市民会館であった。通常の約4倍の約800人が参加。

 市長は8人を壇上に並ばせ、今後協力するのか、と詰問したほか、反市長派が多数を占める議会やマスコミを批判。障害者を差別的に記載したブログ問題は「謝る対象がない」と述べ、あらためて謝罪を拒んだ。

 昨年12月のブログ問題後、初の市民懇談会(不定期開催)。竹原市長は報道機関に取材禁止を事前通告していたが、参加者から「日本中に見てもらえ」などの声を受け傍聴を認めた。8人の内訳は、市職労役員4人▽昨年4月の降格人事を不服とする3人▽反市長派議員の家族1人。「職員研修の一環」が命令の名目で、市長が「違反者は処分する」と公言したため出席した。

 懇談会は、司会の竹原市長が質問者を選ぶ方法で進行。最初は市長の支援者ばかりを当てたため「改革は竹原さんにしかできない」などの発言が続き、会場から「不公平だ」の声も上がった。

 市長本人も8人に「竹原の改革について答えていない」と回答を迫り、職員が「法に違反しない限り命令には従う」などと述べると「厳しいな。あらゆる方法を使い、これを変えます」と話した。

 会場からは、報道機関の取材や市議会本会議への出席を拒否し、課長にも答弁させない市長に「説明責任を果たせ」「もう辞職しろ」との声も相次いだが、市長は「(マスコミは)歪曲(わいきょく)報道へのお仕置き。議会は駆け引き。手の内を明かすわけにはいかない」と語った。

 懇談会終了後、竹原市長は報道陣に対し「壇上の職員の人選は何となく。こういった形でどんどんやれば、業務に反映してくれる。(マスコミへのお仕置き発言は)マスコミも会社ではなく、社会のために仕事をしようということ。(議会への出席は)決めていない。マスコミにネタばらしはしない」と述べた。
=2010/03/15付 西日本新聞朝刊=

……読者からの通報で知ったニュース。要するにつるし上げを企図した“懇談会”である。NHKテレビでもとりあげられていたのでご覧になった人も多いだろう。

このニュースであからさまになったのが『市長派』。ファシズムはファシズム単体では存在し得ず、多数の熱狂によって成り立っているのだと教えられる思いだ。

現在、阿久根市民のどれだけが市長を支持しているのかはわからない(出直し市長選の得票とは違っているはず)。しかしこの状態が長く続けば続くだけ、たとえ市長が失職したとしても阿久根にダメージは残る。市政の停滞はもちろんだが、派閥抗争という名の深い怨みの連鎖が阿久根市を痛めつけるだろう。その意味で、竹原信一の責任は大きく、市長という権力を《集中させることでむしろ形骸化した》罪は重い。

それとも彼はこの問題にもこう反論するだろうか。「謝る対象がない」と。そうだろうな、彼には公人としての責任感など、かけらもないのだろうし。

こりゃ確実につづきます

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「失われた<20年>」朝日新聞「変転経済」取材班編 岩波書店

2010-03-16 | 社会・経済

0222080 1994年2月25日、舞浜の「ヒルトン東京ベイ」で行われた今井敬(新日鉄社長)と宮内義彦(オリックス社長)の論戦を“基調”に、バブル以降の日本を概括している。

しかしなにゆえに日本は立ち直れないのか、いまひとつ判然としない。朝日の経済部としても断定できはしなかったのだろう。ことは、それほど単純ではない。

わたしだって小泉改革への悪口は気持ちがいいが、それだけで日本の惨状があるとまでは思っていない。それにしても、官僚というのは作文が得意なんだなあ、としみじみ。“ニュアンスで政治を動かす”あたり、新聞記者以上の腕前か。やれやれ。

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刑事コロンボを全部観る~Vol.16「断たれた音」

2010-03-15 | テレビ番組

Themostdangerousmatch Vol.15「溶ける糸」はこちら

 障害者を犯罪者に設定することはかなりむずかしい。“政治的に正しい”ことが日本よりもはるかに強く要求されるアメリカでは、それはかなり高いハードルではないかと思う。この事件の犯人は聴覚障害者。製作者たちがそのハードルをクリアするために持ち出した理屈は、

『この犯人を逮捕することができたのは、彼が障害者だったことによる。しかしこの犯人が犯罪を遂行することができたのは、彼が異能の持ち主だったから』

だと最初は考えていた。

 ストーリーはこうだ。補聴器を使っているチェスの世界チャンピオンに、元チャンピオンが復帰して挑む試合が設定された(原題は「最も危険な試合」The Most Dangerous Match。松田優作の映画「最も危険な遊戯」をパクッた……わけじゃなくてギャビン・ライアルの「最も危険なゲーム」をひねったんでしょう)。試合前日にレストランで模擬試合を行ない、とても勝てないと考えたチャンピオンは、ホテルのゴミ処理施設に突き落として元チャンプを殺そうとする……

 この、模擬試合が最高。フレンチレストランのテーブルの上に、あらゆるツールをならべてチェスが開始される。第一手は胡椒(黒)。応じて塩(白)。エスカルゴの殻まで持ち出されたその勝負の帰趨は、元チャンプの手でノートに記されている(勝敗は黒と白でしか表記されていない)。つまり彼らチャンピオンは、驚異的な記憶力をもっていることがここで視聴者に提示される。犯人はその記憶力を利用し、コロンボは犯人が聴覚をもっていない人間でしかありえない点に着目した……

 耳に障害がある登場人物のミステリといえばドルリー・レーンが有名。エラリー・クイーンの「Yの悲劇」でとった彼の行動と、「最後の悲劇」のエンディングを考えると、聴覚障害者はミステリによくなじむ。しかしわたしはこうも思った。障害者は罪を犯さないのか?みんながみんな善良な被害者なのか?そんな思いこみの方がよほど政治的に正しくないんじゃないか。と、若死にしたローレンス・ハーヴェイの端正な顔を見ながら反省したことではありました。コロンボの、名前のない犬が有形無形の大活躍。そちらもしみじみ。

Vol.17「二つの顔」につづく

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龍馬伝~第11話「土佐沸騰」

2010-03-14 | テレビ番組

Tanakamin10 第10話「引きさかれた愛」はこちら

前回の視聴率は20.4%。おやまあ。24%と読んだのになあ。それ以上に驚いたのは「笑点」の25%越え。日曜日の視聴率ってのには魔が棲んでいます(笑)

「土佐沸騰」は、現実的周旋屋である龍馬の本領発揮の回。激発する上士と下士を、吉田東洋のもとに単身のりこんで間を取り持つ。

「以前会うたときは、貧相な男にしか見えなかったが」

と東洋(田中泯)に言わしめたように、龍馬が政治の表舞台に登場するきっかけとなる。ほんとにこんなことあったのかな。

しかし龍馬にとっての最大の危機は、下士の仲間に面罵されることよりも、吉田東洋によって上士に取り立ててやるとの誘いの方だ。いよいよ脱藩への道は開かれたということだろうか。

自らも、低い位から山内容堂に取り立ててもらって力を得た東洋にとって、その誘い(東洋なりの人心掌握術)にのってこない龍馬はうろんな存在だろうし、原理的指導者として行き詰まる武市半平太(大森南朋)にとっても龍馬は微妙な位置にいる。誰の期待をも少しずつ裏切り続けるあたり、坂本龍馬の将来を暗示している。まあ、せっかくのキャリアを長崎の放蕩によって棒に振りそうになる岩崎弥太郎よりはまっとうな道を歩んでいますが(笑)

いよいよ大河ドラマっぽくなってきたので、視聴率は20%ちょいのラインで推移するのだろうか。もうワンランク上に行くためには、なんらかのイベント性が必要なんだろう。

でも、きのう「火の魚」(脚本渡辺あや!)というとんでもなく素晴らしいドラマを見たせいで(原田芳雄と尾野真千子だけであれだけの濃密な時間!)、視聴率なんてものはどうでもいいのかな、とも思い始めた。お茶の間に田中泯という異能の人をお届けできただけでも、このドラマは意義があったとつくづく。

第12話「暗殺指令」につづく

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うまい店ピンポイント~ラーメンの町鶴岡「鈴木屋」

2010-03-14 | 食・レシピ

Suzukiya03_2 「いろは」特集はこちら

いろはが満員でよそに回る、というときの“よそ”はいつもここ。二番手あつかいが失礼なくらいおいしい。フレンドリーな接客(笑)も、ガテン系の客が多いのでむしろ自然。めずらしく灰皿がまだ健在なのもうれしいので、大山に来たときはここを一番手にすることにします。

酒田のラーメン好きに「いろは」よりこちらを評価する向きが多く感じられるのは、マニアのマイナー嗜好だけが理由ではないはず。駐車場も広大だし、おすすめの店です。わたしはオーダーしたことはないんだけど、昆布巻きと卵焼きも有名なんですって。へー。

次回はもう一軒の“鈴木”を。

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「黄昏」 南伸坊+糸井重里 東京糸井重里事務所

2010-03-13 | 本と雑誌

90251630 対談本ってホントに面白い。「倶楽部亀坪」につづき、これもまた名著か。対談や鼎談が面白がられる風土は日本特有ってのは本当なんだろうか。

南伸坊と糸井重里という稀代のウィットの人たちが、ただしゃべるだけの道行き。どうしてこう、面白いのだろう。「ほぼ日刊イトイ新聞」でも読んでいたのに、書籍という形をなした途端、また違った味が出てきているのは皮肉。というか狙いどおりなのかな。

糸井重里が聞き上手なのはもちろんだけど、南伸坊は明らかに聞かせ上手です。

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「もう書いてもいいですね。」廿楽正治著 有朋書院

2010-03-12 | 音楽

89713121 東芝EMIの辣腕宣伝マンだった著者が、会社への恨みつらみも含めて赤裸々に職業人としての半生を語った書。登場人物はみな「さん付け」で描写されるが、本心がどうであるかは微妙。

彼が担当した松任谷由実、長渕剛、宇崎竜童、チェン・ミンらは絶讃されているが……

それはともかく“当事者”であることの強みで、泣かせるエピソードがてんこ盛りである。

・学生運動の支援をしていた新谷のり子の当時のマネージャーは林原満子。のちにサン・ミュージックで担当したのが松田聖子。

・友川かずきのプロモーション中に名古屋のラジオで美少女歌手といっしょになった。詩を読みたいとのことなので、友川は彼女にノートを渡した。彼女は涙ぐみそうになりながら、一言一句、自分に語りかけるように読んでいた。木之内みどりだった。

・中村晃子のコンサート(の演出)をまかされた。音楽監督は長戸大幸。紹介されたギタリストが伊藤銀次だった。

・アミューズとTBSが映画を製作することになり、東芝EMIも参加することになった。「十五少女漂流記」である。東京地区のオーディションで背の高い三人組がとにかく目立った。同じタイプばかり集めるわけにはいかないので一人落とした。結局最終大会でもそのふたりはダントツ。チャンピオンが奥山佳恵。特別賞が山本未来

……逆に、越路吹雪、松宮一彦のエピソードは「書いてはいけなかった」のではないかと思う。筆がすべった、というレベルではなかろう。興味深い本だけれど、結果として暴露本のカテゴリーから抜け出てはいない。

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「HOUSE ハウス」(1977 東宝)

2010-03-11 | 邦画

House05 監督:大林宣彦

脚本:桂千穂

撮影:阪本善尚

音楽:小林亜星、ミッキー吉野

音楽演奏:ゴダイゴ 

出演:池上季実子、大場久美子、松原愛、神保美喜、尾崎紀世彦、笹沢左保、小林亜星、石上三登志、鰐淵晴子、南田洋子

泥だらけの純情」(今ならお嬢様の山口百恵とスナックのママの永島瑛子のどちらを選ぶかは微妙)の併映作。こっちがお目当てで酒田港座に行きました。大林宣彦の少女趣味がここまで炸裂していたとは。

公開当時、CMディレクターに撮らせるとは東宝も思い切ったことをするなーと思ったけど、そういう冒険がいまの東宝の隆盛を生んでいる。ま、特典映像では苦労した経緯も本人が語っていますが。ただ、大林の“噛んで含めるような”解説はちょっとしんどい。

少女七人(池上季実子、大場久美子、松原愛、神保美喜など)が意外なほどセクシー演技をしていたり(池上はフルヌードを披露します)、鰐淵晴子を徹底的にソフトフォーカスで撮ったり、これ一本しか撮れないかもしれないからこそ大林は趣味に走ったのだろう。

石上三登志、笹沢佐保、小林亜星、ゴダイゴなど特別出演てんこ盛り。特に笹沢は、この映画がなかったらその色男ぶりが後年理解されなかったのではないだろうか。にしても、少女を食らう老女が南田洋子というキャスティングはちょっと謎。

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わたし怒ってます~阿久根PART3

2010-03-10 | 社会・経済

PART2はこちら

<阿久根市長>「不信任出せ」議員を挑発 課長には答弁禁じ
3月9日0時24分配信 毎日新聞

鹿児島県阿久根市の竹原信一市長は8日の市議会産業厚生委員会で

わいどんとはもう語らん(お前たちとはもう議論しない)」

「不信任を出せ」

などと激しく議員を挑発し、説明を拒んで退席した。担当課長にも答弁しないよう命じたといい、委員会は1時間足らずで閉会した。市長の本会議への出席拒否など、阿久根市議会は異常事態が続いている。

 委員会は学童保育などを審議する予定で午前10時に開会した。当時は、報道陣を含め傍聴者はいなかった。 同委員会の木下孝行委員長らによると、市側から生きがい対策課長が出席。委員の質問に、課長が「市長から一切答えるなと命令された」と答えたため、委員長が市長に出席を要求。姿を見せた市長に、委員が「なぜ課長に説明もさせないのか」とただすと、「議会は前から自分に不信任状態。だから説明の必要はない」などと一方的に話し、激高した様子で席を立ったという。

 木下委員長は竹原市長の振るまいを「市民不在の市政。議会の調査権を侵害している」と厳しく批判した。

 竹原市長は今月4、5日、「マスコミが議場で取材している」として、本会議を欠席。予定していた10年度当初予算案の総括質疑に入れず、2日連続で流会した。竹原市長は08年12月にも「議会は市長不信任を可決し解散してもらいたい」と議会側を挑発。市長不信任案の可決後、議会解散と、市長不信任の再可決を経て出直し市長選が行われた。【馬場茂】

……この市長は今日も本会議にあらわれなかった。ふた通りの考え方がある。

1.この市長は信じられないことに“出直し”市長選によって再選されたので、もう一回解散して市長選をやり直しても勝つ可能性が大きいと判断し、議会をゆさぶっている。

2.もう感情を抑えようなどという理性も判断力も失い、市民を犠牲にしてでも私憤をはらそうとしている。

ま、どう考えても正解は後者ですわね。要するに子どもと同じで、頭の中には怒りと自己愛(なにしろネット右翼たちは彼のことが大好きらしいし)が渦巻いているのであろう。

何度も言うようだが、阿久根市がこのままでは危ういのはもちろんだ。しかしそれ以上に感情のタガがはずれたこの市長は、ひょんなことから自死しかねないとまでわたしは思っている。だいじょうぶか阿久根。だいじょうぶか地方政治。

こりゃ、絶対にPART4はあるな。

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「アビス」The Abyss(1989 20世紀FOX)

2010-03-09 | 洋画

Theabyss07_2  脚本、監督:ジェームズ・キャメロン

出演:エド・ハリス メアリー・エリザベス・マストラントニオ マイケル・ビーン

オスカーは元奥さんであるキャスリン・ビグロー(「ブルー・スチール」は必見。「ハート・ロッカー」は果たしていつこちらで封切られるものだか)にさらわれたけれど、これは仕方ない。そういつもいつもキャメロンの思い通りにはいかないし。なにより、“アメリカ人がイラクで何をやっているのか”を正面から描いた作品がアカデミー賞をとった意味は大きい。それに、前から思ってたけどビグローって女優より美人だし(もうすぐ60才だけど)。にしてもねぇ、やっぱりあの(元)夫婦は、アバターなみに背が高いです。

「アビス」はキャメロンにとって「アバター」にもっとも肌合いが近い映画なのかも。深海が舞台なのでひたすら息苦しく、だからこそラストの爽快感が……なはずだけどメッセージがあまりにも青臭いあたりが観客に嫌われたか興行的には惨敗。もっとも、「アバター」にしたってかなり青臭い映画なのだが。

でも、深海で空気が足りないからととった手段が“一度死なせておいて蘇生させる”なのには初見当時から感服。やるもんだ。深海と“もっと深海”のやり取りが、懐かしのポケベル状態であるあたりも、キャメロンは映画を知っている。コミュニケーション不全をこそ観客は固唾をのんで見守るわけだし。一見の価値はあります。

Kathrynbigelow04

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