ウラクロシジミ Iratsume orsedice orsedice (Butler, [1882]) は、シジミチョウ科ミドリシジミ族ウラクロシジミ属のゼフィルス。北海道の南部の一部、本州、四国、九州に分布し、食樹であるマンサク科のマンサク、マルバマンサクの生える山間部の渓流沿いに主に生息している。オスの翅表は、真珠のような輝きを持っている。
環境省RDBに記載はないが、大阪府のRDBでは絶滅危惧Ⅱ類に、宮崎県、大分県、高知県、山口県、埼玉県のRDBで準絶滅危惧種に選定されている。
ウラクロシジミの真珠のような翅表を撮るために、毎年、東京都檜原村の生息地を訪れているが、なかなか綺麗に撮れない。
理由は1つ。生息場所は渓谷であり、食樹は渓谷沿いに生えているため、ウラクロシジミに近づくことができないからである。
早朝ならば、下草に降りていて朝日を浴びて開翅をするかもしれないと思い、6月11日は、夜明け前から午前9時まで待機したが、下草にはおらず、また近辺を飛ぶ姿もなかった。以前、同地区において9時~夕方まで待機した時に15時頃まで飛ぶ姿を確認できなかったことから、翌12日は14時から待機し、この生息地域で唯一、目線の高さ、もしくはそれ以下で撮ることができる場所で撮影に臨んだ。
天候はうす曇りで時々日が差す程度であったため、15時前から活動が見られるかと思ったが、この日は15時半を過ぎてからであった。また、今年は昆虫の発生が一週間から10日ほど早く、ウラクロシジミにおいても発生時期終盤で、個体数もかなり少ない状況であった。
ここで、これまでの観察結果をまとめておくと以下のようになる。
地域特性もあると思うが、ウラクロシジミの活動時間は、夕方のみで早朝を含む他の時間帯には、一切活動しない。その日の気象条件にもよるが、15時~16時頃から活動を始める、
飛翔するのは、ほとんどがオスで、活動開始後に食樹に限らず開けた場所の葉上に止まり開翅するが、テリトリーを見張る行動ではない。30分もすると葉などに止まることなく飛び回り、
メスを探す。飛翔しながらオス同士が近づいても卍飛翔は一瞬だけで、すぐに分かれる。自分のテリトリーは持っていないようである。
今回も開翅写真は撮影できたが、2014年の写真を超えるものは撮ることができなかった。ウラクロシジミまでの距離はおよそ10m。その先の葉に止まる10円ほどのウラクロシジミ。Tokinaの300mmに2倍のKenko TELEPLUS 2Xを付けて撮影。(35mm換算で960mm)ライブ・ビューで拡大表示させて、マニュアルでピントを合わせ、レリーズでシャッターを切った。この場所では、これが限界のようである。
今後は、撮影場所を見直し、更に行動パターンを学ぶことが必要であろう。
本記事では、今回撮影した写真及び過去に撮影したものも含めた掲載した。また、1枚目以外はトリミングをした。
お願い:写真は、1024*683 Pixels で掲載しています。Internet Explorerの画面サイズが小さいと、自動的に縮小表示されますが、 画質が低下します。Internet Explorerの画面サイズを大きくしてご覧ください。
ウラクロシジミ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO
絞り優先AE F8.0 1/160秒 ISO 3200(2012.06.30)
ウラクロシジミ
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 + Kenko TELEPLUS 2X
絞り優先AE F10 160秒 ISO 3200 +2/3EV(2016.06.12)
ウラクロシジミ
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 + Kenko TELEPLUS 2X
絞り優先AE F10 1/250秒 ISO 3200 +2/3EV(2016.06.12)
ウラクロシジミ
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 + Kenko TELEPLUS 2X
絞り優先AE F8.0 1/500秒 ISO 3200 -1 1/3EV(2014.06.15)
東京ゲンジボタル研究所 古河義仁/Copyright (C) Yoshihito Furukawa All Rights Reserved.
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ウラクロ、過去の写真も含め素晴らしいです(^-^)翅脈までキレイすぎます!!
テレコン、三脚、レリーズの威力と、ホタルさんの粘り強い観察の結晶ですね☆
ワタシが先日観察したときには、奥の方で午後2時くらいからチラチラ飛び始め、慌ててポイントまで移動しました。
来年は、奥の方や近隣でもよさげな場所がないか、探してみようかと思います。
ウラクロシジミは、出会いさえ叶えば翅裏の撮影は簡単ですが、
何といっても翅裏の真珠を撮ることですよね。
この撮影場所のずっと奥にも群生場所がありますが、高い所ばかりを飛んでいて撮影には向きません。
やはり、ここが一番だと思いますが、ご存知のように距離がありますので、
今後は、他地域でもっと良く撮れる場所を探す必要があると思っております。