昆虫の脚は6本である。昆虫とは「体が頭部・胸部・腹部からなり、胸部には節のある脚が3対6本もつ生きもの」と定義できる。しかしながら、下写真のタテハチョウの写真では、脚は4本しか見えない。
実は、タテハチョウ科(Family Nymphalidae Rafinesque, 1815)は、前脚が萎縮していて小さくなっているのである。
よく見ると、前脚は頭部と中脚の間に小さく折り畳まれている。この前脚は歩行や掴まるためには役立たないが、先端に生えた感覚毛で味を感じることができ、感覚器官としての働きに特化していると言われている。また、前脚は食事や産卵の直前には、餌や幼虫の食草・食樹の表面に前脚を伸ばし触れる動作をおこなうとも言われている。
タテハチョウ科の他にも、マダラチョウ科、ジャノメチョウ科、テングチョウ科なども4本脚のチョウである。
キタテハ
Canon EOS 5D Mark2 / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO
絞り優先AE F3.2 1/100秒 ISO 160(撮影地:千葉県夷隅郡大多喜町 2013.03.20)
シータテハ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO
絞り優先AE F5.6 1/200秒 ISO 200(撮影地:群馬県吾妻郡嬬恋村 2012.08.25)
ヒオドシチョウ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF90mmF/2.8 Di MACRO1:1
絞り優先AE F6.3 1/160秒 ISO 1600(撮影地:山梨県韮崎市 2013.06.23)
キベリタテハ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO
絞り優先AE F5.6 1/160秒 ISO 200(撮影地:群馬県吾妻郡嬬恋村 2012.08.25)
タテハチョウ属(Nymphalis属)の中でも美しい2種について、簡単に記しておきたい。
ヒオドシチョウ(Nymphalis xanthomelas)は、6月に羽化しそのまま冬を越して翌年の5月頃まで生きる長命な チョウだが、7月頃から翌春までその姿を見ることはほとんどない。詳しい生態は分かっていないが、低地で発生したヒオドシチョウは、発生後、しばらくすると標高の高いところに移動して夏眠・冬眠して降りてくるからだと言われている。
キベリタテハ(Nymphalis antiopa )は、和名にあるように翅表外縁に黄色の太い縁取りがある。翅全体は小豆色でベルベットのような光沢があり、黄色の縁取りの内側には、青色の斑紋が一列に並ぶ。そのシックな色合いから「高原の貴婦人」とも呼ばれている。
ヨーロッパから中央アジア、シベリア、北アメリカ、メキシコまで、北半球の温帯~寒帯に広く分布しており、アメリカでは、Mourning Cloak(喪服のマント)と呼ばれ、イギリスでは、Camberwell Beauty(キャンバーウェルの美人)と呼ばれている。
ヒオドシチョウ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO
絞り優先AE F8.0 1/200秒 ISO 500(撮影地:山梨県北杜市 2013.06.08)
キベリタテハ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO
絞り優先AE F11 1/160秒 ISO 200(撮影地:群馬県吾妻郡嬬恋村 2012.08.25)
東京ゲンジボタル研究所 古河義仁/Copyright (C) Yoshihito Furukawa All Rights Reserved.
----------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます