オオイチモンジ Limenitis populi jezoensis Matsumura,1919 は、タテハチョウ科(Family Nymphalidae)/イチモンジチョウ族(Tribe Limentidini)/オオイチモンジ属(Genus Limenitis)に属するチョウである。前翅の開張幅がオスで 66mm内外、メスで 80mm内外もある大型で、翅表は黒地に白条を持ち、後翅外縁に沿って青色の構造色を持つ光沢部と赤斑が並び、地味ながらも美しい。
北海道と本州(主に中部山岳地帯の標高1000m~1600m)に分布し、幼虫の食樹となるヤナギ科であるドロノキ(ドロヤナギ)やヤマナラシが多い沢沿いの林縁、湖沼の周辺林、
沢沿いの林道に生息するが、本州においては、生息域の標高が上昇し、生息域の面積が縮小傾向にあると同時に、河川改修や針葉樹の植林による食樹の減少により絶滅が危惧されており、環境省RDBでは、絶滅危惧Ⅱ類(VU)として記載、群馬県・静岡県のRDBでは絶滅危惧Ⅰ類、福島県のRDBでは絶滅危惧Ⅱ類、長野県・岐阜県・富山県のRDBでは準絶滅危惧種として選定しているが、群馬県・栃木県・福島県では絶滅したと言われている。群馬県、長野県、山梨県では県指定の天然記念物であり、長野県においては、種の保存法および関連した都道府県条例での指定種となっており、採集はできない。しかしながら、オオイチモンジはチョウ・マニアの垂涎の的であり、過去に自然公園保護法違反、文化財保護条例違反、県希少野生動植物保護条例違反(無届けの捕獲)等で書類送検された採集者が何人もいる。
オオイチモンジを撮影するために長野県の上高地に通って3年。一昨年は天候不順で1頭も現れず、昨年は1頭を撮影したものの翅がボロボロ。そして今年。他の多くの昆虫の発生が例年よりも10日ほど早いことから、昨年よりも9日早く訪問したところ、ようやく綺麗な姿を撮ることができた。
沢渡を予約したタクシーで4時半に出発し、バスターミナルに一番乗り。梅雨の時期であるが、快晴で無風。気温18℃。最高の条件である。早速、ポイントを目指して歩き始め、現地に7時から待機。しばらくすると、1頭のオオイチモンジが頭上を滑空し、木立の中へ。7時半を過ぎると飛来する数も増え始め、石に止まったりするが、まだ落ち着きがなく、すぐに飛び立ってしまう。その後、石に止まって翅を開き、ミネラルを吸う個体が多くなり、じっくりと観察しながら撮影することができた。(その内1頭に手を近づけると、手に乗ってきて汗を吸い始めた。)このポイントには、30分で6頭ほどのオオイチモンジが飛来したが、すべてオスであった。
ここでの撮影(目線の高さでの開翅)を終え、次のポイントへと移動すると、川原の一ケ所に多くのオオイチモンジが集団でいるのを発見。近づくと何頭かは飛んでしまったが、2頭のオオイチモンジ(他にコムラサキとセセリチョウ)が動物の排泄物で吸汁している様子を観察できた。タテハチョウ科は、コンクリートや石岩等でミネラルを吸う他、地面での吸水、動物の排泄物や樹液の吸汁が特徴であり、花での吸蜜は稀である。(昨年は、花での吸蜜を撮影している。)
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オオイチモンジ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO
絞り優先AE F8.0 1/200秒 ISO 400 +1 1/3EV 内臓ストロボ使用(撮影地:長野県松本市上高地 2016.7.10)
オオイチモンジ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO
絞り優先AE F8.0 1/250秒 ISO 400 +1 1/3EV(撮影地:長野県松本市上高地 2016.7.10)
オオイチモンジ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO
絞り優先AE F8.0 1/320秒 ISO 400(撮影地:長野県松本市上高地 2016.7.10)
オオイチモンジ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO
絞り優先AE F8.0 1/250秒 ISO 400 +1 1/3EV(撮影地:長野県松本市上高地 2016.7.10)
オオイチモンジ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO
絞り優先AE F8.0 1/250秒 ISO 640 +1 1/3EV(撮影地:長野県松本市上高地 2016.7.10)
オオイチモンジ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO
絞り優先AE F8.0 1/250秒 ISO 400 +1 1/3EV(撮影地:長野県松本市上高地 2016.7.10)
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素晴らしい綺麗な個体ばかりでまさに撮ってくださいと言わんばかり
私も来年会えるか挑戦してみます
案山子(後藤仁)
上高地は多産地なので、撮影できる可能性はとても大だと思いますが。
とにかく、梅雨の時期に発生時期と天候と私の休日がすべて合致しないとダメなので、
イライラさせられました。
近くならば、もっとチャンスがあるのでしょうが、片道250kmはありますので、運任せですね。
おめでとうございます!!
今までの鬱憤を晴らす、素晴らしい写真ですね☆それにしてもキレイな個体ですね。
オオイチはまだ見たことがありません。
上高地、距離もありますが季節柄確かに運も大きく関わりそうですが、来年いってみようかなぁ。。。
3年めにして、ようやく撮影できました。
発生時期と天候と私の休日が合致しないと
撮れないのですが、今回はばっちりでした。
上高地には、全体的に生息していますが、
あるポイントでは、こんなにいるのか!
と思うほど飛んできてくれました。
一見の価値あるチョウですので、来年は是非挑戦してみてください。