ハグロトンボ Atrocalopteryx atrata (Selys, 1853) は、カワトンボ科(Family Calopterygidae)ハグロトンボ属(Genus Atrocalopteryx)で、本州・四国・九州に分布している。平地や丘陵地の水生植物が繁茂する緩やかな流れに多く見られるが、水生植物がほとんどない流れにも生息している。成虫は5月下旬頃から出現し、9月下旬まで見ることができるが、羽化した成虫は周囲の林床や林縁で未熟期を過ごし、成熟して繁殖期になると流れに戻ってくる。緩やかな流れと、薄暗い林が隣接していることが生息には欠かせない条件の1つである。
ハグロトンボは、文字通り翅が黒いことが和名の由来であり、黒い4枚の翅をヒラヒラさせながら、水辺をやさしく飛んでいる姿が印象的である。またオスの腹部は金緑色に輝き美しい。地域によっては「神様トンボ」」と呼ばれ、縁起の良い虫として昔から親しまれてきており、女流俳人の第一人者であった中村汀女は、「おはぐろや旅人めきて憩らへば」と俳句に詠んでいる。
それほど珍しい種ではなく環境省カテゴリにも記載はないが、環境の悪化により東京都のRDBで絶滅危惧Ⅱ類に、青森県では準絶滅危惧種として記載している。ホタル同様に水辺の象徴であるが、全国的に見られる場所が限らてきている状況に不安を感じる。
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ハグロトンボ(オス)
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 / 絞り優先AE F5.0 1/500秒 ISO 2500 -1EV(2017.9.03)
ハグロトンボ(オス)
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F3.5 1/320秒 ISO 800(2011.8.20)
ハグロトンボ(メス)
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F6.3 1/125秒 ISO 100 -2/3EV(2010.9.25)
ハグロトンボ(交尾態)
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 / 絞り優先AE F6.3 1/250秒 ISO 3200 -1/3EV(2017.9.03)
ハグロトンボ(産卵)
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 / 絞り優先AE F6.3 1/30秒 ISO 3200(2017.9.03)
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