東日本型のゲンジボタルの乱舞を前々回の記事「ホタルの乱舞~里山で舞う東日本型ゲンジボタル~」同様に写真と映像で紹介したいと思う。
ゲンジボタルの発光周期には地理的変異があることは良く知られており、気温 20℃での発光周期(オスの同期明滅)を比較すると西日本型(短周期で2秒)と東日本型(長周期で4秒)に分けられるが、観察していると、発光している時間や飛び方等にも若干の違いが見られる。東日本型ゲンジボタルは、比較的長く光りながらゆっくり飛び、飛翔距離も短いという特徴がある。
長時間露光による光跡を写した写真でも西日本型と東日本型ゲンジボタルの違いが分かる。西日本型ゲンジボタルの飛翔風景を写真に撮ると、光跡がスー、スーと流れるように写るが、一方の東日本型の場合は、写真的に絵にならない。ただし、映像はほぼ見た目と同じであり、東日本型ゲンジボタルであっても、その魅力を十分に味わうことができる。尚、映像には同期明滅が分かるものも掲載した。
東日本型のゲンジボタルの乱舞を撮影した場所には、4月10日に上陸の様子を観察に行っているが、8頭ほどしか上陸していなかった。当日は勿論雨であったが、東京奥多摩では雪が降るほどの低温で、当地の気温も10℃であった。その後は、雨らしい雨があまり降らず、今年のゲンジボタルの発生はとても少ないのではないかと危惧していたが、いざ発生時期になってみると、前々回の記事で掲載した場所も本記事で掲載した生息地も、例年にない乱舞であった。
しかし、疑問が残る。羽化までの有効積算温度を発生日から逆算していくと、上陸は4月10日~15日に計算上はなる。昨今、上陸が早くなってきており、場所によっては3月に上陸しているという観察報告もあるので、今一度、上陸時期、上陸の条件、羽化までの有効積算温度等を再検証する必要がある。
今後のホタルの予定は、今月下旬頃に、開発計画のある東京都内の谷戸(ここでは、ゲンジとヘイケが同時に乱舞すると言われている)、同じく都内の渓流においての動画撮影を予定。7月は6年間で8回通って、2009年にようやく撮影できた東京奥多摩のヒメボタル。当時フィルムであったので、今回はデジタルでの再挑戦。そして、昨年、レンズキャップを外し忘れて何も撮れていなかった富士山麓のヒメボタルを予定している。
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東日本型ゲンジボタルの飛翔風景
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Carl Zeiss Planar T* 1.4/50 ZE / バルブ撮影 F1.4 ISO 640 5分相当の多重(撮影地:千葉県 2019.6.08)
西日本型ゲンジボタルの飛翔風景
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Carl Zeiss Planar T* 1.4/50 ZE / バルブ撮影 F1.4 ISO 640 5分相当の多重(撮影地:東京都)
東日本型ゲンジボタルの同期明滅(気温20℃)
西日本型ゲンジボタルの同期明滅(気温20℃)
東日本型ゲンジボタルの乱舞(BGM付)
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Carl Zeiss Planar T* 1.4/50 ZE(撮影地:千葉県 2019.6.08)
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少しでも、皆様のお心を癒すお役に泣てたのならば、撮影し、掲載した意味があります。
ホタルの光は、心に沁みますね。
これからも無理のない範囲で、ホタルをはじめ自然に寄り添っていこうと思って思います。
今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。