ホタルの独り言 Part 2

ホタルの生態と環境を52年研究し保全活動してます。ホタルだけでなく、様々な昆虫の生態写真や自然風景の写真も掲載しています

滝の水のごとく

2021-05-16 16:20:16 | 風景写真/滝

 東京や大阪など4都府県に出されている新型コロナウイルス対応の特別措置法に基づく緊急事態宣言の期限が、5月11日から5月末まで延長された。東京都では、引き続き時短・休業要請、不要不急の外出と都外の移動自粛が求められている。GW期間中は、前記事のように1日だけ遠征したが、それ以来、平日の仕事以外はほとんど外出していない。風薫る5月に、二年連続で撮りたての写真を掲載できないのは悲しい。
 昨年5月の緊急事態宣言中には、本ブログにて「心如水」(心は水のごとく)という記事を書き、自粛に関する人の心の複雑さについて考えたが、今年は「水の流れ」にまつわる話を記して、自身のストレスを軽減させたい。

 水の流れと言えば川が思い浮かぶ。日本には川が多く水と親しんできた。古来より「水」に対して象徴的な意味を与え、日本ならではの「水の文化」が発展し、人々の精神や考え方にも大きな影響を与えてきた。
「行く川の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず」
という鴨長明『方丈記』の冒頭は、日本人の水に対する考え方を象徴している。これは流れていった水はもう戻ってこない、世界はいつも変わっているという無常観を表現したものである。
 流れの途中にある滝に対しても、日本人は独特な感覚を覚える。滝に神を見てきたとも言われ、信仰の対象とする所もある。川の流れよりも、魅力的で神秘さを感じるのは私だけではないだろう。滝壺に入り滝に打たれながら経を唱え続ける精神修行方法である水行・滝行も行われてきた。邪念を振り払い、自らを浄化することが目的だが、滝行を行わなくとも、その場に行くだけで様々な精神的効果がある。
 滝は、大自然の中にあるパワースポットとして注目されてもおり、滝マニアや滝ガールといった存在もいる。滝の周辺には、水が落下して飛び散る飛沫によるマイナスイオン(負の大気イオン)の効果でストレスが軽減し、エネルギーをチャージすることができると言われている。
 ストレスは「三つのR」で対処すると良いと言われている。①Rest(レスト=休養)、②Relaxation(リラクゼーション=くつろぎ)、③Recreation(リクリエーション=活性化)である。ストレスの語源は「歪む」とある。心も体も歪んでしまった状態は、休養してリラックスすればそれ以上悪化はしないが、元には戻らない。ストレスのない状態に自分を活性化する必要がある。
 マイナスイオンの効果は、科学的に証明されてはおらず、論文によれば、マイナスイオンは、自覚症状や一般生化学検査や血圧・脈拍数などに有意性は認められていないが、ストレス対策の効果はあるように思う。見に行かなくとも、こんな効果もあるようだ。風水では「滝」の写真や絵を飾ると金運がアップするという。上から下にまっすぐに向かって流れる「滝」の写真か絵を飾ることで、富が家の中に降り注ぐようになるという。右や左に「滝」が曲がっている写真や絵では、飾る場所によっては金運が外に流れて出しまうので注意との事である。外出自粛のコロナ過においては、せめて金運だけでもアップさせたいものである。

滝の上に水現れて落ちにけり 後藤夜半

 客観写生を体現した句として名高い作品で、一瞬の「静」の世界と無限の「動」の世界を表している。水は、滝の上で見えた後は、勢いよく滝つぼへと流れ落ちていく。時の流れに身を任せるだけの昨今、見えない滝つぼに流れ落ちる前に、しっかりと立ち止まって物事を見て考えなければならないと思う。そして、水に流してきたことを反省し、流れに逆らうことなく生きることが大切だ。

 掲載写真は、称名滝と浄蓮の滝である。称名滝(しょうみょうだき)は、富山県立山町にある立山連峰を源流とし、弥陀ヶ原台地をV字状にえぐる落差350mの日本一の大瀑布である。 日本の滝百選に選定されている。雪解け水が多く流れ込む春などには、称名滝の右側に幻の滝「ハンノキ滝」が現れて、2つの滝が流れ落ちる。また、特に流量が増した場合には、ハンノキ滝の右側にソーメン滝も現れて、3つの滝が並んだ光景を見ることができる。ハンノキ滝の落差は497m(一般には500mとされる)で、350mの称名滝よりも大きいものの、いつも存在している滝ではないとして、日本一の落差の滝として認められないことも多い。
(国土地理院によれば、「滝とは流水が急激に落下する場所をいい、基本は高さが5メートル以上で、いつも水が流れている所」としている。)
 浄蓮の滝(じょうれんのたき)は、静岡県伊豆市湯ヶ島にある滝で、こちらも日本の滝百選の一つ。落差25m、幅7mの直瀑である。

参考文献/渡部一郎:負イオンの生理効果 エアロゾル研究, 18(1), 27-32 (2003)

以下の掲載写真は、1920*1280 Pixels で投稿しています。写真をクリックしますと拡大表示されます。

称名滝の写真

称名滝
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F25 1/160秒 ISO 500(撮影地:富山県立山町 2013.6.01 8:12)

称名滝の写真

称名滝
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F25 1/125秒 ISO 640(撮影地:富山県立山町 2013.6.01 8:19)

浄蓮の滝の写真

浄蓮の滝
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F13 0.5秒 ISO 100 -1EV(撮影地:静岡県伊豆市 2012.1.02 10:07)

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