竜返しの滝は、長野県軽井沢町の有名な「白糸の滝」の下流にある。高さ7m、幅2mほどであるが、水量が多く轟音を響かせており迫力がある。昔は、数段に落下する大きな滝で、各々円形の滝壺では爆水が渦巻いて、それが数珠玉を連ねたように見えたことから「すずが滝」と呼ばれていたが、後に、竜のように大蛇が滝を渡りそびれて、豪水に飲まれ姿を消してしまったという伝説から、「竜返しの滝」と言われている。
今夏は、計画した昆虫の写真が思うように撮れず、悔しい毎週末を過ごしている。この週末もトンボとチョウを撮るために、車中一泊二日の遠征に出かけたが、結果は惨敗。昆虫なら何でも撮るというのではなく、目標を決めて、それだけを狙うから、発生時期や天候に左右されての結果である。ただ、今回は、久しぶりに自然風景写真の撮影も予定に組み込んだ。風景撮影は5月の「奥四万湖/浮島」、6月の「モネの池」以来であろうか。狙うは、「竜返しの滝」である。
軽井沢の美しい林と緑に囲まれた清流と滝であるから、それだけでも絵にはなるが、「光芒」というドラマティックな演出を期待して向かった。午前1時半に自宅を出発し、5時半に到着。ロケハンをした後、滝の前で待機。天気は曇り。しかし、晴れるという予報を信じて、ひたすら待つ。日の出時刻は5時4分だが、深い谷に日が差してくるのは7時半頃だ。
徐々に雲間から青空が見えるようになり、谷の上部の木々に朝日が当たり始めた。「これなら大丈夫。」そう自分に言い聞かせて待っていると、7時半、夏の強い日差しとまではいかないが、木々の間から光芒となって朝日が差し込みはじめた。日の出の方角から、9月になると滝への光芒は見られない。6月20日くらいだと正面近くから朝日が当たるが、梅雨の時期に軽井沢で晴れを期待するのは難しいだろう。
竜返しの滝を8時半頃に引き上げたが、カメラマンは自分を含めて8人、駐車場を出るときに観光客3人とすれ違っただけであった。一方、通り過ぎただけの「白糸の滝」は、8時半過ぎで
駐車場は乗用車で半分ほど埋まっており、観光バスも2台。その先の国道146号線も大渋滞で、お盆期間中の軽井沢は車と人で溢れていたが、昆虫はまったくいなかった。
滝と光芒の組み合わせは、来月に別の場所で撮る予定だ。
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一枚目の写真、光芒がいいですね。