ホタルの独り言 Part 2

ホタルの生態と環境を52年研究し保全活動してます。ホタルだけでなく、様々な昆虫の生態写真や自然風景の写真も掲載しています

濃溝の滝

2017-03-18 21:05:16 | 風景写真/滝

 濃溝の滝は、千葉県君津市にある洞窟(というよりもトンネル)である。洞窟(トンネル)は、大きく迂回していた川の流れを水田耕作のために変える目的で江戸時代に人工的に掘られたもので、地元では、「川廻しのトンネル」「亀岩の洞窟」などと呼ばれていたそうである。
 「濃溝の滝」は、近くにある「濃溝温泉千寿の湯」から付けられた最近の呼び名らしい。以前は、あまり訪れる人がいなかったようだが、2015年の秋にインスタグラムに写真が投稿されると 「神秘的で、まるでジブリの世界!」と話題になった。周囲の緑に洞窟と澄んだ流れ、何より洞窟の奥から日光が差し込む情景が幻想的で、光が水面に反射してハート型に見えることから、カップルや片思い成就、恋愛に良いことがありそう・・・と瞬く間に人気観光スポットになったのである。昨今では、旅行会社で「日本の秘境・絶景ツアー」が組まれ、関西方面からもバスツアーで 来るほどの人気ぶりである。

 濃溝の滝。話題の場所ならば1枚は写真を撮っておきたい。それも、洞窟(トンネル)の奥から日光が差し込む光景を狙いたい。そのチャンスは、日の出の方角から春分の日と秋分の日の前後数日しかなく、日の出から1時間半後の数十分だけである。実は、昨年の3月にも訪れているが、東の空に低い雲があって朝日が臨めなかった。9月は天候が悪く断念。そして、今年。3連休とも晴れの予報。太陽の方角的には20日が良いが、初日の朝は快晴の予報なので迷わず決行である。
 18日。午前3時前に自宅を出発し、アクアライン経由で館山自動車道の君津ICで降り、房総スカイラインで現地へ。深夜に雨が降ったようで、君津ICを降りてから濃霧である。なかなかの好条件である。現地駐車場に4時半到着。なんと、すでに30台ほどが駐車している。名古屋ナンバーの車もあり、車中拍の方もいるようだ。ゆっくりしていたら撮影場所がなくなると思い、懐中電灯を照らしながら滝まで向かった。撮影ポイントに着くと、驚いたことにもう三脚がズラリと立ち並んでいる。しかも、昨年は無かったロープが張られていて、撮影できる場所がとても狭い。何とかポジションを確保しカメラをセットした。気温は2℃。少しだけ川の中に入っているので足が凍りそうである。
 自然風景の撮影で様々な場所へ行くとカメラマンの多くは同年代以上だが、この場所は、若者が多い。SNSの拡散で人気が広まったからだろうか。隣の若者と会話をしながら夜明けを待つこと2時間半。ようやく朝日が差し込んできた。人も増え、最終的に50人以上はいたのではないだろうか。まるで山手線の通勤電車の中のようだ。最前列は三脚組。後方は手持ち、スマホ、観光客。

 この日は、1月29日に山梨県の精進湖より富士山を撮って以来、久しぶりに気合を入れた小遠征。話題の場所のそれなりの光景も撮ったが、私的には、「まるでジブリの世界!」であるとか「日本の秘境・絶景」と言われるほどの感動はなかった。SNSに躍らせれた若者達とそれにあやかる地元の観光客誘致戦略の産物なのか。あるいは、「モネの池」を訪れた時と同様に、私の感性が鈍いのであろうか。
 感動が薄くても、条件の良い日に気合を入れて行ったからには、キッチリと撮影した。そして見て頂くからには丁寧に現像し仕上げている。例えば、洞窟(トンネル)の向こう側見える護岸壁が、いかにも人工的で雰囲気を壊してしまうので、朝日の光芒を白とび覚悟でハイキーにして隠している。また、そのことによって、洞窟(トンネル)の向こう側が別世界のように感じる。
 これから写真を撮ろうと思われる方で、横向きの綺麗なハート型を狙うのであれば、3月と9月の20日~23日の間で、雲のない晴れの朝に行かれると良いと思う。当然、撮影者も多いので、午前3時くらいから三脚とカメラをセットして待機する覚悟は必要だろう。

お願い:写真は、1024*683 Pixels で掲載しています。Internet Explorerの画面サイズが小さいと、自動的に縮小表示されますが、画質が低下します。Internet Explorerの画面サイズを大きくしてご覧ください。

濃溝の滝の写真

濃溝の滝 Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Carl Zeiss Planar T* 1.4/50 ZE / 絞り優先AE F13 0.5秒 ISO 100 +1/3EV(撮影地:千葉県君津市 2017.3.18 7:20)

濃溝の滝の写真

濃溝の滝 Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Carl Zeiss Planar T* 1.4/50 ZE / 絞り優先AE F13 1/4秒 ISO 100(撮影地:千葉県君津市 2017.3.18 7:20)

濃溝の滝の写真

濃溝の滝 Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Carl Zeiss Planar T* 1.4/50 ZE / 絞り優先AE F13 1/4秒 ISO 100(撮影地:千葉県君津市 2017.3.18 7:20)

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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
こんにちは (多摩NTの住人)
2017-03-20 16:52:47
このハート形の洞窟は話には聞いていますが、実際に行ったことはありません。人気の場所のようですね。ものは全く違いますが、屋久島のウィルソン株を思い出しました。
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濃溝の滝 (ホタル)
2017-03-20 20:12:31
多摩NTの住人様、こんばんは。
コメントありがとうございます。
ご存知だったのですね。SNSの拡散力は凄いですね。
ハート型は、日の出の方角で決まるのですが、数日早かったために、きれいなハート型になりませんでした。ハート型でなくても、神秘的な感じが表現できればと思って撮りました。
屋久島のウィルソン株は、祠の中から空を仰ぐとハート型に見えるのですよね。
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