今年も相変わらずホタル幼虫の放流が各地で行われている。ただ、新聞報道だけを見れば、今のところ1つの大きな特徴がある。それは、小学校の校庭や公園などに造った人工の河川やビオトープに、2~3cmまで育った幼虫、数百匹~数千匹を放流しているということである。専門家によるホタルの生態説明の後、コップに入った幼虫を「無事に大きく成長してね。」と放流する。
ここで私は疑問に思う。これら人工水路に放流する数千匹のホタルの幼虫は、どこから来たのだろうか?「地元のホタル保存会が養殖した幼虫」という説明がある記事もあるが、何も書かれていない場合もある。自然発生地から種ホタルを採集して養殖したものか、それとも養殖販売業者から購入したものではないのか。人工的施設で閉鎖的な環境だから、移植による遺伝子攪乱の問題はないとはゆえ、ホタルの出所に大きな疑問が残る。
また、子供達は「大きく成長してね。」と願いながら放流しているが、幼虫はすでに終齢に達するまで成長している。後はカワニナを数個食べて上陸するだけである。8月に1~2mmの1齢幼虫を放流するなら多少は理解できるが、これでは子供達に間違った知識を植え付けてしまっている。いったい専門家は、どんな説明をしているのだろうか。
結局、今この次期に放流しなければ、ホタルは飛ばないのだろう。そして、6月に飛んでも、その場所では交尾して産卵することはできない。放流場所の写真を見る限り、そんな環境だ。
なぜ、里山や自然河川の再生など本来の自然環境や生態系を取り戻すことに努力せず、多額の資金を投入してホタルのビオトープを造るのか。そこは、3月に放流しなければホタルは出ることもなく、自然繁殖など到底できない箱物だ。そんな環境でホタルを飛ばすことに満足してよいのか。「ホタルの生息環境の再生、自然環境に興味を持たせるため・・・」などというのは、間違った思いこみで単なる言い訳でしかない。ホタルを食い物にする養殖業者の思うつぼである。
ホタルの養殖業者は、自然発生地から乱獲をしている。昨今では、ヘイケボタルに似たホタルを東南アジアから輸入し、既に放流しているという話も聞く。ホタルの売買に関しては、養殖業者と自治体の担当者や関係団体との癒着も噂される。
今、日本のホタルは泣いている!
人々のためではなく、ホタルのために 東京ゲンジボタル研究所/古河義仁
ここで私は疑問に思う。これら人工水路に放流する数千匹のホタルの幼虫は、どこから来たのだろうか?「地元のホタル保存会が養殖した幼虫」という説明がある記事もあるが、何も書かれていない場合もある。自然発生地から種ホタルを採集して養殖したものか、それとも養殖販売業者から購入したものではないのか。人工的施設で閉鎖的な環境だから、移植による遺伝子攪乱の問題はないとはゆえ、ホタルの出所に大きな疑問が残る。
また、子供達は「大きく成長してね。」と願いながら放流しているが、幼虫はすでに終齢に達するまで成長している。後はカワニナを数個食べて上陸するだけである。8月に1~2mmの1齢幼虫を放流するなら多少は理解できるが、これでは子供達に間違った知識を植え付けてしまっている。いったい専門家は、どんな説明をしているのだろうか。
結局、今この次期に放流しなければ、ホタルは飛ばないのだろう。そして、6月に飛んでも、その場所では交尾して産卵することはできない。放流場所の写真を見る限り、そんな環境だ。
なぜ、里山や自然河川の再生など本来の自然環境や生態系を取り戻すことに努力せず、多額の資金を投入してホタルのビオトープを造るのか。そこは、3月に放流しなければホタルは出ることもなく、自然繁殖など到底できない箱物だ。そんな環境でホタルを飛ばすことに満足してよいのか。「ホタルの生息環境の再生、自然環境に興味を持たせるため・・・」などというのは、間違った思いこみで単なる言い訳でしかない。ホタルを食い物にする養殖業者の思うつぼである。
ホタルの養殖業者は、自然発生地から乱獲をしている。昨今では、ヘイケボタルに似たホタルを東南アジアから輸入し、既に放流しているという話も聞く。ホタルの売買に関しては、養殖業者と自治体の担当者や関係団体との癒着も噂される。
今、日本のホタルは泣いている!
人々のためではなく、ホタルのために 東京ゲンジボタル研究所/古河義仁
天然のゲンジボタルが生息する北部と、放流と移動によって生息する南部とを同じ基準で評価しようとして行政は悩んでいます。
天然のホタルのプレミアムを守るために、早急に北部地域の固有種のDNAパターンを採ることを勧めていますが、なかなかです。
3月23日、雨の中、幼虫の上陸が始まりました。
しかし、松尾峡には1960年代に主として関西から大量のゲンジボタルが移入され、元々住んでいた地元ゲンジは増えるどころか、逆にほぼ絶滅したらしいことが最近の研究で明らかになっています。この移入の経緯はパンフレットなどでは、伏せられています。
移入ゲンジは在来ゲンジと遺伝的にも発光周期も異なっています。つまり、1960年代をはさんで、違うタイプのホタルを見て(見せられて)いるのです。しかしながら、町はその区別なく放流飼育を繰り返してきた経緯があります。
最近、この辰野町のホタル養殖による現地ホタルの生態破壊が問題となっています。対策を採るように研究者は申し入れていますが、役場から「この問題を、あまり公表しないでほしい」と言われ、かつ、対策も採られていません。
パンフレットや町のウエブサイトでは、
「町では、ホタルを守るために、次のようなことを行ってきました。水のよごれを防ぐため、沢のきれいな水を加える工事を行いました。その結果、ホタルが少しずつ増えてきたので、休耕田にホタルのすめる小川をつくることにしました。この小川から2年後に、たくさんのホタルがでました。その経験をいかして、今の2つのホタルの水路を作りました。更に、昔からの水路の改修にあたって、コンクリートのほか木くぎを使ったり、川幅を広くして、ホタルのすみやすいような工事をしました。そうして、小川にホタルの幼虫や、カワニナを放しました。小川のまわりの草をかったり、泥上げをしたり、いつもホタルやカワニナのすみやすいように、手入れを続けてきました。そのかいがあって、今松尾峡では、昔のようにホタルが見られるようになりました。」
となっており、移入のことは触れられていませんが、実際には、上記のような他地域ゲンジの放流によって、地元のゲンジの生存が脅かされています。
役場の担当課長から、「観光客はホタルを見にきているので、全体としてホタルが増えればいいのであって、仮に、在来ホタルが減っても構わない」という、驚くべき発言もありました。
この問題は過去のことではなく、現在も続いています。昨年の簡単な調査で、松尾峡下流地域では、松尾峡からあふれ出した移入ゲンジが在来ゲンジの生存を脅かし、ある地点では既に9割が移入タイプとなっていることが判明しました。つまり、地元ゲンジが子孫を残せなくなっているのです。
この件に関し、「kumageraのブログ」も見てほしい。