ホタルの独り言 Part 2

ホタルの生態と環境を52年研究し保全活動してます。ホタルだけでなく、様々な昆虫の生態写真や自然風景の写真も掲載しています

早春の里山散策

2024-04-03 11:37:57 | 風景写真/春

 早春の里山散策の映像をYouTubeに公開した。

 「ホタルは里山環境の結晶である」これは、私の師である昆虫学者 故 矢島稔先生の言葉であるが、ホタルの研究を続けている私にとって「里山」は重要なフィールドの1つである。では、里山とはどんなところを言うのであろうか?
 里山とは、「自然環境と都市空間との間にあり、集落とそれを取り巻く二次林、それらと混在する農地、ため池、小川、草原などで構成される地域を指す。また、里山は、農林業などに伴う人々が自然ととともに 作り上げ、維持してきた多様な環境であり、生息する生物に多様性がある。」と定義づけられる。
 しかしながら、里山の多くは人口の減少や高齢化の進行、産業構造の変化により環境変化を受けている。雑木林や小川など物理的な環境が存在しても、放置されて荒れた林や休耕田ばかりでは、里山の生態系は維持されず、多様性が失われるのである。国立環境研究所によれば、数十年無居住化した里山では、長期的な生物多様性の劣化が生じ、森林性の生物の回復が限られることが明らかであるという。里山が放棄され「自然に戻る」ことで負の影響を受ける種は、正の影響を受ける種よりも多く、その影響の大きさも負の影響を受ける種が上回っているという。
 里山の維持・管理には多くの課題があるが、日本各地において様々な持続可能な取り組みが行われている所も少なくない。東京都内では、あきる野市の「横沢入り」(下記、関連ブログ記事参照)が知られているが、今回は、埼玉県の狭山丘陵を訪れた。埼玉県は、狭山丘陵の保全活動に取り組んでおり、良好な里山が維持管理されている。ホタルをはじめ、ムカシヤンマやミドリシジミも生息し、オオムラサキやカブトムシも多い。
 訪れたのは、春まだ浅い3月。オツネントンボの産卵を期待したが見られず、昆虫では、ビロードツリアブ、キタテハ、ツマキチョウ、モンキチョウが飛んでいた。田んぼや池では、ニホンアカガエルの卵塊、アズマヒキガエルとその卵塊、そしてオタマジャクシが見られた。
 それらを映像として記録し、編集してYouTubeチャンネルに公開した。季節も早春であり、画質、内容ともに宣伝できるクオリティでは決してないが、「里山」を訪れる機会がない方々には、ほんの少しだけ参考になるのではないかと公開をした。今後は、もっと映像に関する勉強をし、季節を変えながら四季折々の「里山」の風景や様々な生き物を撮影し、下手ながら編集して公開していきたいと思う。

関連ブログ記事:「横沢入り」里山保全の実態

参考:人が去ったそのあとに、人口減少下における里山の生態系変化とその管理に関する研究/国立環境研究所「環境儀」第82号

以下の動画は、設定の画質から1080p60 HDをお選び頂きフルスクリーンにしますと高画質でご覧いただけます。

早春の里山散策~狭山丘陵編~
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