ネアカヨシヤンマの産卵は、今年は3年ぶりに7月19日に撮影を行ったが、かなり不満足な結果で終わっていたため、今回はリベンジである。観察の知見は見ていれば得られるが、「写真」は、ただ単に産卵している様子を収めれば良いというものではなく、対象となるもの(今回は、ネアカヨシヤンマ)の形態の特徴や色彩の美しさを確実に撮影することが私の目的である。
ちなみにネアカヨシヤンマは、環境省カテゴリでは準絶滅危惧(NT)にランクされ、37の都府県RDBに絶滅危惧種として選定されており、東京都、神奈川県、千葉県、富山県、長崎県では絶滅危惧Ⅰ類、多くの県で絶滅危惧Ⅱ類としているヤンマである。
8月1日。気象庁により関東甲信が梅雨明けしたと見られると発表された。去年より8日、平年対比11日遅い梅雨明けである。ようやく夏空が広がったが、この夏はいつもの夏と違う。新型コロナウイルスが再び猛威を振るっているからである。
4月からの外出自粛、緊急事態宣言解除後は長梅雨。やっと梅雨が明けたと思ったら再び感染拡大。東京では1日の感染者が500人に近づく勢いで増えている。私個人の予定は、外出自粛と長梅雨で8割が消えてなくなった。これからと言う時に、またコロナである。にも関わらず経済優先の Go To トラベル・キャンペーン も行われている。観光地やアウトレットパーク等では3密そのものの光景が報道されており「新しい生活様式」は忘れさられている。
今後、どのような状況になるのかは分からない。私のように東京に在住する者の外出自粛は各個人のモラルと言う事なのだろうが、月~金の仕事は勿論、休日においても「うつされない」事を確実に保証できるような行動をしなければならないのは言うまでもない。
私はプロのカメラマンではないから写真撮影は趣味であり「遊び」と言われても仕方がない。ただ、私の写真撮影やホタルをはじめとする昆虫観察は、現地への行き帰りは「車」であり、現場においては一般的なレジャーと違って「人」と接することはない。月~金の仕事に比べれば危険度は「ゼロ」である。これが、せめてもの言い訳である。
自宅から小一時間の距離にあるネアカヨシヤンマの生息地に9時半到着。濃い青空と浮かぶ白い雲が夏を思わせるが、池と湿地の近くは不快指数が極めて高く、すぐに汗が噴き出す。上空を飛んでいるオスの姿はなく、産卵に入るメスの姿もない。今年は、すでに終盤の予感もあるが、通常、メスが産卵をする時間帯は正午頃が多いので、汗を拭きながら池のほとりで待機である。撮影だけならば正午頃に来ればよいと思うが、早い時間帯から待機することには「観察」という意味がある。時間ごとにどんな行動を示すのかを見ることが重要なのである。
10時過ぎから、雌雄ともに様々な行動を観察できた。そして、撮影目的である産卵は11時を過ぎたころから始まった。しかし、前回同様に木の枯れた梢で池の水面から2Mも高い場所での産卵。カメラからも5M離れているため、撮っても前回と同じ画像しか得られない。
気温は33℃まで上昇。より一層耐えがたい空気の中でじっと待っていると、入れ代わり立ち代わりに飛来する数頭のメスの個体毎の性格も分かるようになった。うち1頭は、お気に入りの場所で1時間近くも産卵しており、別の個体は敏感ながらも撮影しやすい至近距離の朽ち木に止まって産卵をしてくれ、目的を達成することができた。どのメスの個体も老熟ではなかったが、1頭だけ現れたオスの個体は、翅が茶色になった個体であった。
先に述べたように今年は新型コロナと長梅雨の影響で計画した予定がことごとく流れ、チョウ類に関しては全て未達成になっている。今後のコロナと天候状況を踏まえて、4年越しになるチョウの撮影を念頭に入れながら、やはり目的である美麗種であるトンボ、そして「8月のゲンジボタル」を紹介できるよう、感染拡大防止に留意しながら進めていきたいと思う。
以下の掲載写真は、1920×1280ピクセルで投稿しています。写真をクリックしますと別窓で拡大表示されます。
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