マルタンヤンマ Anaciaeschna martini (Selys, 1897)は、ヤンマ科(Family Aeshnidae)トビイロヤンマ属(Genus Anaciaeschna)のトンボで、本州の関東以南・四国・九州、および周辺の離島に分布し、木立に囲まれた挺水植物の茂る池沼に生息する。朝夕の薄暗い時間帯に飛びまわり、日中は雑木林の暗い場所の木の枝にぶら下がって休んでいる。マルタンという和名は、フランスのトンボ研究家、マルタン氏にちなんだもの。環境省のカテゴリーには記載されていないが、地方自治体のRDBでは、群馬県で絶滅危惧Ⅰ類、栃木県・千葉県・長崎県で絶滅危惧Ⅱ類、宮城県・埼玉県・長野県・奈良県・大阪府・香川県・高知県で準絶滅危惧種として記載している。
マルタンヤンマは、私が子供の頃、1953年発行の山渓カラーガイド「日本のトンボ」という本を見ながら、いつか見てみたいと憧れていた。掲載されていた美しい写真の撮影地は「高知県」であり、遠くにいかなければ見られないと思っていたが、高知県では今では準絶滅危惧種の存在である。これほどの美しいヤンマが、実は東京の都心近くの公園に自生しており、それほど苦労なく見ることが出来るのである。子供の頃は、ギンヤンマやオニヤンマを見るとワクワクしたものだが、このブルーアイズのヤンマは、大人の心もドキドキさせる存在である。
私は自然風景でも昆虫の撮影でも、ほとんど「ストロボ」は使用しない。唯一トンボの撮影において、逆光の場合や複眼の美しさを写したい時だけに「ストロボ」を使用する。CanonのSpeedlite 550EXを愛用していたが、中古品を購入していたため、昨今調子が悪くなってしまった。仕方なく新品のストロボ「Nissin i40」というストロボを購入した。そのストロボに関する詳細は、メーカーのホームページを参照頂きたいが、今月下旬に未撮影のトンボを探索予定であり、その時に実力を発揮してもらいたい。そのためには、愛機 Canon EOS 7D でしっかりと作動するのかテストが必要である。
被写体は何でもよく、自宅近くのヤブヤンマが多産する池も頭を過ったが、久しぶりの晴れで、しかも気温35度の猛暑予報。それならばと、7年ぶりに自宅から小一時間で行ける都心近くの公園に行って見ることにした。目指す被写体はマルタンヤンマである。
現地には10時過ぎに到着。気温は既に34度。ただし、日本海側から吹き込む風で乾燥しており、それほど汗はかかない。池の周囲のポイントを巡ると、早速、メスのマルタンヤンマを発見。本種は、朝夕の薄暗い時間帯に飛びまわり、猛暑となる日中は暗い場所の木の枝にぶら下がって休んでいるのである。その後、もう1頭のメスを見つけ、ヤブヤンマのオスも木の枝にぶら下がっている所を見つけたが、一向にマルタンヤンマのオスは見つからない。4時間ほど探索したが、こちらが疲れ果て探索終了。帰路についた。
とりあえず、マルタンヤンマのメスとヤブヤンマのオスで新しいストロボのテストはできた。違うメーカーで小型のストロボであるが、問題なく作動することが確認できたので、今後の使用に支障はないだろう。
以下には、マルタンヤンマとヤブヤンマの写真を掲載したが、一枚目の本種メスと5枚目のヤブヤンマのオスの写真が、今回撮影したもので、マルタンヤンマのオスと産卵の写真は、過去に撮影したものを参考として掲載した。
マルタンヤンマは、トビイロヤンマ属のヤンマである。先月、沖縄本島にて目の前を群飛するトビイロヤンマを見ながら、まったく撮影する事が出来なかった悔しさが蘇る。来年こそは、しっかりと収めたい。
以下の掲載写真は、1920*1280 Pixels で投稿しています。写真をクリックしますと別窓で拡大表示されます。
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私も地元でマルタンヤンマのオスを探しているのですが、どうしても見つからず東京に探しに出てみようかと思っています。
差し支えなければ撮影場所を教えていただけないでしょうか?このコメントの場以外での手段を想定しています。
どうぞよろしくお願いいたします。
さて、地元でマルタンヤンマのオスを探していらっしゃるとの事、生息していても周辺環境によっては、朝夕の飛翔は見られても、木の枝に止まっている様子はなかなか見つけるのは難しいのではないでしょうか。東京もそのような場所は多いのですが、一ヵ所だけ見つけやすい所があり、多くの方々が訪れて写真に撮っておられます。ブログで場所を公表しますと、採集者の方も来られて捕られてしまう場合もありますので記載できませんが、プロフィールに記載しています私のメールアドレスに、目的などをお知らせいただきご連絡頂きたいと存じます。よろしくお願いいたします。
メールをお送りしましたのでご覧頂ければ幸いです。