ミヤコマドボタル Pyrocoelia miyako Nakane, 1981 は、ホタル科(Family Lampyridae)マドボタル属(Genus Pyrocoelia)で、一生を陸地で生活する陸生ホタルである。
真冬にホタルの記事は、本土においては季節外れであるが、生息地の沖縄県宮古島では、5月から8月頃が発生のピークであるものの冬季においても見ることができる。2012年9月8日~9日の2日間、沖縄県立宮古高等学校の招きにより宮古島を訪れて、本種を観察した結果はホームページ「東京にそだつホタル」の"ホタルに関する調査研究レポート"「ミヤコマドボタル」において記載しているので、詳細はそちらを参照いただきたい。このブログでは未掲載であったため、未発表の写真とともに簡単に紹介したい。
以下には、発光するミヤコマドボタルの成虫と幼虫を撮影した後に、同じカメラとレンズで撮影した天の川の写真も掲載した。
ミヤコマドボタルは、宮古列島(宮古島、下地島、伊良部島、来間島、池間島)にのみ生息する固有種であり、環境省版レッドリストで準絶滅危惧として記載(尚、ホタル科で環境省版レッドリストに記載されている種は3種のみで、本種の他は、クメジマボタルが絶滅危惧ⅠA類、コクロオバボタルが絶滅危惧ⅠB類として記載)されていが、昨今の開発等により生息地そのものが減少している。観光客数の飛躍的な伸びを背景にオーバーツーリズム(観光公害)が深刻化し、リゾート開発及びホテル整備の加速により違法な森林伐採もあると聞く。また、ホタル観賞ツアーも企画され、観賞者による人為的な光害も懸念される。
宮古島の夜は、海ではウミホタルが、陸地ではミヤコマドボタルが、そして空では星々が光り輝いていた。12年経った今でも、その光景に変わりはないか心配である。一昨年に訪れた石垣島も、自衛隊の新たな駐屯地の開設に伴う山林の造成やリゾートホテル・ゴルフ場建設などの大規模開発は、地域固有の資源や自然資本を削っている状況であり、サステナブルとは言い難い。どちらの島へも機会を作って再度訪問し、保全状態などを確認し、ホタルを通じた保護保全に協力したいと思う。
ちなみに、この夏は3年連続で沖縄本島に遠征することになっているので、発生時期はかなり終盤になってはいるが、本島の生息種であるクロイワボタルとオキナワスジボタルについて観察したいと思っている。
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