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お寺のオバサンのひとりごと

心のマッサージにお寺へ行こう!

如実知見(にょじつちけん)

2007年01月26日 | 仏教
 如実知見とは、物事をあるがままに見る ことを言います。

 もちろん、これが完璧にできるのは、仏さまだけです。 私たちは、それぞれ生まれ育った自分の価値観でしか、物事を見ることができませんから・・・
 
 でも、如実知見「物事をありのままに見る」という仏の智慧を知ることで、ほんのちょっぴり、今より楽な考え方に転じられるかもしれません。

 ひろさちや著「仏教初歩」(すずき出版)で読んで、なるほどと思わされたことがあります。その中のエピソードをご紹介。

 ある仏教学者の方の家が、隣家が火元の火災で全焼。大切な研究論文、長年かかって集めた蔵書、全て灰となってしまわれたそうです。
 隣家の不注意で自分の大切なものを全て「焼かれた」と思うと腹立たしくてたまりません。
 そこで、その仏教学者さんは、隣家を許してあげるため、研究論文や蔵書は自分で焼いてしまった・・・と思おうとされます。つまり、「焼かれた」のではなく、「焼いた」のだと。
 しかし、事実と違うのだから「焼かれたのではなく、焼いた」などとは思えません。

 そこで、その仏教学者さんは、ただ「焼けた」という事実だけ受けとることにされたそうです。
 「焼かれた」でも「焼いた」でもなく、ただ「焼けた」と。

 そう事実をありのままに受け入れることで、心が平静になられたそうです。
 
 仕返しを考えて怨みだけにイライラして生きるでもなく、「自分は寛大な人間だから許してやろう」と肩に力を入れて努力するでもなく・・・

 つらい、悲しい事実ではあるが、あるがままに受け入れられた。

 仏教の智慧はスゴイんです。私たちの逆上、動揺を心を慰めてくださる。(心が動揺しなくなる・・という意味ではありません。ちょっぴり、心が軽くなるという意味です)

 自分の計らいを捨てて、仏さまに「南無(帰依)・お任せして生きる」とはこういうことじゃないでしょうか?
  
コメント (2)
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