散歩日記X

札幌を中心に活動しています。食べ歩き・飲み歩き・ギャラリー巡り・読書の記録など

過去最高とは

2006年03月11日 17時35分12秒 | 飲み歩き・道外(東京以外)
他項で「過去バーで飲んだものの中でもベストに近い」などと書いたので、では、ベストだと思っているものの事を書こう。

数年前に横浜のバー「P」へと行った。
大正時代に開店し(!)、初代のマスターがお亡くなりになった後は、残された奥様(かなり年齢差があったらしい)が店を守り続けたのである。私が行った時には「(私の代になって)もう47年目なのよ」とママが言っていた。

もちろん有名なこの店では、マティーニが名物ということで、早速それを注文した。すると何たることであろうか。カウンターの上にあるボトルのジンをつかい(*1)、ミキシンググラスにベルモット、氷を入れると勢いよくガラガラと混ぜ(*2)、少々こぼしながらグラスに注いで出してくれるではないか・・・

内心、「過去の名バーも、ママが歳を取ったので今は名ばかりか。想い出に一杯だけ飲んで帰ろう」と思い、マティーニに口をつけて驚いた。まず、冷え加減は冷たすぎずしかし十分に冷えており、マティーニの温度はこれ以外になかったと思い知らされるほどである。また味も、ジンとベルモットの配合は絶妙で冷えているのに強いという2条件を完璧に満たしている。

ため息と共に「うまいっ!」というと、ママは「毎日作っているからね」と余裕の表情であった(池波正太郎のエッセイによると、いつもこう言うらしい)。「途中でパールオニオンを食べて、また飲んでごらん」といわれるままにすると、酸味の効いたオニオンのせいか、甘みが増して感じられる(*3)。

あまりの衝撃に、普段同じものを注文しない私が、2・3杯目もマティーニを飲みながら、ママの話を聞く。「毎日作ってるから」と言ったものの、この年は体を悪くして3ヶ月程入院していたらしい。トレードマークであった着物の着付けも難しく、洋服で店に出ているとのことであった。

3杯目を注文するときには、「あなたこのカクテル強いのよ、大丈夫」と止められたのだが、止めるわけには行かない。「いやー、結構酒は強いですよ」と言いつつ、ここに来る前にもう1軒行っているので、実は6杯目である。

もう少しこの店とママとの会話を楽しみたかったが(客は私一人)、もう飲めない。最後に「手、握っていいですか」と両手でママの手を握らせていただいて、おいとますることにした。まさしく街の達人・人間国宝である。

残念ながら、この後少ししてママはお亡くなりになったらしいのだが、歴史的なバーにぎりぎり間に合って行けた事は私の貴重な体験となった。現在、実は「P」という店はあるのだが、昔とは違うという噂も聞く。


(*1)マティーニにはいろいろな要望を持つ人が多いが、「冷えていること」はかなり絶対条件に近く、ジンは冷凍庫に入っているものを使うことが多い。また、冷蔵庫で冷やしたものに限るという人もいて、非常にうるさい。

(*2)マティーニは冷やすべきなのだが、あの強さを失ってはならないと思う人も多い。使う氷は前日に削り冷凍庫で締めておくとか、事前に水を入れて氷の角や霜を取り去ったり、冷やす間に氷が溶けて薄くならないように非常に気を使うらしい。ステアする時にも音を立てないのがベストで、無音のまま100回ステアするというバーマンもいる。ガラガラ混ぜるなど、普通はもってのほかである。

(*3)普通、マティーニにはオリーブが入っていて、パールオニオンが入るとギブソンというカクテルになる。この店では、パールオニオン入りマティーニなのだが、誰も文句を言えない。

普段の私は、これほどうるさく半可通なことを書かないのだが、ご勘弁を。

市民会館の食堂

2006年03月11日 16時47分05秒 | 食べ歩き
気になっていた市民会館の食堂へ。円山球場名物カツカレーを受け継いだというのを食べに行く。私自身、円山球場でカツカレーを食べたことがないので想い出の味でもないのだが・・・

数分待って、カウンターにカツカレーを取りに行く。予想通り、何となく家庭的なルーと、熱々のカツがのったカレーである。私はこよなくカツカレーを愛するものであるが、カロリーの高さゆえ、そう滅多に食べることはない。

久しぶりに食べたカツカレーの味は、素晴らしく旨くはないが、十分満足の行くものであった。しかし、もう少し福神漬けを盛ってもらえないものだろうか。

アフリカンマスク

2006年03月11日 16時41分22秒 | ART
本日は午前中から芸術の森美術館「アフリカンマスク」へ。



実に面白かった。宗教のためか、祭祀のためか、はたまた趣味なのか。結構作るのに手間がかかりそうな仮面・彫刻が並んでいる。日本の土偶も不思議なものではあるが、「もしもーし、あなた宇宙人ですか」とでも言いたくなるような作品も多い。

また、仮面を顔に当ててみたり、なんとか族のかんぬき型錠前を外してみたり、民族楽器を叩いてみたりできるのも面白い。とは言っても、ここに子供が来たら泣きだすかも知れないが。また、途中に民族舞踊のビデオ映像が流れており、客が3~4人しかいない館内には、不思議なリズムの音楽が流れっぱなしであり、これまた雰囲気を出している。

錠前を外し終わったら係員の方が「外れましたか」と聞いてきたので、「ええ。あれ外せない人、いるんですか?」と不思議に思って聞いて見ると、結構不器用な人がいるそうだ。

それからヘルメット型のマスクがあるのにも驚いた。アフリカの人は頭が小さい。私の頭には明らかに入らないサイズである(ちょっと私の頭は大きい)。

真駒内から地下鉄に乗っていると、突然明りが消え、ちょうど差し掛かった駅に電車が止まった。放送を聴くと「北18条で線路内に人が入ったため(落ちたのか飛び込んだのかは分からない)、停電しています」ということであった。

珍しい、停電中の地下鉄(ガメラでこんな映像ありましたか)。


中心部に戻り、時計台→大同→富士フォトサロンだけ回り、疲れて帰宅。
時計台ギャラリーの「村上豊遺作展」。画を見た瞬間、「あー、この画を書いた人だったのか」と気がついた。カラフルで具象から抽象に変貌しそうな、個性的な画を描く人だ。