散歩日記X

札幌を中心に活動しています。食べ歩き・飲み歩き・ギャラリー巡り・読書の記録など

なぜか岡山(3)

2009年09月18日 21時17分10秒 | 飲み歩き・道外(東京以外)
やっと岡山駅に到着。新幹線の通る駅は立派だ。また駅前も結構都会の雰囲気がする(中心繁華街は別の場所だが)。駅前では桃太郎と三匹の家来がお出迎え。下から見上げたので立派なお姿なのだが、実物はイメージより相当小さい。





早速ホテルへと歩く。駅前のメインストリートに自転車専用道路エリアがある。おいおい分かってくるが、岡山市は自転車王国で非常に自転車の通行量が多い。小さな交差点でもかなりの割合で自転車ゾーンが作られている。


→駅前を線路と平行に走る大通りに専用ゾーンがある。

電車で一駅ほどのところにある「Kホテル」にチェックイン。たまたま角部屋が用意されていたが、普通にはないほど広い部屋である。立派なテレビと4人掛けの応接セットがあるのだ。少々休憩の後、早速夜の岡山の街に出発。

今回は事前に調査しておいた、駅からすぐ近くの「S」へ。



時間が早めでまだ誰もいないので困るが、カウンターに座る。まずビールと、通しは落花生豆腐だ。メニューから刺身盛り合わせ4品とおひたし、鱧炙りを注文する。



最初にやってきたおひたしは、春菊と菊花を合わせたもの。野菜のゆで加減が抜群なのと、やはり出汁がうまい。この店は料亭の居酒屋部門としてオープンされた所なので、基本的な技はしっかりしているようだ。



続いて刺身。今日はサワラ(岡山を代表する魚)、コチ、タコ、サンマの4品である。北海道では、サワラを刺身で食べることはないだろうが、程よい脂ととにかく柔らかい魚である。甘みもあり、なかなかの味。ただし私の好みからすると、白身でむっちりとした歯触りのあるコチに軍配が上がる。コチは、とにかくきめ細かい身であり、ヒラメ・ソイの上物と匹敵する味わいだ。タコも瀬戸内海の味でもちろん美味しい。サンマは旬ということで、こちらの人にはお勧めなのだろうが、私にはあまり珍しくない。



次に鱧炙り。鱧は関西圏ではよく食べられるが、北海道ではあまり食べない魚だ。皮目を火であぶったものだが、私の好みとしては身のほうもほんの一炙りして欲しいと思った。その方が香りと味が強まると思うのだ。



次に日本酒「三光ほほえみの潤い」に切り替え、自家製チーズとタコ唐揚げ、サワラ鍋を注文。自家製チーズは酸味があり、日本酒と合わせても悪くない。タコ唐揚げは予想以上の強靭な歯ごたえ。そして、サワラ鍋。これが大ヒットである。





出し汁に黄ニラ(これも名物の模様)と共にサワラの切り身が入る。切り身は加熱されたせいで、味がしっかりしながらもふわふわの歯ごたえ。あっという間に食べてしまい、出し汁を飲む。やや甘い味付けなのだが、添えられたゆず胡椒をほんの少しとかし込んで飲むと味が引き締まり、旨みだけがいいバランスで感じられる。



最期に御前酒山廃純米昔造りを追加して、鯛酒盗、きゅうり辛子づけ。鯛酒盗は塩辛であるから、結構しょっぱいし癖がある。珍味なので当然なのだが、この店ではその下に大量の青ネギが添えられている。これを一緒にして食べると…、うーん、これは合うぞ。酒盗とはこうやって食べるべきものであった、と思わせるほどの相性の良さだ。また西の人が白ネギより青ネギを好む気持ちも分かるような気がするなあ。



ということで今日は終了。非常に沢山食べているようだが、実はこの店、盛りが少ないのだけが難点である。もう少しボリューム感があると嬉しい気がするのだが…。しかし味は満足すべきもので、最期にお店の女将に「札幌から来ました」というと、お土産に魚のつくだ煮を頂いた。

商店街を散策して、缶ビールを1本買ってホテルに帰る。まだ先は長い。今のうちから暴走するのはやめておこう。

今日の歩数は17002歩。

なぜか岡山(2)

2009年09月18日 14時27分25秒 | ART
姫路駅前から、通り沿いにある彫刻を見ながら姫路城方面へ向かう。確かに遠目に見える姫路城はきれいかもしれない(あまり城に興味がない)。









時間的にどうかなあと思っていたのだが、ここまで来たので思い切って姫路市美術館の「和田三造展」に行ってみることにしよう。





和田三造といえば東京国立近代美術館の「南風」しかイメージがないので、どんな作品が出品されているのだろうか。非常に味のある姫路市美術館の前庭にも彫刻がたくさんある(別途紹介予定)。おなじみ(笑)ブールデルの他に、本郷新の2作品があるのは少々嬉しい。

展示室に入るとまずはコレクションギャラリー「画家の自画像展」だ。ここではアンソール、ムンクの版画、鴨居玲の自画像等があり、期待感が高まる。そして「和田三造展」へ。

「南風」:この画のモデルになった船頭と和田の間に交流が生まれたそうだ。画が事実と異なると怒りだすという、一本気な船頭さんだったらしい。
「樹下婦人図」:何となく神話的で青木繁との共通点を感じる。
「風景(パリ)」:フランス風味で自然な風景画だ。

「風神雷神図」:俵屋宗達から始まる系譜にある作品だが、独自の作品になっていると思う。「南風」の肉体表現に近いものもある。
「石曼荼羅」:カラフルな石を配置した、不思議な画。
「戦闘図」:鉛筆画だがローマ風でみっしりと力強い作品。北海道立近代美術館収蔵品とは知らなかった。

「南蛮絵更紗「山の幸」」:木綿の染織作品で、凄いスケールの大作。
「朝鮮総督府壁画画稿(三幅対)」:妙にカラフルで、どこの国とも言えないような雰囲気。
「蒙古襲来図」:これもお祭り的なカラフルさがあり、楽しそうですらある。

「工事場風景」:ピンクのうろこ雲が印象的。
「浴場」:上の角度から温泉場を除いたような雰囲気の作品。
「イエスの一生」:受胎告知のシーンや、三人の博士が登場するシーンなど。

他にも資料がいろいろあったのだが、アカデミー賞衣裳デザイン賞を取ったこともあるらしく、誠に多才な色彩画家(形もしっかり描く人だが)という感じがした。「南風」の印象だけでは、和田のごく一部を知ったにすぎないということだろう。

もう一つの展示室「國富奎三コレクション」はコロー、クールベ、ドガ、モネ、マティスなどのまあ一般的といえばいえるような展示。ブラマンク「川沿いの村」は色彩を抑え、ブラマンクらしいシュッと引いた線のない落ち着いた作品。キース・ヴァン・ドンゲンの作品も北海道以外で見たことがないので新鮮。ブラングウィンの作品(「ヴェニスの朝市」)も多分初めて見たのではないかなあ。

姫路市美術館は、元々帝国陸軍の兵器庫・被服庫として作られたらしいレンガ造りの建物である。雰囲気は素晴らしいのだが、建物が若干細長いため、展示順路をうまく切るのが難しいような気がした。いずれにせよ、時間のない中ではあったが、満足すべき展覧会であった。


→姫路市美術館正面と、手前の彫刻は木内克「エーゲ海に捧ぐ」。

古めかしい商店街を抜けて、姫路‐相生‐岡山へと移動。いよいよ本来の目的地、岡山入りだ。

***
20090926追記。
乗り換えをした相生駅は、日本の駅を五十音順に並べると先頭に来るらしい。

なぜか岡山(1)

2009年09月18日 12時16分39秒 | 食べ歩き
さて、なぜ岡山に行くことになったかは徐々に説明していきたいと思うが、今年の私の旅行は岡山市とその周辺である。まずは6時の始発の地下鉄で札幌駅へ行き、新千歳空港へ。空路、神戸へと飛ぶ。岡山市にも空港はあるのだが、東京乗継の上、到着が14時過ぎになってしまうので、こういうことになった。

神戸空港からポートライナーで三宮へ。そこから新快速で姫路へ。最短時間で移動するならば新神戸~岡山の新幹線に乗るのが当然なのだが、それだけでは味気ない。ちょっとした理由もあって、姫路駅で降りる。ちょうど昼前となり、昼食を取ろう。



姫路ローカルな食べ物と言えば、期せずしてこの連休中に開催されていた「B-1グランプリ」にも出品されていた「姫路おでん」というのがある。これを食べていこう、というのがまずは第一の狙いだ。ということで、以降もいわゆるB級グルメ的な話が非常に多くなる予定である。

さて、姫路でおでんを出す店は当然何軒もあるのだが、昼前であまり遠い場所は避けるとなると、駅地下のおでん「NG」が良いだろう。



非常に狭い入口から入ると、カウンター10席程度の小さな店。すでに客が6人もいるのだが、何とか座ることができた。早速のおでんは大根、豆腐、きんちゃくとオーソドックスなものから。酒は灘菊本醸造を燗してもらった(昼からだが、飲まないわけにもいかない)。



姫路おでんの特徴は、おでんの具に生姜醤油をかけることである。食べたことのない人には「そんなバカな」と思われるかもしれないが、生姜の辛さは程々で、実によい風味付けになるのだ。大根、豆腐は淡白な味だが、それでも問題ないと思う。きんちゃくはレンコン入りだと思うが、これも美味しい。

追加におからこんにゃくという謎の品と、きずし(しめ鯖)を注文。おでんの“こんにゃく”は、なかなか味がしみ込まないのでやや疑問な具であるが、おからこんにゃくはプリプリしすぎない歯ごたえで、味のしみ込みが良いようである。またしめ鯖は身が大きくて、しめ方も非常によく酒にぴったりだ。





あまり時間がないので、これくらいにしておこう。これからちょっとだけ姫路市内散策に足を延ばす。


→姫路のキャラクター「しろまるひめ」だそうだ。