散歩日記X

札幌を中心に活動しています。食べ歩き・飲み歩き・ギャラリー巡り・読書の記録など

なぜか高松(8)夜間

2018年09月09日 21時35分30秒 | 飲み歩き・道外(東京以外)
最後にもう一つ、衝撃的なことがあった。宮浦港から高松港へ戻る船なのだが、17:00の次は19:15のはずであった。これでも高松に戻ればほぼ20時と、かなり遅いのである。ところが、地中美術館でもらったパンフレットに紙がはさんであり、なんとこの最終便が19:45発に変わったのだそうだ。船の出航感覚が2時間45分、誰がどういう設定で時間を決めているのだろうか?

することがなくて、宮浦港の待合室で僕は途方に暮れる、じゃなくて、困る。港の近くに美術作品があると言っても、まだ雨が降っているし、足元がぐちゃぐちゃだしなあ。



よし、今日は無理押ししないことにして、高松じゃなくて直島で一杯やるか。ということで、直島の繁華街(当然小さい)に繰り出すことにした。しかも今日は日曜日とあって、閉まっている店も多いようだ。



直島の飲食店パンフレットで、島唯一のバーというのがあり、日曜日も営業しているので、そこに行ってみようか。ということで、バー「S」へと行ってみる。年齢不詳(私よりは若い)のマスターが一人、他の客はいないようだ。ま、ここはビールだな。



あまり気温は高くなかったとはいえ、ずっと歩いていたのと、頭に血がのぼっていたせいで、ビールが美味い。腹も減ってきたので、ビールのお供と言えばソーセージだな。メニュー数が限定されているので、私には珍しいものを注文。



いや、ソーセージも美味いよ。腹が減っていたのはもちろんだが、量もたっぷりあり、嬉しい感じだ。

ここで、外国人二人組(良く分からないが、フランスかベルギーという感じ)が店に入ってきて、ジントニックを注文。私はワイルドターキー8年・101プルーフをストレートでもらうことにした。



私はそもそも積極的に話をするタイプではないが、ここのマスターもなんだか寡黙だな。普通、海外のお客さんには「どこからお見えですか」くらい聞かないものかね。ほらほら、早速ジントニックを飲み干したおっさんが、お代わりを欲しそうにしているじゃないか…。

と内心では気がもめるものの、他人に口を出すまでのことは無く、ワイルドターキーを飲んだ私は勘定をしてもらうのであった。これで2000円なんだから、悪くない店だと思うんだけどね。



最後に乗る高速船は本当にできたばかりのようで、今までで一番立派な船だった。これぞ船の「三段逆スライド方式」であろうか。



乗っている人も少ない。



高松港に到着したのは20:15とあって、もう疲れた…。



コンビニで夜食を買って、部屋で軽く飲むことにするか。



本日の教訓「豊島と直島は1日で回らない方が良い。雨天は避けるべし」

なぜか高松(7)島よ

2018年09月09日 17時32分21秒 | ART
直島の宮浦に到着。船の到着予定時間が13:57、バスの発車時刻が13:55。おかしいなとは思っていたものの、バスは船の到着を待つに違いないと思っていたら、とっくに発車済みだった。次のバスは約1時間後の出発なのである。これ、どう考えてもおかしいと思わないか?

他にも何人か途方に暮れる旅行者がいたが、私がバス停をちょっと離れると、たまたま目の前でタクシーを降りる人がいた。タクシーは3列シートで大きめなのだが、どうやら普通のメーター制のようだ。「いいですか?」と声をかけて乗り込んだところに、後から知らないおじさんが「これは乗り合いタクシーですか?」と質問してきた。タクシーの運転手氏は「いや、違います」とは言ったものの、私はすかさず「いや、割り勘で行きますか? バス無いですよね」と言った所、交渉がまとまった。

見知らぬおじさんと無言のまま地中美術館方面へと向かう(私の社交スイッチが切れたのだ)。しかしながら、幸いなことにわずか400円強で、地中美術館のチケットセンターに到着することができた。ありがとう、おじさん!

さて、到着はしたものの、ここからがまた一苦労なのである。チケットはオンライン予約で事前に購入するしかないため、すでに購入し決済も済ませてある。その予約時間までまだ30分程度あるのだ。事前の決済は何事があっても返金しないという高飛車な仕組みだし、到着時間が読めないため、どうしても早め早めに移動せざるを得ない。全く客の事を考えているのかよ、という感じである。

やっとチェックインの時間になり、スマホのチケットを認証してもらい地中美術館へと向かう。またその美術館の方向が分かりにくい。美観を優先しているのかどうか知らないが、まずどっちの方向に歩けばいいのか分からないのである。幸いなことに韓国人の有能な添乗員らしき人がいたので、その人について行って入場することができた。

途中にはモネの睡蓮の雰囲気を出したところがあるのだが、まあ、かなりの雨だからね。



そして門から入場。この先は一切の撮影が禁止とのこと。気持ちも分からなくはないが、どこかに記念撮影スポットくらい設けてほしいよな、今どき。



館内に入ると、今度は展示室が滅茶苦茶分かりにくいのだ。「順路なんかに拘らず見て下さい」という表れなのかもしれないが、どこに展示室があるのかがまず分からないのだから、そういうレベルの話ではなかろう。また、時間に余裕があれば散策も楽しめるのかもしれないが、豊島・直島を一日で回ろうとすると、かなり窮屈な日程になるのだ。そんな貧乏人は相手にしていないということですかね?

展示室にはスリッパを脱いで入る部屋があるのだが、またそのスリッパの置き場所が分かりにくい。履き替えるためのちょっとしたベンチのようなものの下に、しまって(隠して)あるのだ。他に人がいればわかったのかもしれないが、たまたまいなかったので、スリッパには全く気がつかずに入室してしまい、監視員に注意されてしまった。全く不愉快だよ。

と、ここまで私には珍しい程のクレームオンパレードだが、じゃあ作品も最悪だったのかというとそうではない。正直なところ、この怒りを上回るほど素晴らしい作品がいくつかあった。まあ、モネの「睡蓮」シリーズ5作は、それほど驚きはない。自然光で見られるのが特徴と言ったところだろうか。

ウォルター・デ・マリア「タイム/タイムレス/ノータイム」:階段のある神殿のような部屋に大きな花崗岩の球と、金箔をはった3本組の木材が何本も置かれている。3本組の木柱は、3・4・5角柱を並べて配列したもので、神殿のイメージを強化している。過去の遺跡を見るような、また遠い未来に現代文明の証を見るような、いや、はたまた異星文明の遺跡を発掘してしまったかのような気持ちにさえなる、傑作だと思う。

ジェームズ・タレル「アフラム、ペール・ブルー」:壁の一角に青い光を照らしただけだが、その色が素晴らしく、異世界への窓の印象。
ジェームズ・タレル「オープン・フィールド」:階段を上り部屋に入ると、奥の壁が薄紫に光っている。そこが壁なのか、いや、そこから先は空間が広がっているのか。タレル得意の視覚効果を使った作品。振り返って目に入る、黄色の壁と青色のネオン管も効果的。
ジェームズ・タレル「オープン・スカイ」:室内に入ると空には大きな穴が開いており、空のような光が見える。しかし、天井の厚さが全く感じられないため、単なる天井のライトなのかもしれない。しかし、今日は雨とあって、水滴がそこから落ちてくるのだ。

まあ、この文章で素晴らしさが伝わるとは思わないが、悔しいながらも良い作品がある美術館である(良い美術館とは言わない)。

さて、次は「李禹煥美術館」へ。ここは無料のシャトルバスで移動。



「点より1976」:筆で描く作品で、波のようにリズミカルに描かれている。
「沈黙の間」:部屋の奥に鉄の大きな板があり、達磨大師を思わせる岩がそれに向かって座禅を組んでいるかのような作品。
「影の間」:石の影の部分に映像が写り、まるで石の心の中を映し出しているかのような作品。映像には川の流れ、人の流れ、空、木、海、月などが写し出され、何万年もの間に石が見たものがリプレイされるかのようである。

「李禹煥美術館」も正直なところ、見どころがあったと思う。最後もシャトルバスで移動し「ベネッセハウスミュージアム」へ。



ここもバスを降りて、第一歩目をどっちに踏み出していいのか迷うんだよなあ…。


→やっと入口にたどり着いた。

須田悦弘「雑草」:本当に小さな雑草(木彫)が壁に生えていた。これ、好きなんだよなあ。
柳幸典「バンザイ・コーナー」:壁の隅に向かって90度の範囲にウルトラマンとウルトラセブンのソフビ人形が沢山建てられている。鏡に写って360度、万歳をするウルトラ兄弟だ。
柳幸典「ザ・ワールド・フラッグ・アント・ファーム」:色のついた砂で世界各国の国旗を作り、蟻を住ませて空洞を作る作品。

ジェニファー・バートレット「黄色と黒のボート」:波打ち際の風景が微妙にずれた3枚の画で表現されている。手前に画の中にもある黄色と黒のボートの立体模型が置かれた作品。
大竹伸朗「Book#1/記憶層」:巨大な本にコラージュした作品。開かれたページには「具志堅用高VS金莫童」のポスター図面があった。
ディヴィッド・ホックニー「ホテル・アカトラン中庭の回遊」:強い赤で描かれた回廊が印象的。パノラマカメラのように広く歪んだ画面である。
ブルース・ナウマン「100生きて死ね」:「SING AND LIVE」「SING AND DIE」のように、「LIVE」と「DIE」と組み合わせた言葉がネオンサインとして点滅する作品。

これ以外に、あまり現代美術に明るくない私でも知っているような、安田侃、バスキア、イヴ・クライン、ウォーホル、クリスト&ジャンヌ・クロード、ジャコメッティ、ラウシェンバーグ、サム・フランシス、ウェッセルマンなどの作品があった。

3館見て、全体的な印象は「ベネッセグループがいい環境で素晴らしい作品をご覧に入れます」という上から目線かな。

さて、宮浦港に戻るか。シャトルバスに乗って移動し、村営バスを雨の中待つ。



小さな船着場には、草間彌生作品があった。


なぜか高松(6)島へ

2018年09月09日 13時44分20秒 | ART
9時少し前に高松港へ行き、豊島の家浦港への高速船切符を購入する。どんな船かと思ったら、かなり小型の船である。



港に泊まっている間に結構ゆれて、このままで行くと船酔いしそうな気分になった時に、やっと出港することになった。座席はほぼ満席で、様子を見ていると日本人が最も多いが、韓国の方も多いみたい。私のすぐ前では欧米系の方(英語を話していたためどこのお国からきたのかは不明)に対して、地元のお婆ちゃんらしき人が、最初から最後まで完全に日本語で対応していた。まあ、地名が分かれば、旅行時の会話は何とかなるよねとは思いつつ、あの全く揺るがない落ち着きは素晴らしいものがある。

出港し、一定の速度になった所でかなり船の揺れは治まった。



操舵手も同じ船内にいるため、海図とレーダーが良く見える。



後方甲板に出ることができたが(ここに座っている人も数名)、ここにいると揺れは大きく感じられる。恐ろしさに写真を一枚撮っただけで船室に逃げ戻ることになった。



直島の宮浦港を経由し、豊島に上陸。豊島ではマイクロバスが船の到着に合わせて待っており、豊島美術館へと向かう。豊島美術館最寄りのバス停で止まったが、どうやら棚田と海の景色を見て下さいということで、ここから美術館までは歩いて数分かかるようだ。



普段ならば良いのだろうが、かなり雨の強い中、これは辛い。ぜひ「豊島美術館手前・風景を見る停留所」と「豊島美術館前停留所」の2か所を作ってほしいものだと思う。

■豊島美術館。まずチケットセンターから雨の中遊歩道を歩いてみるも、何しろ天気が悪く大変なのである。晴れてさえいれば素晴らしい景色が見えそうなのだが、今はどちらかというと、熱帯ジャングル死の行軍という感じか。



そしてアートスペースに到着。白いドームの天井に2つの穴が開き、その中の空間で作品を楽しむ、内藤礼「母型」という作品に入る。空間で何を楽しむかというと、床には小さな石や球体が置いてあり、床の小さな穴からは水がしみ出してくる。水はわずかに傾いた床に沿って流れ、時にたゆたい、時に大きな流れを作る。同時にドーム空間では、人々のささやき声や歩く音が反響し、独特の空間を作っている。

天井に開いた穴からは空と植物の緑が見える。晴れている日も素晴らしいのだろうが、雨の日もこれはこれで独特の味わいがあるように思える。最初はこの作品にあまりピンとこなかったのだが、床の傾きは相当考えられているようで、とにかく単純に湧き出た水が流れるという程度ではなく、実に程よい加減で水が生き物のように動く。まるで、焚火の炎を見ているかのように、滝の飛沫を見ているかのように飽きがこないのだ。また天気や時間帯が変われば、この作品からは違った印象を受けるのだろう。非常に興味深い作品であることは間違いない。

ここでかなりの時間を費やし、またバスで家浦港に戻る。船待ちの間に昼食をとりたい。港の近くに食堂があったが、どのくらい時間がかかるのか読めず、売店でレモンケーキを買って、これで済ませることにした。



今度は直島の宮浦港への移動だ。



今度はさっきより立派な船がやってきた。



相変わらず雨は強く、観光に適した状況とはとても言えない。


なぜか高松(5)朝食

2018年09月09日 07時33分30秒 | 食べ歩き
2日目の朝、まだ体力も十分で6時起床。7時には朝食会場に向かう。さて、本日食べたものは、ご飯、味噌汁、サラダ、ソーセージ、ベーコン、スクランブルエッグ、コロッケ、海苔佃煮、ゆず大根、しょうゆ豆、梅干、野沢菜漬け(っぽいもの)、グレープフルーツジュース。



しょうゆ豆を除いて、郷土料理っぽいものは少ない。第2弾はさぬきうどんにかき揚げ、ねぎ乗せ。麺はかなり柔らかい。



最後にミニケーキ、フルーツ、コーヒー。ちょっと食べすぎか。



フェリーの時間に合わせて、ゆっくりと出発。今日は島へ行こう。そして、旅先で読むのは地方紙に限る。