三無主義

 ~ディスパレートな日々~   耶馬英彦

映画「野生の島のロズ」

2025年02月11日 | 映画・舞台・コンサート
 映画「野生の島のロズ」を観た。
野生の島のロズ

野生の島のロズ

ドリームワークス・アニメーション最新作 大ヒット上映中

野生の島のロズ

 予告編は綾瀬はるかがロズの声をアフレコしていて、その印象が思いのほか強く残っていたようで、英語なのに綾瀬はるかが喋っているような気がしていた。ルピタ・ニョンゴのアフレコもとてもよかったので、字幕でも吹き替えでも、どちらで観てもよさそうだが、綾瀬はるかの予告編を観た人には吹き替え版をおすすめする。

 注目すべき一瞬のシーンがあった。飛んでいるキラリが見下ろす海の、クジラの親子が泳いでいる下に、水に沈んだ道路が見えるのだ。つまりロズを購入したのは、はるか昔の地球人で、その後多くの陸地は海に沈み、人類も滅亡して、動物だけがほそぼそと生き延びているというわけである。
 ここから先は推測だが、ロボットを宇宙向けに販売している星は、地球からかなり遠くて、光の速度でも何十年とかかる距離にある。電波で注文しても、受注したのは何十年もあとだ。発送したのはいいが、運送は光の速度というわけにはいかないから、配達には何百年もかかる。届いたときには発注主は、はるか昔に死んでいる。それどころか、人類そのものが既に滅んでいる。ロズにタスクを指示するものはもはや誰もいないのだ。
 ロズの発送から何百年も経つと、ロボット販売の会社は、会社そのものを宇宙船にして宇宙を航行することにした。顧客がいた地球の近くに来たときに、ロズからの回収信号を受け取った。回収の宇宙船が何百年もかからずに、すぐ到着したのは、そういう事情に違いない。

 本作品はファンタジーだから、魂や愛といった、およそロボットに似つかわしくない概念が支配的となる。しかしもともと医学も、人間の体を物理的、化学的な記述に落とし込んで、手術や薬で治療するわけだから、時代が進めばロボットにも、無意識の領域を設定して、そこで魂や愛を育むことはできるかもしれない。しかし同時に嫌悪や憎悪、優越感や劣等感、それに差別といったマイナスの感情も生むことになる。果たしてそれがいいのか悪いのか、もはや人知の及ばぬところかもしれない。

 現状に不満足でロボットを購入しようとする人類と、地球温暖化による海面の上昇、そしてポスト人類の地球、人工知能と人格という古くからの問題など、様々なテーマを内包した作品で、しかし難解な言葉を並べ立てることなく、ファンタジーとしてワクワクするストーリーに仕上げているところは、とても素晴らしいと思う。

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