世田谷区にある中華料理店の店長から次のような報告がありました。
店舗敷地内の駐車場の端に2㎡くらいの土の部分があって、そこを耕してフェンネルを植えていました。ささやかな畑です。その畑に、道路を挟んで斜向かいの家に住むお年寄が飼っている猫がいつもフンをします。猫のフンは野菜を枯らしてしまうのでその都度掃除をしていました。しかし毎日のようにフンをされるので、せっかく植えたフェンネルが枯れてしまわないように、網を張って猫が入れないようにしました。すると次の日の朝、網が取り外され、やはり猫のフンがありました。人間の足跡もあります。こうなると相手は猫ではなく人間ということになるので、もう一度網を張って、「立入禁止」の立て札を立てました。すると次の日の朝、前日と同様に網が取り外され、立て札は引っこ抜かれて放り投げられていました。そしてやはり猫のフンがありました。そういうことを繰り返しているうちに、とうとうフェンネルは枯れてしまいました。今年はもう諦めることにしました。畑には相変わらず猫がフンをして臭いがひどいのでやはり毎日片付けなければなりません。
近隣の住民の方とは大抵仲良くしていて、会えば挨拶をするし、店周りを掃き掃除するときは近隣の家の前も掃除します。「悪いわねえ」などと声を掛けてくれます。ときどきはお店に食事に来てもくれます。ただ、斜向かいのお年寄りだけはこの十年間、一度も来たことがないと店長は言っていました。
また、店舗専用のゴミ置き場に家庭ゴミが捨てられていることがあります。それも、袋に入れた状態ではなく、その場でぶちまけたような捨て方です。ちゃんと袋や箱に入れられたものしか回収してくれないので、朝はそのゴミ集めに時間を取られます。店舗のゴミは家庭ゴミと違って産業廃棄物ですから、ゴミの回収業者にキロ単位の従量料金を支払って回収してもらっています。つまり、家庭のゴミを捨てられたらそれの片付けにかかる人件費と、産業廃棄物としての回収料金の両方が発生する訳で、会社から利益を搾り出すように言われている店長としては、かなり困っています。
ある朝、早く出勤したときに、その店舗専用のゴミ置き場に、ゴミの袋を持って近づいてくる、例のお年寄りとばったり会いました。この人だったのか、と思って見ていると、何食わぬ顔でゴミの袋を持ったまま戻っていきました。厨房のチーフは怒り心頭ですが、近隣だから揉め事はダメと、店長が諌めています。
せめて猫のフンだけでも、店舗の敷地内でさせないようにできないものかと店長が悩んでいたので、インターネットで解決策を探しているうちに、「ガーデンバリア」なる商品を見つけました。電池式で防水、猫が近づくと大音量を出して追い払うというもの。電池は半年間持つし、もし効き目がなかったら半年以内であれば返品も受け付けるとのことで、買うことにしました。それが今日、店舗に届いて早速設置したとのことでした。少なくとも2週間以内には効果が出るそうなので、報告が楽しみです。
万が一、この「ガーデンバリア」が壊されたり、なくなったりしたら、そのときはさすがに警察に連絡するか、便利屋さんに頼んで一日中見張ってもらうか、または防犯カメラでも設置しようかなと思っています。
料理は中国人のコックさんが作っていますが、中国人と中国政府が別であるということは、店舗のお客様は皆理解しているので、純粋に本場の料理を楽しんでくれています。しかし、世の中には、日本人と日本政府が別であることは分かっているのに、中国人と中国政府が別であることを理解しない人もいます。斜向かいに住むお年寄りはもしかしたらそういう人なのかもしれません。だとすれば、救いようがありません。警察は多分動いてくれないし、役所に相談してもたらい回しで終わりそうだし、本人に直談判したら余計にエスカレートしそうだしで、なんとか「ガーデンバリア」がちゃんと効果を発揮して、猫が諦めて別のトイレを見つけて、お年寄りもそれに気づいて畑を荒らしたり自分の家のゴミを捨てに来たりしなくなるという、理想的な結果になるように願っています。
多分無理だとは思いますが。