映画「マンマ・ミーア ヒアウイゴー」を観た。
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面白く、楽しかったのだが、何故か少ししんどかった。
アマンダ・セイフライドは「レ・ミゼラブル」の成長後のコゼット役で美しい歌声を披露していた。「Fathers and daughters」(邦題「パパが遺した物語」)では、小さい頃のトラウマを抱えたセックス依存症のセラピストというややこしい役を見事にこなしていた。当方が高く評価するハリウッド女優のひとりである。
本作品では、前編に続いて存分に美声を聞かせてくれたが、アマンダ以上に輝いていたのが若き日のドナを演じたリリー・ジェームスだ。倍音の歌声の持ち主で、聞いていて心地のいい歌を歌う。
日本映画のクレジットだったら特別出演とでも付きそうなシェールの登場であったが、御歳72歳の歌声はまだまだ健在である。
ところで、この映画はタイトルが示すように、イタリア語がキーワードの作品である。アマンダ・セイフライド演じるソフィが建て直したホテルの名前はベラ・ドナで、イタリア語に詳しくなくてもベラが美しいでドナは女であることくらいはわかる。そしてドナはソフィの母親の名前でもある。
女が娘を産み、娘が娘を産む。自分の城を築き、維持し、再生する。旧約聖書の創世記にある、生めよ、増えよ、地に満てよという世界観そのままに、女たちが種の保存の連鎖に邁進する様子を見せる映画なのだ。
それは人類の存続を何の反省もなしに肯定するパラノ・ドライブ礼賛である。人口が減少に転じた、所謂下山の時代に入った日本の状況下で観賞すると、少ししんどかったのはそういう訳だろう。